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【通貨】為替週間見通し:やや弱含みか、トランプ大統領の議会演説を見極める展開

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

■米税制改革への過剰な期待低下でドルは一時112円割れ

先週のドル・円相場は弱含み。3月利上げ観測は大幅に後退し、米長期金利は低下したことから、24日のニューヨーク市場でドルは一時112円を下回る場面があった。ムニューチン米財務長官は23日、「おそらく、長期にわたり低金利が続く」、「新政策による2017年の影響は限定的」と指摘したことが材料視された。税制改革や財政出動の効果が表れるのは2018年以降になるとの見方が広がり、リスク選好的なドル買いは縮小した。

また、米議会共和党が推進している国境調整税について、ニューヨーク地区連銀が24日に公表した報告書で、「国境調整税が導入された場合、米国の輸出と輸入の双方が阻害される可能性がある」との見解が示されたことも一部でドル売り材料となったようだ。

市場関係者の間からは、「ムニューチン財務長官の発言は金利上昇をけん制する意図があり、トランプ政権下で米連邦準備理事会(FRB)が利上げを何度も行うことは難しくなる」との声が聞かれた。NYダウが取引終了前に反転したことを意識してリスク回避的なドル売りは一服し、ドル・円は112円15銭で24日の取引を終えた。取引レンジ:111円94銭-113円78銭。

■やや弱含みか、トランプ大統領の議会演説を見極める展開

今週のドル・円はやや弱含みか。トランプ米大統領は就任後初の議会演説を28日に行う。その場で具体的な経済政策などが提示されるとみられているが、市場の高い期待に十分応えることができる内容かどうか、慎重な見極めが必要になりそうだ。また、3月14-15日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えてイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長が経済、インフレ見通しについて慎重な見解を表明した場合、3月利上げ観測は大幅に後退しドル売りを促す要因となるだろう。

トランプ大統領はこれまで、3%超の経済成長率を目指しインフラ整備への5500億ドルの投資のほか、税制に関しては連邦法人税率を35%から15%への引下げ、所得税率の引下げの一方、企業の海外所得への課税などに言及している。ただ、大規模な財政支出によって財政赤字は増大し、金利上昇を招くことで景気悪化の要因となりかねない。それゆえに、財政支出は現実的な規模に落ち着くとの見方は少なくない。税制改革に対する市場の期待はやや低下しており、内容次第では株売り・ドル売りが強まる可能性がある。経済政策がある程度市場の期待に沿った内容でも、当面のドル買い材料出尽くしとなることでドル売りが再び強まる可能性は残されている。

また、イエレンFRB議長とフィッシャーFRB副議長の発言も材料視されそうだ。イエレンFRB議長は3月3日にシカゴで開かれるイベントに出席し、経済見通しについて話す予定となっている。同日にはフィッシャーFRB副議長も金融政策に関するフォーラムに出席し、講演を行う。FRB議長と副議長の発言内容がハト派寄りならドルは一段安となり、心理的な節目である110円を試す展開もあり得る。

【トランプ米大統領議会演説】(2月28日予定)
トランプ大統領は就任後初となる議会演説を行う。すでに「驚くべき税制改革について明らかにする」と発言しており、大型減税やインフラ投資など景気刺激策の具体的な内容に言及すると期待されているが、市場の高い期待を下回る内容だった場合、株安・ドル安の相場展開となる可能性がある。

予想レンジ:110円00銭-114円00銭

《FA》

 提供:フィスコ

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