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【市況】国内株式市場見通し:トランプ議会演説後は全人代控え、中小型株物色継続か

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

先週の日経平均は小幅に上昇。週を通じてこう着感の強い相場展開が続いた。注目された連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では、短期金利の「かなり早期」の引き上げが見込まれていることが明らかになった。しかし、3月利上げ観測が高まるなか、円相場は113円台前半での推移と反応は限られており、次第に戻り売り圧力に押される展開。また、28日に米上下院両院が開催する合同会議でトランプ大統領による議会演説が予定されており、政権運営の方針を示す。これを見極めたいとする模様眺めムードが強く、方向感の掴みづらい相場展開のなか、積極的な売買は手控えられた。

もっとも主力処は不安定ながらも、需給関係が良好な個人主体の売買は活発であり、外部要因に振らされ難い新興市場の中小型株への売買が目立った。これにより、JASDAQ平均は11営業日続伸で1990年以来の高値を更新したほか、マザーズ指数は5日続伸で昨年7月の戻り高値水準を回復。東証2部指数については2006年の高値を突破し、史上最高値を更新している。

今週は28日のトランプ大統領による議会演説が、まずは相場の変動要因になろう。議会演説の内容のほか、これを受けた米株式市場の動向に振らされそうである。足下でNYダウは11営業日続伸で最高値を更新する一方で、高値警戒感から急落リスクを警戒する向きはある。ただ、日本株市場についてはこれを警戒した中でのこう着であり、議会演説を受けて乱高下があったとしても、織り込み済みとしてアク抜けも意識されそうである。

一方でトランプ大統領の「米雇用を取り戻す」に向けた政策等が好感される可能性はある。ただし、自国優先のなか、競合企業にとっては不透明感につながりやすい。さらに米国の核戦力増強に積極的な姿勢を示していることは、不安要因になるだろ。米国市場の下げに対する連動性は高まる一方で、上昇局面においての相関性は薄れよう。

また、来週は3月1日に米地区連銀経済報告(ベージュブック)が公表されるほか、イエレンFRB議長の講演が3日に予定されており、3月利上げへの思惑が再び強まる可能性もあり、金利動向やこれを受けた為替動向などを睨みながらの相場展開になろう。日経平均は相当煮詰まり感が台頭しており、横ばい推移ではシグナルが悪化傾向をみせてくる。24日の米国市場ではNYダウが11連騰をみせるなか、シカゴ日経225先物は19200円を下回っている。これにサヤ寄せする格好から、週初は弱含みの展開となり、トランプ大統領の議会演説待ちとなる。この時点でシグナルは悪化するため、売り仕掛け的な動きには警戒しておきたい。

翌週にはメジャーSQを控えているほか、それを通過すると期末要因からより動けなくなるだろう。タイミングとしてはもち合いレンジの上放れに期待したいところだが、調整が長引く可能性もあり、物色の流れとしては個人主体とした中小型株での値幅取りが中心になりそうである。なお、名実共に3月相場入りとなることから、ややフットワークは軽くなりそうである。トランプ大統領の議会演説後の米株急落リスク等を過度に警戒している面もあり、アク抜けが意識される局面において、もち合いレンジを上放れてくるようだと、ショートカバーを交えた本格的なリバウンド相場に移行する可能性はあるだろう。5日からは中国全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が開幕する。中国の政策期待等が支援材料になりそうだ。

その他経済スケジュールでは、1日に2月の米ISM製造業景況指数、2月の中国製造業・非製造業PMIが発表される、3日に2月の米ISM非製造業景況指数が発表される。イベントとしては3日に 任天堂<7974>が新型家庭用ゲーム機「スイッチ」を発売する。

《FA》

 提供:フィスコ

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