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2017年06月19日20時00分

【特集】小池劇場“第2幕”は上がるか、「東京大改革」関連株が翔ぶ <株探トップ特集>

小池劇場“第2幕”、関連株・緊急点検(18日、東京・立川市で撮影)
―迫る都議選、「電線地中化」「待機児童解消」など関連銘柄総点検―

 東京都議選の告示(6月23日)が迫って来た。小池百合子都知事率いる「都民ファーストの会」が台風の目となるなか、ライバル政党は警戒感を強めている。昨年夏の都知事選挙で巻き起こった“百合子旋風”が小池劇場の第1幕だとすれば、都議選はまさに第2幕。選挙の行方は、蓋を開けてみるまで分からないが善戦必至とみられる。小池都知事の選挙戦における演説内容によっては、昨年同様に関連銘柄の株価を刺激する可能性もある。都民ファーストの会(以下、都民ファースト)が掲げる重点・基本政策を中心に関連銘柄を点検した。

●「東京大改革」関連銘柄は?

 首都東京の行方を握る東京都議選が、いよいよスタートする。知事就任後も依然として都民の人気を誇る小池氏に対して、ライバル政党は豊洲市場移転問題などに絡め“決められない知事”と批判の矛先を強めている。1日には小池都知事も自民党に離党届を提出、さらに都民ファーストの会の代表に就任し対決姿勢を鮮明にしてきた。

 そのような状況下、小池都知事が豊洲移転について「週内に基本方針を示す」と伝わっている。都議選の告示を前に、“決められない”との批判を払拭すべく豊洲移転を決断する見込みだが、その内容次第では選挙戦にも大きな影響を与えそうだ。

 都民ファーストが掲げる「東京大改革」、それを実現すべく重点政策として「都民の食の安全と安心を守る」「格差と段差をなくす」「受動喫煙対策を実施」「女性とシニアの力をもっと活かす」「待機児童という言葉をなくす」と5項目を挙げている。また、基本政策として14項目、さらに321にも及ぶ政策を打ち出している。“豊洲”以外はさほど新味のあるものとは言えないが、世間の注目度は高く、これら政策のなかから、株式市場において、関連テーマとして脚光を浴びる可能性があるものを中心に探った。

●無電柱化でゼニス羽田に思惑も

 昨年夏の激しい都知事選で、小池候補が減災などの観点から無電柱化(電線地中化)を推進していたことから、株式市場でも関連銘柄に物色の矛先が向かい株価が大きく動意したことは記憶に新しい。また、公約のひとつに待機児童解消も掲げていたが、やはりこれに絡む銘柄にも注目が集まった。

 今回の都民ファーストの政策のなかでも「無電柱化推進に向け、区市町村道への財政支援、技術革新によるコスト縮減で総合的な取り組みを推進」としており、選挙戦が進むなか、思惑高を招く可能性は大きい。既に、いくつかの関連銘柄は先取りした格好で動意しているものもある。無電柱化は、電線を地中に埋設することで震災時の電柱倒壊による2次災害を防止する効果があるうえ、電柱を撤去することで街の景観を改善することを目指す。小池都知事のみならず政府も推進しており大きなテーマのひとつだ。

 電線地中化関連銘柄として、コムシスホールディングス <1721> 、関電工 <1942> 、イトーヨーギョー <5287> [東証2]、ゼニス羽田ホールディングス <5289> [東証2]、虹技 <5603> などが挙げられるが、そのなかでも昨年株式市場で脚光を浴びたのが電線共同溝などを扱うゼニス羽田だった。同社の株価は、4月13日につけた年初来安値231円を底に上昇基調継続、ここ急速に上げ足を速め300円近辺で推移。1月10日の年初来高値、さらに昨年高値340円も視界に入ってきている。

●頭角現す沖電線

 また、ここにきて株価面で動兆著しいのが、沖電線 <5815> だ。同社は電線・ケーブルが売り上げの約8割を占めており、安倍政権が積極推進する電線地中化では電線も従来品から高付加価値品への代替が見込まれることから、収益機会が膨らむとの思惑が高まっている。また、都民ファーストの公約に絡みテーマ買いの動きが厚みを帯びてきた格好だ。株価は底練りが続いていたが、6月に入り上値指向をに強めており、ここにきて230円近辺を横に走る26週移動平均線を上に抜いたことで、テクニカル的にもボックス圏離脱に向けトレンド転換の兆しが強まっている。

 ある業界関係者は、「いまのところ電線地中化推進の影響は大きくはないというのが実情だ。価格競争もあり、収益に寄与するのは今後しだい」ともいう。ただ、「“地中化”は始まったばかりで、攻勢はかけていく」としている。

●待機児童解消、学童クラブの充実でJPHD

 また株式市場において注目を浴びそうなのが、前述の「待機児童解消」に絡む銘柄だろう。都民ファーストの政策でも重点政策のひとつとして取り上げている。関連する銘柄としては、幼児活動研究会 <2152> [JQ]、JPホールディングス <2749> 、サクセスホールディングス <6065> 、ベネッセホールディングス <9783> などがある。なかでも、待機児童解消に加えた政策のひとつに「学童クラブの充実」があり、JPHDに注目が集まりそうだ。同社は、保育所数172、学童クラブ63施設、児童館12施設、民間学童クラブ4施設、子育て支援施設の合計は251施設(3月末日現在)を運営している。

●ツクイは“サ高住”で活躍の舞台

 高齢化社会が進むなか、やはり福祉政策への取り組みは見逃せない。基本政策においても「介護サービスを十分に受けられないことによる介護離職の増加、介護人材の処遇の低さ、介護事業者の不安定な経営などが課題だった。健康長寿社会推進条例をつくる」としており、今後、介護サービス関連にも焦点が当たりそうだ。きのう18日、小池都知事は東京・立川市での街頭演説においても「超高齢化社会」を迎えることに対して言及している。

 関連銘柄では、ツクイ <2398> 、ケアサービス <2425> [JQG]、ベネッセホールディングス <9783> 、ニチイ学館 <9792> などが挙げられる。そのなか、ニチイ学館は業績好調を受け4月14日の昨年来安値790円を底に一貫して上昇波動を継続、きょう19日には1133円まで買われ年初来高値を更新している。また、政策のなかで「サービス付き高齢者向け住宅の整備」とあり、いわゆるサ高住の積極開設を進めるツクイにも関心が集まるかもしれない。

●「ロボット介護機器導入」で菊池製も

 さらに「 ロボット介護機器導入による介護職員の負担軽減策を実施」するとしており、菊池製作所 <3444> [JQ]、CYBERDYNE <7779> [東証M]などにも目が向けられる可能性がある。そのうち菊池製は、家電や自動車向け精密部品や金型を手掛けるほか、作業補助ロボットの「マッスルスーツ」を開発販売しており、業績は回復トレンドにある。14日取引終了後に発表した18年4月期の連結業績予想では、売上高が前期比4.9%増となる60億7400万円、営業損益は2000万円(前期3億4000万円の赤字)と黒字化を見込んでいる。なお、17年4月期連結決算は売上高57億9000万円(前の期比2.2%減)と減収ながら、営業損益3億4000万円の赤字(前の期5億7400万円の赤字)と赤字幅が縮小している。

●JT「プルーム・テック」、日鉄鉱は「プラズマダッシュ」

 前述したように、都民ファーストが掲げる政策は幅広い。そのなかでも関心を集めそうなのが「受動喫煙対策」だ。都民ファーストは「喫煙防止条例(罰則付き)をつくる」としている。政府も受動喫煙については厳しい姿勢をとる方針で検討を進めるなか、愛煙家にとっては、さらに厳しい状況になることは想像に難くない。ここにきて、禁煙はもちろん、当面は規制のない、いわゆる“電子たばこ”に切り替える人も少なくはない。

 電子たばこ関連では、トランザクション <7818> やマルマン <7834> [JQ]が挙げられるが、ここにきて注目されそうなのが、29日から東京都心部で、たばこ用デバイス「プルーム・テック」と専用たばこカプセルの販売を開始するJT <2914> だろう。「プルーム・テック」は、たばこ葉を燃やさず、直接加熱もしない、独自の“たばこベイパーテクノロジー”を用いている。JTでは「(規制については)行政が決めることなので、なんとも言えないが、飲食店などとコミュニケーションを図りプルーム・テックの拡販に努めていく」(IR広報部)といい、他社製品に先行された格好にも見えるが、「当然、商機はある」(同)と自信をのぞかせる。

 また、 分煙では日鉄鉱業 <1515> に注目したい。同社は、資源分野を中核とする企業だが、最近では分煙機でも脚光を浴びている。同社のプラズマ脱臭技術を搭載した「プラズマダッシュ」は、従来の分煙機では除去できなかった、たばこのにおいを大幅に低減。例えば、たばこ4本燃焼後の室内のにおい成分は、9分で99%除去されるというものだ。

●決戦は7月2日

 そのほかでは、いかにも経済通の小池都知事らしいのが「アジアナンバー1の国際金融市場への復活を目指す」「金融とITを融合したフィンテックを推進」で、兜町再開発を進める平和不動産 <8803> やフィンテック関連の株価を刺激することもあり得る。また豊洲市場移転に絡み、環境管理センター <4657> [JQ]、エンバイオ・ホールディングス <6092> [東証M]など土壌汚染対策に関連する企業も折に触れて物色されそうだ。

 もちろん、ここで取り上げた以外にも政策に絡む銘柄は数多く、選挙戦の進む過程で新たにスポットライトが当たるセクターや関連株が出現するかもしれない。そして、株式市場の関心もさるものながら、議会改革や行政改革が重点政策であることは言うまでもない。小池都知事は自らも、前述の街頭演説で「第2幕の始まり」と表現している。果たして小池劇場・第2幕のスタートが順調に開演するか否か、7月2日の投開票に注目が集まる。

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