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【特集】シフトチェンジ―需要爆発“電子部品”、関連株「本格上昇」ステージへ <株探トップ特集>

村田製 <日足> 「株探」多機能チャートより

―「MLCC」需要逼迫の意味するもの、相場の舞台は半導体から電子部品へ―

 電子部品株に、本格復活機運が高まってきた。スマートフォン向けの不振もあり昨年は調整局面が続いたが、自動車の電装化やIoT(モノのインターネット)に絡んだ幅広い電子部品需要が膨らみ、同関連株への人気が高まりつつある。一部の電子部品には需給が逼迫しているとの観測が流れており、業績は今期以降、急激な伸びが見込める。急騰した半導体関連株に追随する格好で、 電子部品株はここから本格的な上昇が期待できる。

●事業環境は様変わりで一部に品薄状態も

 電子部品業界を取り巻く事業環境は、急速に改善している。電子情報技術産業協会(JEITA)によると、今年3月の日本企業による電子部品の世界出荷額は、前年同月比7%増と4ヵ月連続でプラスとなった。同統計によると電子部品出荷額は15年12月から16年11月まで1年間にわたりマイナス圏に落ち込んでいた。これは、為替の円高に加え、アップルの「iPhone6s」などスマホ向け出荷の伸び悩みが響いたためだ。ただ、足もとでは「iPhone7」の販売好調に加え、自動車の電装化、IoT化などに向けた電子部品需要が、全体の出荷を押し上げている格好だ。

 特に、株式市場で話題を集めているのが「スマホ向けなどで電子部品需要を引っ張ってきた積層セラミックコンデンサー(MLCC)の需要が逼迫しているようだ」(アナリスト)という観測だ。実際、今月下旬には台湾の電子部品メーカー、国巨(ヤゲオ)電子がMLCCを最大3割値上げすると報じられたこともキッカケとなり、MLCCの大手企業である村田製作所 <6981> や太陽誘電 <6976> の株価は新高値圏に買われている。

●車載や通信、サーバー向けなどに部品需要拡大

 このMLCCの需給逼迫観測に対して、国内大手電子部品メーカーは「一部にタイト感が出ていることは事実」と認める。もっとも、「特に需給の引き締まりが観測されているのは超極小型MLCCなどで話題となったスマホなどで使われる最先端製品ではなく、やや大きめの汎用型だ」と指摘する。

 汎用型MLCCは、小型化のトレンドからは取り残されたが「高品質」「高信頼性」を特徴にスマホのほか、自動車電装化向けやサーバー、基地局通信装置向けなどで使われている。先進運転支援システム(ADAS)や電気自動車(EV)の普及により自動車の電装化が進んだことが電子部品の需要を高めている。特に、積極的な設備投資が行われたスマホ向け最先端MLCCに比べ、汎用型への投資は一定水準にとどまったため、ここへきての需要拡大で一気にタイト感が出ている様子だ。

●iPhone8登場で市場は一段の拡大

 また、IoTの進展やビッグデータの活用に伴いサーバーや基地局通信装置など情報・通信インフラの需要が拡大したこともMLCCの需要を高めている。「汎用型MLCCの需給が逼迫することは近年、なかったことだ」と大手電子部品メーカーではいう。さらに、超極小型の最先端MLCCなどの需要も今年9月とも予想される「iPhone8」の登場で盛り上がることは必至だ。それだけに、今年度下期以降は「スマホ」「自動車」「IoT」関連の需要がそろって電子部品需要を押し上げることになりそうだ。

●村田製、太陽誘電、日ケミコン、CMKなど

 こうしたなか、市場にはMLCCの大手企業である村田製や太陽誘電などを中核に、電子部品関連株は今後の相場のリード役となるとの期待感が出ている。電子部品関連株には、外国人買いも観測されており、急伸した半導体関連株に追随する動きも予想されている。また、汎用型MLCCの需給逼迫と同様に、自動車やIoT向け需要で、アナログ半導体、抵抗器、アルミ電解コンデンサーなどレガシー系電子部品の需要拡大を見込む声も少なくない。

 具体的には、スマホのOIS(手振れ補正機能)需要に加え車載向けの拡大が期待されるアルプス電気 <6770> 、MLCCやインダクターの伸びが期待されるTDK <6762> 、車載モーターの拡大が見込める日本電産 <6594> 、車載向けプリント回路板(PCB)事業の拡大が期待できる日本CMK <6958> 、アルミ電解コンデンサー需要で業績拡大が見込める日本ケミコン <6997> やニチコン <6996> などの上昇を見込む声が出ている。

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