【特集】昇り竜に乗れ! 業績絶好調+高ROEの躍進「厳選10銘柄」<株探トップ特集>
T-BASE <週足> 「株探」多機能チャートより
―そこにある好業績だけではない勝ち組銘柄の秘密―
●別世界の“昇り竜”に共通する条件
日経平均株価は6月2日に約1年半ぶりとなる2万円大台を大きく回復したが、その後は上値が重く一進二退の展開となり、大台近辺で再び強弱感が交錯する状況にある。特段、売り圧力を意識させる地合いではないものの、かといって上値を積極的に買い進むのは憚(はばか)られるというのが投資家の本音であり、漠とした不透明感が漂っている。
しかし、現在のファンダメンタルズから判断すれば株価の水準訂正余地は十分にあるといってよい。今の日経平均の「もち合い局面」は仕込み好機と判断できる。世界的にも日本株の出遅れ感が指摘されているが、これは上値の伸びしろの大きさを示唆するものでもあるのだ。
よく目を凝らせば、今年の春先から全体の不安ムードとは別世界の昇り竜のごとき強調トレンドを形成している銘柄も散見される。これらに共通するのは業績高成長トレンドにあり、なおかつROE(株主資本利益率)が高い銘柄であることだ。別掲10銘柄の「週足」チャートをご覧いただければその波動に思わず目を見開かされることになるだろう。この10銘柄については、目先の押し目形成場面は要マークといえる。
●なぜ高ROE銘柄は買われるのか
ROEとは、一株利益を一株純資産で除して算出する指標であり、企業の収益力を図るモノサシの一つとして、特に機関投資家目線で重視されている。外国人投資家の個別銘柄選別の根拠として、しばしばクローズアップされることも多い。この指標の意味するところは、投資家などが出資した株主資本を元に、どれだけの利益を生み出しているかを示し、この数値が高ければ高いほど資産を有効に活用している証となる。
当然、このROEを高くしようと企業も努力することになる。では、ROE上昇のために企業はどういったアクションをとればよいのか。
ROEを高めるためには、2つの選択肢がある。つまり、分子にあたる最終利益を伸ばす(業績を拡大させる)か、分母となる自己資本を小さくするかのいずれかである。いうまでもなく業績拡大は企業としての大命題だが、もう一方の自己資本を小さくする手段としては、自社株買いや増配などで株主還元姿勢を高めることが挙げられる。高株主還元を打ち出した企業が、思いのほか株価を上昇させることが多いのは、この“ROEを高める”という企業努力ともリンクしているからだ。
業態にもよるが、通常ROEが2ケタ水準にあれば「優良銘柄」として機関投資家の眼鏡にも適う。気をつけなければいけない点としては、業績が低迷していても「過小資本」であるために、ROEが跳ね上がるケースがあることで、収益動向と財務実態には当然ながら目を配っておく必要がある。
●業績上振れ期待のモノタロウ、薬王堂の月次にも注目
別掲の10銘柄は、ここ数年来、収益拡大路線を走る高成長トレンドを維持している銘柄で、今期2ケタ以上の増益を見込み、なおかつROEが15%を超える銘柄を選出したものだ。「週足」チャートはまさに昇り竜を彷彿とさせる。高ROE経営に対する評価機運が高まるなか、選りすぐりの勝ち組銘柄で値幅取りを狙ってみたい。
九電工 <1959> は九州を地盤とする電気工事会社だが、首都圏にも展開し民間の都市開発案件を取り込み、業績を伸ばしている。PERも11倍台で割安感が強い。17年3月期決算発表を受け、5月1日にマドを開けて買われたのち、つい最近まで25日移動平均線とも接触しない強い足をみせており、先高期待が強い。
MonotaRO <3064> は、工具や工場用品のネット販売を中心に展開しており、低価格で充実した商品ラインアップにより顧客需要を開拓している。足もとの月次売上高の伸びは絶好調で、通期経常利益22%増益予想は一段の上振れが期待されている。
