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【市況】国内株式市場見通し:トランプ政策待ち、東芝問題の影響で個人マネーは中小型株へ

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

先週の日経平均は下落。週初こそ、前週末の大幅上昇の流れを受けて、節目の19500円を回復する場面をみせた。連日で最高値を更新するNYダウや原油相場の上昇が好感されたほか、日米首脳会談では、日本が名指しで通貨安誘導と批判されることはなかったため、この結果を受けた円相場の落ち着きが好感された。その後はイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長証言に市場の関心が移るなか、注目された内容は「利上げを先送りするのは賢明でないとし、インフレ率や労働市場の改善が進めば、更なる利上げが必要になる」との認識を示した。利上げ観測の拡大を受け、金融セクター中心に幅広い銘柄に買いが先行する場面もみられた。

しかし、東芝<6502>が需給面での重しとなった。決算発表の一ヶ月延期、3月末での債務超過への可能性から、最悪の場合は東証2部降格が警戒されやすい状況に。機関投資家の保有株放出、ヘッジ対応で先物への売り圧力への思惑が強まる格好となり、さらにインデックス売りを誘発。需給不安が強まりやすいなか、指数インパクトの大きい値がさ株などには断続的な売りが出ており、これが日経平均を押し下げる一因となった。その他、ロシアとの接触問題で、トランプ米大統領の国家安全保障担当補佐官を務めるマイケル・フリン氏が辞任するなど、トランプ政権への政策実行力への不安も積極的な売買を手控えさせたようだ。

今週も基本的にはこう着感の強い相場展開が続きそうである。早ければ3月にも利上げする可能性があるというイエレンFRB議長の議会証言でのメッセージは、他の地区連銀総裁が先週、一斉に同様の見解を示している。JPモルガンでは、次回の米利上げ予想時期を6月から5月に前倒しするなど、早期利上げに対していっそう現実味が増してきている。22日に米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が公表されるため、この内容を受けて、より3月利上げへの思惑が強まる可能性がありそうだ。一方で、トランプ大統領と議会がどのような政策で景気を刺激するのかが不透明なため、政策待ちとなる。2月中に発表されることから、発表までは様子見姿勢に向かいやすいだろう。市場は期待以上に織り込んでいるとみており、発表後は失望につながるとの見方がコンセンサスのようである。とはいえ、連日で最高値を更新している米国市場については、良好な需給状況のなか、直ぐさまトレンドが崩れることはないだろう。

一方で日本については東芝問題による需給面での影響が続くことになりそうだ。17日時点で東芝の時価総額は7797億円となり、この1ヵ月半程度で1兆円超も目減りしている。売却を検討しているメモリー事業の事業価値が1.5兆円規模ともいわれており、売却交渉の進展次第では経営不安が後退する。しかし、3月期末まで時間はなく、進展が見極めづらいなか、機関投資家の保有株放出による需給懸念への警戒が強まりやすく、仕掛け的な売りが出やすい需給状況になりそうだ。また、今週を通過すればもう3月に入る。3月に入ればメジャーSQでの波乱警戒や、決算期末を意識した中では積極的なポジションは取れないだろう。そのため、物色の流れは、個人主体によるインデックスに振らされ難い、中小型株にシフトしやすい。その他、期末を意識したリバランスの流れから、高値圏に位置する銘柄への利食いに対して、売り込まれていた銘柄へのショートカバーが入りやすくなりそうだ。

その他、経済指標では20日に1月の貿易収支が発表される。21日に2月のユーロ圏製造業PMI(速報値)、22日に2月の独Ifo景況感指数、1月の米中古住宅販売件数、24日に1月の米新築住宅販売件数が発表される。その他、毎月最終金曜日に通常より早い退社を促し、個人消費の喚起を狙う「プレミアムフライデー」が24日に初めて実施される。今週は米小売企業の決算も予定されていることもあり、消費関連への関心が集まりやすそうだ。

《FA》

 提供:フィスコ

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