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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「夏相場の注意信号、侮らず」

株式評論家 富田隆弥

◆下げそうで下げない、そんな強い相場が続いている。日経平均株価もそうだし、NYダウ平均ナスダック総合指数もそう。好景気や順調な企業業績、そして割安感あるPER(14.3倍)などを背景に関係者の先高観測は根強い。下げないのだから「強い」のだろうが、チャートで判断する自分の観点からは「慎重姿勢」が続く。

◆よく耳にする言葉に「個別株勝負」がある。日経平均など指数は高値圏で小動きでも、個別株は活発な買い物により値動きが良いものが目立つ。確かに「個別株勝負」も一理あるだろうが、インデックス売買主体の時代だ。もし指数が崩れるなら、元気な個別株も売りに押されてしまうことは否めない。

◆つまり、個別株勝負と割り切るのも悪くないが、日経平均やNYダウなど指数にもし危うい動きが出るなら、意地を張ることなく「一旦撤退」など機敏に行動することが大事だろう。如何せん、NYダウはリーマンショックから8年以上も上昇を続け、週足や月足はホップ、ステップ、ジャンプと大きな三段上げで仕上げ局面に来ている。

◆そうした局面で直近いくつか注意信号が出てきた。例えば、NYダウは6月23日安値2万1333ドルを割り込み日足波動が陰転、RCIも日足、週足とも高値圏で陰転を示唆。人気を集めたナスダックのハイテク主力株(アップル、アルファベット、アマゾン、フェイスブック、ネットフリックスなど)が軒並み急落してチャートが陰転を示唆。この主力銘柄がもし崩れると損失を被る投資家は少なくない。

◆日経平均は6月20日に続いて29日も「宵の明星」となり、日足RCI(9日線26%、13日線73%、25日線67%)が陰転を示唆。IoTやAIといった新ハイテク時代を迎え、人気を集めた半導体関連株だが、ここにきて調整の兆しが見られる。また、人気のあったゲーム関連や、新興市場のジャスダック、東証マザーズも日足に長い陰線が出現、注意信号を発する。

◆テクニカル面で注意信号が出ても、スピード調整を挟んですぐに切り返すという展開が続いてきた。潤沢マネー(リスクオン)が押し目で買いに入ってくるほか、日銀のPKOも「下げない相場」の要因になっている。ただし、「日本株はアメリカ次第、外国人次第」。アメリカ市場が軟調になるなら、外国人投資家のスタンスも変化するだろう。人間が判断する時代から、いまやコンピューターが売買指令を出す時代。この「AI」による相場がいまのところ「下げない」マーケットを演出している。だが、「AI相場は下げない」という確証はどこにもなく、逆の流れが突如襲ってくることも「ない」とは言えないだろう。

◆バカンスを控えた7月は「3日新甫」でもあり、日足に陰転信号が出るなら悔いることなく機敏に行動しておきたい。「買い」はまたいつでも動ける。

(6月29日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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