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【通貨】為替週間見通し:底堅い展開か、トランプ次期政権の政策に対する関心強まる

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

■ドル反転、米平均時給上昇で117円台に戻す

先々週・先週のドル・円相場は反転。3日に発表された米12月ISM製造業景況指数は市場予想を上回ったことから、ドルは一時118円60銭まで上昇した。5日発表の12月ADP全米雇用報告は市場予想を下回る前月比+15.3万人にとどまったことや、中国金融当局は人民元安を阻止するために市場流動性を低下させる措置を講じるとの思惑が浮上し、リスク回避の動きが広がったことから、ドルは一時115円07銭まで売られる場面があった。

しかしながら6日に発表された12月米雇用統計では、平均時給が前年比+2.9%のやや高い伸びを記録したことからドル売りは後退した。12月の非農業部門雇用者数は予想を下回ったものの、過去2カ月分の雇用は上方修正されたことや平均時給が2009年来の大幅な伸びを示したため、早期追加利上げ観測が台頭し、リスク選好的なドル買いが活発となった。

トランプ次期政権が計画している財政拡張策は経済成長を加速させるとの見方は依然として多いが、賃金上昇の兆候が表れており、インフレ見通しに影響を与える可能性があることから、米連邦準備理事会(FRB)が目標としている2%のインフレ率は年内に達成可能との見方が浮上している。一部の市場関係者は「1月31日-2月1日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で早期追加利上げの必要性について議論される可能性が高い」と指摘しており、3月利上げの思惑が浮上している。取引レンジ:115円07銭-118円60銭。


■底堅い展開か、トランプ次期政権の政策に対する関心強まる

今週のドル・円は底堅い展開か。昨年11月の米大統領選以降の急激なドル高を調整する動きが一時的にみられたが、トランプ次期政権による経済政策はドル高を促すとの見方が依然として多いことや、賃金上昇の兆候が表れている。米連邦準備理事会(FRB)は2017年に3回以上の利上げを行う可能性は残されていることから、ドルの下値は堅そうだ。

今月20日の新政権発足に向け、トランプ氏の政策への関心が一段と高まろう。大統領報道官に就任予定のスパイサー氏は1日、メディアとのインタビューで、「経済成長や雇用創出に悪影響を与えたオバマ政権の政策の多くを、トランプ氏が就任初日に廃止する」と言明した。トランプ次期米大統領は11日にニューヨークで正式な記者会見を開く。記者会見では通商問題や経済・財政政策に関する質問が出てくると予想されており、トランプ氏の応答が注目される。経済成長や雇用創出につながる政策への市場の期待は高く、トランプ氏が財政拡大の意向を改めて表明した場合、ドルは買われやすい見通し。

一方、12月13-14日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)議事録によると、ドル高リスクに対する警戒も出始めており、13日のイエレンFRB議長の発言も注目される。

【トランプ次期米大統領の記者会見】(11日予定)
トランプ次期米大統領が11日にニューヨークで正式な記者会見を開く。トランプ氏は昨年8月以降、記者会見を一度も実施していない。記者会見では通商問題や経済・財政政策に関する質問が出てくると予想されており、為替や金利についてトランプ氏が発言した場合、市場に大きな影響を与える可能性がある。

【イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長講演】(12日予定)
12日(日本時間13日午前9時)にイエレンFRB議長が講演する。12月13-14日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)ではトランプ政権の景気刺激策により利上げ加速の可能性に関する発言や、ドル高リスクへの言及が議事録から明らかになった。ドル高けん制発言が警戒される。

【米・12月小売売上高】(13日発表予定)
13日発表の米12月小売売上高は前月比+0.5%と、11月の+0.1%を上回る見通し。12月消費者信頼感指数は高い水準を記録しており、予想通りでもドル買い材料となる。

予想レンジ:116円00銭-119円00銭

《FA》

 提供:フィスコ

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