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【特集】藤代宏一氏【再浮上2万円、上値のフシ“突破”はあるか?】(2) <相場観特集>

藤代宏一氏(第一生命経済研究所 経済調査部 主任エコノミスト)

―ボックス継続か上放れか、見通しを聞く―

 日経平均株価はここ2週間ほど上値の重い展開を強いられていたが、前週末に5日ぶり反発に転じ、きょうは返す刀で目先筋の戻り売りをこなし続伸、2万円大台に再浮上してきた。内需成長株の好調な値動きやハイテク株などへの買い戻しが反映された格好だが、果たして相場の需給関係にこれまでと変化は生じているのか。洞察力に優れ相場の先読みにも定評のあるマーケット関係者に、今後の東京株式市場の見通しについて聞いた。

●「2万円中心に上下1000円の展開、日本企業の輸出力回復」

藤代宏一氏(第一生命経済研究所 経済調査部 主任エコノミスト)

 東京株式市場の日経平均株価は、今後1ヵ月程度を視野に入れた場合、2万円を中心に上下1000円程度の展開を予想している。

 全体相場の方向感は見定めにくい状況だが、日本企業の輸出は伸びており円高が進んでも、それほど収益は落ち込まなくなった。ドル安・円高のなかでも日経平均株価は底堅く推移し、株価と為替相場のカイ離が大きくなっていることは特徴的だといえる。それだけに多少円高が進んだとしても日経平均株価は1万9000円程度で下げ止まりそうだ。また、足もとの日経平均株価の水準は、日本企業の収益力や1株当たり利益などを考慮すれば2万1000円前後はフェアバリューに近い水準とも言えるだろう。

 ただ、米経済指標には景気減速の兆候が出ているほか、中国景気にも警戒が必要であり、依然、全体としては強弱まちまちの状況にある。

 米国の金融政策に関しては、年内あと1回の利上げと米連邦準備制度理事会(FRB)のバランスシート縮小の可能性が高まった。これは、米国景気が多少減速しても実施するのだろう。もっとも、米国の物価指標が弱めで推移するなか、米国の来年の利上げはせいぜい1回か無しというシナリオも見えてきている。少しでも弱い経済指標が出ると来年の利上げ観測が後退することに注意は必要だ。こうしたなか、ドル円は1ドル=111円前後を中心に110~115円のレンジを想定している。

 東京株式市場では、かつてような「円高=輸出株は売り」という構図は描きにくくなっており、その企業の収益力などによりパフォーマンスは異なってきていると思う。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(ふじしろ・こういち)
第一生命経済研究所経済調査部・主任エコノミスト。担当は金融市場全般。2005年4月、第一生命保険入社。08年、みずほ証券出向。10年4月第一生命経済研究所出向、同年7月内閣府経済財政分析担当へ2年間出向。12年7月副主任エコノミストを経て、15年4月より現職。

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