薬王堂 <3385> は、岩手を地盤に東北を営業エリアとする独立系ドラッグストアで、食品や衣料品など幅広い商品を取り扱うことで消費者需要を捉え、小商圏での集中出店により成長路線をまい進している。5月度の月次既存店売上高は前年比5.8%増となり、26ヵ月連続で前年実績を上回っている。
●攻めるTOKYO BASE、EガーディアンはAI展開
TOKYO BASE <3415> は日本発ブランドにこだわったアパレルを展開し、100%国内生産の高品質が特長。セレクトショップ「STUDIOUS」と独自ブランド店「UNITED TOKYO」を積極出店し、攻めの経営が開花している。株価は6月に入り上げ足が加速している。
テクノプロ・ホールディングス <6028> は技術者の派遣事業を手掛けており、構造的に高水準の需要が続く。企業の求人需要が一段と高まりをみせるなか、特に高スキルを必要とする人材確保が困難を極めていることで、同社への追い風は強い。
イー・ガーディアン <6050> はSNS投稿の監視やスマートフォンゲームの問い合わせ対応などを手掛けるが、人工知能(AI)の活用に積極的であり、同テーマの関連有力株にも位置づけられている。LINEを活用した法人向けカスタマーサポートを提供するなど、業容拡大に向けた相次ぐ提携戦略も注目される。
●驚異の成長路線走るベクトル、東エレクは買い場接近
ベクトル <6058> は、中小企業を中心に広報戦略代行業務を手掛け、SNSなどネット媒体を強みとする。動画配信などを活用したサービスメニュー拡大で需要取り込みに成功している。11年2月期から前17年2月期までの直近7期の年平均成長率(経常利益ベース)は実に44%という高水準の伸びを示している。利益もさることながらトップライン(売上高)の拡大が際立っており、成長スピードの速さを物語る。
日本ライフライン <7575> はペースメーカーなど心臓領域を強みとする医療器具輸入商社でカテーテルなど自社開発でも高実績。研究開発コストを吸収して大幅増収増益を続けており、18年3月期経常利益は前期比2割増の96億円を計画するが上方修正含み。
東京エレクトロン <8035> は構造的な半導体需要の拡大を背景に世界的な半導体製造装置メーカーとして、中期成長に対する期待が大きい。特に、次世代商品として普及加速局面にある3次元NAND型フラッシュメモリーでは、深掘り技術に優れる同社のエッチング装置に優位性がある。ここにきて調整局面を強いられているが、長期上昇波は不変と思われ、13週移動平均線との上方カイ離修正をにらみつつ買い場を探りたい。
ニトリホールディングス <9843> は家具・インテリアなどを中心に製造販売を手掛け、全国への積極的な出店攻勢により業容拡大の一途にある。特筆されるのは前17年2月期まで30期連続の増収増益を記録していることで、18年2月期も2ケタ増収増益を計画し、“成長神話”は継続する見通しだ。
◆昇り竜に乗れ! 業績絶好調の高ROE躍進株「厳選10銘柄」◆
経常
銘柄 <コード> 決算月 増益率 ROE 株価
九電工 <1959> 3 15.0 17.76 4070
モノタロウ <3064> 12 22.0 43.04 3705
薬王堂 <3385> 2 13.2 17.48 3470
T-BASE <3415> 2 38.8 38.12 4410
テクノプロHD <6028> 6 13.6 32.04 4375
Eガーディアン <6050> 9 24.9 23.27 1879
ベクトル <6058> 2 36.9 17.11 1764
日本ライフL <7575> 3 19.9 29.21 4655
東エレク <8035> 3 37.1 19.11 1万5765
ニトリHD <9843> 2 14.2 16.59 1万6560
※経常増益率は今期会社側予想。株価は6月16日終値(単位:%、円)
株探ニュース