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【特集】雨宮京子氏【再浮上2万円、上値のフシ“突破”はあるか?】(1) <相場観特集>

雨宮京子氏(経済ジャーナリスト)

―ボックス継続か上放れか、見通しを聞く―

 日経平均株価はここ2週間ほど上値の重い展開を強いられていたが、前週末に5日ぶり反発に転じ、きょうは返す刀で目先筋の戻り売りをこなし続伸、2万円大台に再浮上してきた。内需成長株の好調な値動きやハイテク株などへの買い戻しが反映された格好だが、果たして相場の需給関係にこれまでと変化は生じているのか。洞察力に優れ相場の先読みにも定評のあるマーケット関係者に、今後の東京株式市場の見通しについて聞いた。

●「強調展開継続、銘柄はピンポイントで絞り込み」

雨宮京子氏(経済ジャーナリスト)

 全般は6月下旬の株主総会絡みの株高アノマリーを意識させる強調相場となってきた。これまで、相場に沈滞ムードをもたらしていたのは、米ナスダック市場の軟調に端を発するハイテク銘柄の下げだが、それも一巡する流れにある。

 日経平均株価はここから一直線に上値を追うほどの勢いは感じられないが、基本的に戻り売りを徐々にこなしながら、強調展開を維持する可能性が高い。今後は為替動向を横にらみに下値を試す局面も当然考えられるが、1万9000円を割るような深押しもなさそうだ。中期的な視点では1万9000~2万1000円のボックス相場の推移が続くとみている。ただし、当面はその“ボックス圏上限”に目を向ける時間帯に入った可能性がある。

 拠りどころとなっているのは、好調な国内企業の業績だ。主要企業ベースで1-3月期決算は前年同期比大幅増益となったことで、これを背景に18年3月期通期でも自信が持てる流れとなった。個別企業によって濃淡はあるものの、全体的に今の東京市場の株価水準は他の先進国市場と比べ割負け感が強いというコンセンサスがある。

 ちなみに、日経平均が終値で2万868円の高値をつけた15年6月下旬のドル円相場の水準は1ドル=124円近辺だった。為替との連動性を考えると今は日経平均の戻りが先行しているため、投資家の立場としてここからの上値に半信半疑なのは仕方がない。しかし、その時とは買われている銘柄に変化が生じており、今は内需系銘柄の好調な業績が足場となって強気ムードが徐々に醸成されていきそうだ。

 個別には主力銘柄の戻りにつくよりは、値動きの軽いテーマ株のピンポイント物色に分がある。米エヌビディア関連の一角であるAKIBAホールディングス <6840> [JQ]は下値切り上げ波動が鮮明。また、同じく半導体関連で外観検査装置を手掛けるインスペック <6656> [東証M]も出遅れ感があり水準訂正余地が意識されよう。

 フィンテック関連ではeコマースサイトを運営するラクーン <3031> に一段の上値期待が膨らむ。AI関連として急速に頭角を現しているシグマクシス <6088> [東証M]も要注目であり、14年4月以来となる4ケタ大台での活躍が見えてきた。また、穴株としては自動車向けダイカストを手掛けるアーレスティ <5852> が面白い存在。PER0.4倍強でPERも10倍を下回る水準にあるだけに、狙い目と思う。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(あめみや・きょうこ)
元カリスマ証券レディ。経済ジャーナリスト。AK企画代表。日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスターなどを経て現在に至る。

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