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【特集】追跡「シェアリングエコノミー」最前線、市場拡大“本格化”へ <株探トップ特集>

トレファク <日足> 「株探」多機能チャートより

―政府主導「第4次産業革命」後押し、立ち上がる巨大市場と各社取り組み―

 企業や個人が所有する遊休資産や既存設備などを不特定多数の人々とインターネットを介して共有する「シェアリングエコノミー」が、国民生活の質向上や今後の経済成長を牽引する新たなビジネスとして注目を集めるなか、これを企業サイドから具体化する動きが本格化している。

●2025年には世界市場規模3350億ドルに

 経済産業省は5月30日、IoT(モノのインターネット)ビッグデータ人工知能(AI)などの技術が産業を変革する「第4次産業革命」へ的確に対応するため、その指標となる「新産業構造ビジョン」として2030年代までに目指すべき4分野を明らかにした。

 このビジョンでは、日本が取るべき4つの戦略分野として、「移動する」(自動走行システムなど)、「生み出す、手に入れる」(スマートサプライチェーン、製造現場での高度化と効率化)、「健康を維持する、生涯活躍する」(健康、医療、介護)、「暮らす」(シェアリングエコノミーなど)を設定している。

 また、総務省の「平成28年版情報通信白書」によると、シェアリングエコノミーの13年の世界の市場規模は合計150億ドルと報告されており、これが25年には約20倍の3350億ドルまで成長するものと見込まれている。近年、ソーシャルメディアなどが普及したことにより、個人と個人による情報の交換がよりスムーズかつスピーディーになったことが、今後のシェアリングエコノミーの成長を加速させるものとみられる。

 シェアリングエコノミー協会は6月1日、日本国内でのシェアリングエコノミー業界の標準となる自主ルールを策定し、それに適合することを証明する「シェアリングエコノミー認証制度」を導入したと発表した。同協会では、内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室が16年11月に示したモデルガイドラインに沿って、業界標準となる自主ルールを策定。これに適合していることを証明する認証制度を導入することにしたという。同協会の13日発表現在で、パソナグループ <2168> 、クックパッド <2193> 、コメ兵 <2780> [東証2]ら新規21社が入会している。

●LIFULLが楽天と共同で民泊に参入

 国内最大級の不動産・住宅情報サイト「ホームズ」を運営するLIFULL <2120> は22日、楽天 <4755> と共同で新会社を設立し、 民泊事業に参入すると発表した。両社が出資する「RAKUTEN LIFULL STAY」(出資比率は楽天・51%、LIFULL・49%)の完全子会社として、「楽天LIFULL STAY」を設立した。

 同社では「成立した住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づき、住宅宿泊仲介業者として観光庁長官の登録を受けたうえで、民泊施設を提供したい人と利用したい人を、インターネットを通じて結び付ける新たなプラットフォームを構築する。提供予定の宿泊仲介サービス(仮称:Vacation Stay)では、空き家や空き部屋といった遊休資産の所有者には資産活用の新たな機会を、消費者(旅行者)には宿泊施設の幅広い選択肢をそれぞれ提供する。宿泊可能施設について、将来的にはLIFULLが持つ800万件のデーターベースのうち、5~10%を民泊用にしていきたい」(グループ経営戦略部)としている。

 また、KDDI <9433> も民泊に参入した。17年2月に子会社化したLoco Partnersが運営する高級ホテル・旅館の宿泊予約サイト「Relux(リラックス)」で、現在すでに取り扱っている町家や古民家に加え、サイトに掲載する民泊施設の募集を23日から特設サイトで開始した。

 このほかに関連銘柄としては「民泊」および「短期・中期」賃貸事業に参入し、「民泊」、「短期・中期」賃貸のサイトをオープンしているアパマンショップホールディングス <8889> [JQ]、東京23区中心に借り上げた居住用不動産を転貸するサブリース主力のAMBITION <3300> [東証M]などにも注目したい。

●大和自はIT技術を活用し競争力強化

 都内ハイヤー・タクシー大手の大和自動車交通 <9082> [東証2]の「ドライバーサービス」は、顧客の車両を専任ドライバー(2種免許取得)が運転するサービス。自分で運転することが不安な人が同サービスを活用し、普段使わない車を貸し出すライドシェアの需要が増える可能性もある。

 さらに同社は14日、クラウドサービス開発や運営とソフトウエア開発、データ分析受託などを手がけるモーション(本社・東京都)と資本・業務提携を締結することで基本合意した。同社がモーションと提携するのはデジタル化による競争力の強化を図るのが目的。規制緩和を見据えたシェアリングビジネスなど、新しい交通サービス開発と提供、異業種や自治体などと連携した交通エコシステムの構築、AIや統計解析などのデータ分析技術を用いた需要予測などで、生産性の向上などにモーションのIT技術を活用していく。また、業務提携の発展として、両社の共同出資により合弁会社を設立することも検討する予定。

 同社では「19年3月期を最終年度とする中期経営計画のなかで、提携している同業他社も含めて約6000台の車両ネットワークや、モバイル端末などのITを活用したサービスの展開を重要な経営課題に掲げている。成長に向けた課題として、特定ニーズ(ビジネス利用、訪日外国人、個人移動、施設送迎など)にフォーカスした移動サービスを強化したい」(総務部)としている。

●パーク24はカーシェアリングで実績

 時間貸し駐車場運営最大手のパーク24 <4666> は、2009年にカーシェアリングサービスをスタートし、5年目の14年10月期には営業損益段階で黒字化を達成。今年5月末時点のカーシェアリングサービス「タイムズ カー プラス」の車両台数は、1万8524台と好調な推移をみせている。同社では、規模拡大と収益力強化を図るとともに、レンタカーとのサービス一体化を通じ、顧客の囲い込みを図るほか、販売チャネルの多様化、サービスレベルの向上を目指す。

●トレファクはリユース需要の拡大で出店加速

 家電、家具、雑貨などの総合リサイクル店を展開するトレジャー・ファクトリー <3093> にとって、シェアリングエコノミーの広がりは、 リユース品の需要拡大につながり、ビジネスチャンスの拡大となりそうだ。同社は18年2月期の連結業績予想を、売上高164億2000万円(前期比23.2%増)、営業利益8億5300万円(同16.2%増)と見込んでいる。今期13店舗前後の新規出店を目標にしているのに加え、インターネット経由の売買の強化などを進めて収益力の強化を目指す。

●阪急阪神HDのレンタサイクルは訪日外国人向けでも拡大

 訪日外国人旅行者の増加も一因となって、レンタサイクルの普及が加速している。従来、大都市圏を中心にコミュニティーサイクルなどの導入が進んでいたが、ここにきて旅行者を対象に、交通機関がやや不便な観光地を効率的に巡る手段としての需要が拡大をみせている。主要電鉄会社では、沿線の駅を中心にレンタサイクルへの参入が相次いでいる。なかでも、阪急阪神ホールディングス <9042> が展開する阪急レンタサイクルは、沿線の20駅を超える駅前を中心に幅広いサービスを継続している。

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