【特集】70代到達“団塊の世代”関連株の注目どころ、商機はどこに? <株探トップ特集>
HIS <日足> 「株探」多機能チャートより
―拡大するシニア世代対象ビジネスの成長分野は―
シニア向けビジネスが一段と成長を見せている。総務省が発表した最新の人口推計によると、65歳以上人口が3467万人と、全人口の27.3%を占めるなどマジョリティとなっている。市場規模が拡大するシニア世代を対象としたビジネスにおいて、特に成長が期待できる分野と関連銘柄に注目したい。
●後継者不在で事業承継のチャンス増加
2017年は、団塊の世代(1947~1949年生まれ)が70歳に差しかかる時期となる。これまでは定年に伴う会社員の大量退職、生産人口の減少という形で表れてきたが、今後は企業の経営者層の後継者問題などについても注目が集まりそうだ。
東京商工リサーチによる「2016年全国社長の年齢調査」によると、全国の社長のうち70代以上が24.12%を占めている。4人に1人が70代以上ということだが、社長の平均年齢も上昇傾向にあり、その割合が今後もさらに高まる可能性がある。
また、70代以上では減収率、最新期の赤字(当期純損失)率、前期の赤字率、連続赤字率が年代別でみていずれもワーストという結果が出ている。社長の過去の成功体験が時代に即した経営の妨げとなることが指摘されているが、後継者不在の場合は新規の投資意欲を削ぎ、付加価値や競争力が減退し業績悪化につながっているケースが多いようだ。
年齢分布は産業で格差が生じている。市場拡大が見込まれる産業は新規開業や事業承継が進み、結果として社長の年齢も若返る傾向にあるが、中核となる製造業ではこの動きが最も鈍い。今後進退の決断が待ったなしで迫ってくることは明らかで、企業の存続をかけた動きはより活発化しそうだ。それに関連する銘柄では、日本M&Aセンター <2127> 、M&Aキャピタルパートナーズ <6080> 、ストライク <6196> [東証M]などに注目。収益機会が必然的に高まることが予想される。
業態の垣根を越えた提携も珍しくない。首都圏を中心に投資用マンションの開発を手掛けるディア・ライフ <3245> が9日、日本経営承継支援(東京都新宿区)と資本・業務提携を締結したと発表した。資本・業務提携は、ディア・ライフが保有する不動産関連ノウハウと日本経営承継支援の持つ事業承継・M&A関連ノウハウを融合し、事業モデルの構築および共同事業の展開を図るとしている。
他にも、複数の中小食品企業のM&Aで実績を有するヨシムラ・フード・ホールディングス <2884> 、M&Aアドバイザリー業務を行うジャパンインベストメントアドバイザー <7172> [東証M]、海外M&Aに強みを持つGCA <2174> などの動向からも目が離せない。
●老後の娯楽を楽しむ
自由に使える時間と、余裕のある予算で退職後に旅行を計画するシニアは少なくない。国内では温泉や神社・仏閣巡り、海外ではヨーロッパやアジアのリゾートを時間をかけて巡る旅行が人気を集めている。
KNT-CTホールディングス <9726> 傘下でシニア向け旅行企画を手掛けるクラブツーリズムは、「旅行先で何をするか」といったテーマ旅行が好評だ。エイチ・アイ・エス <9603> では、60歳以上に人気のあるコースを掲載した情報誌「旅通信」を発行し、呼び込みに力を入れている。熟年の旅行者向けにサービスを提供するユーラシア旅行社 <9376> [JQ]では、海外の世界遺産巡りや自然探検といったテーマに加え、比較的高単価な企画を販売するなどして、差別化を図っている。
一方、シニア層の旅行内容に変化が出ていると指摘する声もある。これまで、シニア層の旅行は移動手段・宿泊先・滞在中の過ごし方など全てにお金をかけて満喫するというイメージがあった。しかし、ここ最近はメリハリを利かせて、お金をかけるポイントを決めて行動するシニア層が増えているという。
シニア向け宿泊予約サービスを提供するゆこゆこ(東京都中央区)が発表した「2016年 シニア層の国内旅行動向調査」によると、宿泊施設を探す際の情報源や予約方法はネットへのシフトが進んでいることがわかった。旅行代金を節約したり、移動手段を新幹線から高速バスに変えたり、宿泊施設をビジネスホテルに変更したりと自分自身でカスタマイズする人が増えてきたことに比例している。
シニアのネット利用者数拡大から、オンラインで予約できるエボラブルアジア <6191> 、アドベンチャー <6030> [東証M]、オープンドア <3926> などへの収益寄与が期待できそうだ。また、4月に上場したばかりの旅工房 <6548> [東証M]もマークしておきたい。
●老後への準備、家族に迷惑をかけない心配り
厚生労働省が今年3月に発表したデータによると、日本人の平均寿命は女性86.99歳、男性80.75歳と長寿社会だが、健康寿命はそれよりも短い。そこで自分の死後、遺族に迷惑をかけないように早めに“終活”を始めるシニア層もいる。
関連銘柄として、 葬儀など情報を載せたポータルサイトを運営する鎌倉新書 <6184> [東証M]、葬儀社向け遺影写真加工を手掛けるアスカネット <2438> [東証M]、傘下に冠婚葬祭、石材子会社を要するこころネット <6060> [JQ]にも目を配っておきたい。
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