【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「転機迎えるか日本株、警戒要すナスダック」
株式評論家 富田隆弥
◆14日のFOMCは0.25%の利上げと年内の資産圧縮を決めたが、その内容はほぼ市場で予想されていたもので、意外性はなかった。ただ、大きなイベントを通過したことで、マーケットは「出尽くし感」から転機を迎える可能性がある。
◆例えば為替。14日に108円80銭まで上昇(円高)したが、5月11日の114円台からひと月で6円も円高となり、4月17日の108円14銭に迫った。普通のシナリオは「米国利上げ→ドル高(円安)」。経済指標の鈍化や今後の利上げペース鈍化を先読みして「ドル安」に動いていたが、チャート的にはそろそろ円安に転じておかしくなく、そうなれば日本株には追い風となるだろう。
◆だが、不穏な動きもある。NYダウは右肩上がりで高値を更新中だが、ナスダックが9日ザラバ高値6341ポイントから12日ザラバ安値6110ポイントへと急落した。アップル、アルファベット、アマゾン、フェイスブック、マイクロソフト、ネットフリックスなどの下げが目立つ。これまで全員参加型で買われてきた主力ハイテク株だけに、これらが調整に転ずるようだと穏やかでなくなる。
◆1000ドル大台乗せが話題になったアルファベットだが、5日と8日に1000ドル大台でダブルトップとなり、12日に961ドルまで調整を入れている。この日足チャートは気掛かりだ。ナスダックが調整すると、日本のハイテク株に影響を及ぼすことも否めない。
◆ナスダックの下げ率はまだ3%ほどで(14日現在)、「押し目好機」との強気観測も少なくない。大きく上げてきて上昇基調を維持している地合いでは「強気筋」が多くを占めるのは当然で、基調が変わる初期段階はいつも同じである。
◆日経平均株価は15日まで4日続落、1万9755円まで下げ25日移動平均線に抵触した。為替を含め「そろそろ反転」が想定されるところで、6月2日高値2万0239円を目指すことも想定されるが、25日線を割り込むとか、ナスダックの調整が続くような場合は慎重に対応することも必要だ。大きなイベント通過で、市場もいよいよ「夏」を迎える。
(6月15日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース