【市況】米国株式市場見通し:長期金利動向に注目
先週のFOMCでは利上げが実施され、年内のバランスシート縮小にも言及した。インフレ指標は低下傾向にあるものの、連銀が利上げ(金融正常化)のプロセスを休止する様子は見られない。長期金利が低下傾向にありイールドカーブ(長短金利差)が平坦化している為、主要金融機関の収益の落ち込みが懸念される。今夏に金融セクターが株式相場の下落をリードする形で大きな株価調整が起これば、連銀も金融正常化のプロセスを見直す必要性に迫られることになるだろう。トランプ政権による減税策が実現するまでは、株式相場のサポート要因に乏しい状況が続きそうだ。
アマゾンがホールフーズを買収したことで、食料品小売の分野でもアマゾンが大きな変革をもたらすかが注目されている。アマゾンは10年以上にわたり、生鮮食料品についても宅配や取り置きなど様々な販売方法を試みてきたが、結果として従来の店舗型小売店であるホールフーズの買収に踏み切ったことは興味深い。ホールフーズは有機食品などを中心に扱う高級スーパーで、当面は現状のブランドや運営が維持される見通しであり、買収による効果・変化を確認するには1-2年程度を要するだろう。
今週はソフトウェアのアドビ・システムズ(20日)、レッドハット(20日)、オラクル(21日)、運輸のフェデックス(20日)、中古車販売のカーマックス(21日)、家庭用品小売のベッドバス&ビヨンド(22日)などの発表が予定されている。アドビ・システムズの決算では、従来のパッケージ販売からサブスクリプション形式へといち早く移行し、堅調な業績拡大が期待できそうだ。
経済指標関連では、5月中古住宅販売件数(21日)、4月FHFA住宅価格指数(22日)、5月新築住宅販売件数(23日)、5月景気先行指数(22日)などの発表が予定されている。先週発表されたハーバード大学による米住宅市場の調査では、需要や住宅価格、建設件数などが、金融危機以降の落ち込みからようやく平時の状態へ回復したとの見方が示されており、今週の住宅関連経済指標でも堅調な内容が確認できそうだ。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