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【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:FBI前長官証言、英総選挙、アップル年次開発会議


■株式相場見通し

予想レンジ:上限20500-下限19800円

来週は、雇用統計の結果を受けた市場反応から始まるが、雇用統計については非農業部門雇用者数が13.8万人増(市場予想18.5万人増)とコンセンサスを下回った。しかし、2日の米国市場は、失業率が16年ぶりの低水準に改善したことが好感されている。NYダウ、ナスダック、S&P500いずれも史上最高値を更新するなか、この流れを受けた日本株市場も底堅い展開が意識されそうだ。

日経平均は、意外とあっさり2万円を回復した印象である。米雇用統計への期待から先回り的な動きもあったとみられるが、もち合いレンジを超えてきたことから、ショートカバーを誘う流れにもなったようだ。また、1日を通じて上昇が続いており、機関投資家による債券から株式への資産シフトといった流れが強まったようにみられる。

もっとも、円相場は雇用統計発表後に1ドル110円台半ばと円高に振れているほか、米国が地球温暖化防止対策の取り組みである「パリ協定」からの離脱を発表したことから、原油先物相場が調整含みであることが重しになりそうだ。その他にもロシアゲート問題に揺れるトランプ政権だが、FBIのコミー前長官に圧力をかけたとされる問題で、コミー氏が早ければ8日にも上院情報特別委員会で証言する意向である。政治混乱リスクが高まりやすいなか、強弱感が対立しやすいところでもある。

また、FRB長官の証言に対してホワイトハウスは2日、トランプ大統領が証言を阻止するための法的な選択肢を検討していることを明らかにしている。証言が実施された場合の市場への影響がより警戒されやすい。一方、これを無難に通過するようだと、一段とトレンドが強まりやすいだろう。

その他、英国では8日に総選挙が実施される。先週はメイ首相率いる与党保守党が過半数の議席を確保できない可能性があるとの調査結果が伝えられ、いったんは欧州不安が和らいでいた。ただ、結果がネガティブ視されたとしても、直近の上昇による短期的な過熱警戒感が高まりやすいなかでは、過熱を冷ます一服として捉えられよう。反対に、良好な需給状況のなか、日経平均の2万円以下での押し目買い意欲は強いと考えられ、調整局面が押し目買いの好機とみる向きもありそうだ。

さらに、今週は米アップルの年次開発会議が開幕する。報道では音声AIアシスタントSiriを搭載したスマートスピーカーの発表が予想されている。世界のハイテク株の上昇をけん引してきた米アップルのトレンドが一段と強まるかが注目されるところ。反対に、トランプ政権への不透明感と、アップルの材料出尽くしといった動きが重なるようだと、先週のリバウンドが帳消しになるリスクはありそう。とは言え、機関投資家の本格的な資金流入が意識されるなか、押し目買い意欲は相当強いと考えられ、需給状況はしばらく悪化しそうにない。



■為替市場見通し

来週のドル・円は、は伸び悩みか。先に解任されたコミー前米連邦捜査局(FBI)長官の議会証言が8日に予定されており、証言内容を見極める展開となりそうだ。2016年の大統領選でのトランプ陣営とロシアとの関係についての捜査をトランプ大統領が妨害しようとした疑いがあり、コミー氏の証言内容から疑惑がさらに深まった場合、トランプ大統領の政権運営に不透明感が増すだろう。減税を柱とした経済政策の導入は大幅に遅れるとの懸念が広がり、ドル売り材料になりそうだ。


■来週の注目スケジュール

6月 5日(月):中財新総合PMI、英総合PMI、米ISM非製造業景況指数など
6月 6日(火):車名別新車販売、ユーロ圏総合PMI改定値、ユーロ圏小売売上高など
6月 7日(水):景気動向指数、独製造業受注、ユーロ圏GDP確定値など
6月 8日(木):GDP改定値、豪貿易収支、コミー前FBI長官証言など
6月 9日(金):第3次産業活動指数、中消費者物価指数、独貿易収支など
6月10日(土):中マネーサプライなど
6月11日(日):仏選挙第1回投票など

《TM》

 提供:フィスコ

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