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【特集】大塚竜太氏【上昇、それとも…2万円固め後に待つものは】(1) <相場観特集>

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

―東京市場“奇妙な安定感”の向こう、次のトレンドを聞く―

 東京株式市場は、特に強気に傾いている雰囲気はみられないものの、目先筋の利益確定売りは着実にこなす頑強ぶりを発揮、日経平均株価は上下にボラティリティが低く、狭いレンジでの展開が続く。商い低調ながら投資家が離散しているという印象も受けない。この奇妙な安定感の先には何が待っているのか。ここから想定される全体相場のトレンドや個別の物色対象について、第一線で活躍する市場関係者2人に意見を求めた。

●「手掛かり難も個別物色で対応、主力の押し目に着目」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

 全体相場は期待と不安が拮抗している状況で、しばらくは玉虫色の地合いが続きそうだ。東京株式市場では基本的に上昇の原動力を担うのは買いの本尊である外国人投資家である。日銀のETF買いは下値を支えても上値を買い進むことはしない。個人投資家も逆張りが本流で上昇局面では売りに傾く。今は、マクロ面から手掛かり材料に事欠いており、外国人投資家も5月は大幅に買い越したものの、6月はその反動もあって売り越しに転じている。ただし世界的にリスクオンの流れが形成されるなか、下値を売り叩くような展開に陥る可能性も低く、しばらくは2万円大台固めの動きが想定される。

 視点はあくまでミクロ、個別株対応が主軸となる。イベントとしては2月決算企業の今期第1四半期(3-5月期)決算発表が今後徐々に本格化してくる。小売関連企業が多く、ここでは個人消費関連の好業績株などに関心が高まりそうだ。また、その後は米国企業の4-6月期決算発表や、それに少し遅れて国内3月決算企業の4-6月期決算発表が始まることから、上方修正含みの銘柄などを中心に物色人気が盛り上がる可能性がある。

 日経平均株価もこの決算発表を絡め、改めて上値追いの基点を探る展開が予想される。7月相場では上値の心理的フシ目となっている2万500円ラインを突破し“アベノミクス高値”である2015年6月の高値2万868円(引け値ベース)奪回から2万1000円を目指すケースも十分可能と思われる。

 物色対象としては、足もとは中小型株優位だが、日替わりで物色人気が入れ替わるため短期売買を強いられる部分もある。あえて主力株の押し目を拾うというスタンスも有効だ。東京エレクトロン <8035> など半導体関連や、トヨタ自動車 <7203> などの自動車株、三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> などメガバンクの安いところを狙ってみたい。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。

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