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【経済】【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(1):◆薄れるロシアゲート◆

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

〇次の攻防点模索、高値揉み合い想定〇

週末はラマダン明け、朝鮮戦争開戦記念日だったが、特に大きな動きはなかった。先週までの高値揉み合いの地合いを引き継ぐものと思われる。タカタの民事再生法申請、東芝の2部降格が発表されており、需給調整がどの程度影響するか、注目される。当面の日経平均上値攻防メドとして、ドル建て183ドル×ドル円112円=20496円、ほぼ20500円想定を
継続する。

米国情勢も大きな動きはなかったが、「トランプ弾劾」の報道を目にすることが無くなり、ロシア問題の陰が薄くなった印象だ。23日のWP紙は、「オバマ前大統領は選挙の数か月前からロシアの介入を知っていた」と報じ、トランプ大統領はすかさず「何もしなかった」と批判した。昨秋、国際会議でオバマ氏がプーチン露大統領と会った時、睨みつける写真が世界に配信されたことを思い出した。実際は数十件の対応策を検討した様だが、WP紙は「結局、踏み止まったような形」になったと伝えた。

また、CIA長官はTVインタビューで、「ロシアは数十年間に渡って、米国の民主主義を損なおうとし続けている」とし、「ロシアの介入」の情報には誰にも驚くべきことではない、とした。より重要なのは、メディアが伝えなかったコミ?証言で、トランプ・ロシアゲートの発端となった2月のNYタイムズの記事(民主党のサーバーをロシアがハッキングし、そのグループがトランプと関連するとした内容)を事実でないと否定した点とされる。米国でもNSA(国家安全保障局)から内部文書が流出しているが、逮捕された若い女性は民主党サンダース候補の支持者だったことも明らかとなった。結局、ロシアは情報を取ろうとサーバーに侵入したが、選挙を左右するほどの力は持っていないとの見方も出ているようだ。モヤモヤ感は残るが、新たな事実がないと、トランプを追い詰めるのは難しいとの腰が引けた状況と考えられる。

7月3日の日銀短観の予測をNHKがまとめているが、欧米の政治情勢不透明感から「足元改善も先行き横ばいか悪化予想」となっている。実際は、トランプ波乱のリスクが低下しているとすると、ニュースでは触れられなかった中国情勢に関心が高いものと思われる。
今週のイベントでは、29-30日の米韓首脳会談、7月1日の習近平国家主席が初参加する香港返還20周年記念式典。北朝鮮情勢の変化などを注視する流れ。五毛党(当局の指示でネット書き込みを行い世論を誘導するグループ)の中には、「習近平は中国のフルシチョフ」と、反米から親米への転換を指摘する声も出ているようだ。中国の国家主席は元々は名誉職だったが、果たして「強い皇帝」足り得るのか、底流に習近平評を交えた中国情勢を見守ることになろう。


以上


出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/6/26号)

《CS》

 提供:フィスコ

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