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【特集】高橋春樹氏【上昇、それとも…2万円固め後に待つものは】(2) <相場観特集>

高橋春樹氏(三木証券 執行役員 商品本部長)

―東京市場“奇妙な安定感”の向こう、次のトレンドを聞く―

 東京株式市場は、特に強気に傾いている雰囲気はみられないものの、目先筋の利益確定売りは着実にこなす頑強ぶりを発揮、日経平均株価は上下にボラティリティが低く、狭いレンジでの展開が続く。商い低調ながら投資家が離散しているという印象も受けない。この奇妙な安定感の先には何が待っているのか。ここから想定される全体相場のトレンドや個別の物色対象について、第一線で活躍する市場関係者2人に意見を求めた。

●「地に足がついた上昇で7~8月に2万1000円台目指す」

高橋春樹氏(三木証券 執行役員 商品本部長)

 今回の日経平均株価の2万円台回復は、「地に足がついた株価上昇」といえる。その裏付けは企業業績の良好さにある。過去20年間を振り返るなかで、日経平均株価が2万円の大台に乗せたのは、ITバブル時の2000年、2015年、そして今回が3度目ということになる。

 ITバブル時2000年の2万円台乗せは、日経平均株価採用の一握りのIT関連値がさ株の極端な株価上昇によって形成されたもので、PERは異常な高水準まで上昇し、地に足のついた状態とはいえなかった。15年時の2万円台乗せは、外国為替市場で1ドル=125円水準まで円安・ドル高が進行し、株価は一種の“円安バブル”的な買われ方をした面もあったようだ。

 これら過去2回に比べて、今回の2万円台回復の環境はどうか。日経平均株価の今期予想PERは14倍台前半と低水準にあり、円相場も1ドル=111円台での推移と、15年時の1ドル=125円に比べて円高状態にあり、ここからの極端な円高進行を想定し辛い水準となっている。

 日銀短観3月調査による主要輸出企業の18年3月期の想定為替レートは約1ドル=108円となっている。現状の為替レートで推移すれば、3月期決算企業の第1四半期(4-6月)の決算の発表が本格化する7月後半以降に、業績面での良好さが改めて確認され、日経平均株価は7~8月に掛けて、15年の高値を突破して2万1000円台を目指す可能性がある。その場合はソニー <6758> 、富士通 <6702> 、ソフトバンクグループ <9984> といった、IT関連の主力銘柄がリード役を担うことになりそうだ。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(たかはし・はるき)
1977年岡山大学法文学部卒業・第一証券入社。1999年第一証券エクイティ部長兼投資運用部長、2005年三菱UFJ証券エクイティ部長、2011年三木証券投資情報部長。

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