【市況】新興市場見通し:バイオなどの人気株が強い値動き、6月IPOも好発進
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
先週の新興市場では、日経平均が米連邦公開市場委員会(FOMC)を挟んでこう着感の強い展開となるなか、日経ジャスダック平均も高値圏でのもち合いとなった。一方、マザーズではFOMC前に従前人気だったゲーム株などで利益確定売りが広がる場面があったものの、その後バイオ株を中心に押し目買いが入り堅調な展開となった。なお、週間の騰落率は、日経平均が-0.3%であったのに対して、マザーズ指数は+1.4%、日経ジャスダック平均は-0.2%だった。マザーズ指数は週末にかけて4日続伸し、終値ベースの年初来高値を連日更新した。
個別では、ミクシィ<2121>が週間で4.2%安、サイバーダイン<7779>が同2.1%安、そーせいグループ<4565>が同変わらずとマザーズ時価総額上位は引き続き上値が重かった。しかし、アカツキ<3932>は同13.6%高と強い値動きが続き、仮想通貨関連のリミックスポイント<3825>はリリースが観測されたこともあり、週末にかけて強い切り返しを見せた。また、遺伝子治療薬が期待材料となっているアンジェスMG<4563>や、特発性肺線維症治療薬の中国展開が注目されるジーエヌアイグループ<2160>といったバイオ株が週間のマザーズ上昇率上位に並んだ。反面、決算発表を受けて材料出尽くし感が広がったフィット<1436>やゲーム株のモブキャスト<3664>などが下落率上位だった。ジャスダック主力では、セリア<2782>が同2.7%高と堅調だったものの、ハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が同4.3%安となるなどまちまちだった。売買代金上位ではシンバイオ製薬<4582>やブロッコリー<2706>などが買われた。また、決算が好感されたシステム ディ<3804>やプラコー<6347>が週間のジャスダック上昇率上位となる一方、利益確定売りに押されたリバーエレテック<6666>やシンデン・ハイテックス<3131>が下落率上位となった。約2ヶ月ぶりのIPOとなったビーブレイクシステムズ<3986>は公開価格の約4.6倍となる高い初値を付けた。
今週の新興市場は、中小型株の循環物色の流れが続きしっかりした展開となりそうだ。高値警戒感から一進一退となる場面もあるだろうが、バイオやゲーム、仮想通貨関連の人気株を中心に個人投資家の物色意欲は強く、短期調整局面では積極的な押し目買いが入っている。円安機運が高まらず、日経平均の上値が重いことから、中小型株に資金が向かいやすい状況が続くとみられる。
バイオ株ではアンジェスMG、ジーエヌアイグループ、シンバイオ製薬に加えラクオリア創薬<4579>などに循環的に物色が向かっており、前週下げの目立ったモブキャストやドリコム<3793>といったゲーム株にもリバウンド狙いの買いが入る可能性がある。なお、今週は6月22日にオプトエレクトロニクス<6664>などが決算発表を予定している。
IPO関連では、6月20日にディーエムソリューションズ<6549>がジャスダックへ、21日にエコモット<3987>が札証アンビシャスへそれぞれ新規上場する。ディーエムソリューションズは物流関連として注目する向きがあり、エコモットは地方市場上場ながらIoT(モノのインターネット)関連として人気を集めているようだ。なお、先週はユニフォームネクスト<3566>(7月19日、マザーズ)など3社の新規上場が発表されている。また、佐川急便を傘下に持つSG HDが東証に上場を申請したと発表している。
《FA》
提供:フィスコ