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【特集】「年末の定番商品『投資カレンダー』って何?」大岩川源太氏に聞く!<直撃Q&A>

大岩川源太氏(株式評論家)
 毎年、Amazonのカレンダー売れ筋ランキングで上位に顔をのぞかせるカレンダーがある。それが「投資カレンダー」(大岩川源太著、徳間書店)で、11月初旬にはAmazonのカレンダー売れ筋ランキングでトップ10入りしている。投資関連のグッズとして人気の高いこのカレンダーについて、執筆者である株式評論家の大岩川源太氏に作ったきっかけや来年の見どころについて聞いた。

Q1 「投資カレンダー」を作ったきっかけは?

大岩川 「投資カレンダー」の前身は、2006年から証券専門紙の一つで作っていた「投資暦」というものでした。その「投資暦」を作ろうと思ったのは、当時、講演会などで1週間や月ごとの動きについて、「これこれこうなるのは、運用者的な動きからこうなるんですよ」という話をしたのですが、聞いている人の反応が鈍かったからです。

 当時からアノマリーなどを話す人はいましたが、「10月は暴落する確率が大きい」という話はしても、「なぜそれが起きるのか」といった話をする人が多くはいませんでした。それに対して、私が「10月に暴落することが多いのはなぜか」「11月に決済をしなきゃいけないけど、11月に株が上がらないと思ったら10月に売っちゃうでしょ」というような話をしても、聞いている人が腑に落ちない顔をしたのです。運用者の視点から相場を見るということが、個人投資家には馴染みがなかったからなのですが、だったら、ヒントとなるようなものを作ろうと思ったのがきっかけでした。

 例えば、株式講演会などでも、外国人が売らなければいけない月や買わない月にも関わらず、「今の相場の主役は外国人ですから○○という銘柄です」と言う人が意外に多かったのですが、それは明らかにおかしい。「時期時期によって相場の主人公が違うのだから、それに合わせて考える必要がある」ということをお伝えするのが投資カレンダーです。

Q2 2017年版がこれまでと違うところは?

大岩川 運用者的な視点に加えて、日柄や、出来高など複数の指標から見た相場のバイオリズムなどをもとにして、流れが変わりやすい日、相場の転換点となる日を「ポイントの日」として掲載しています。06年1月のライブドア・ショックや、08年9月のリーマン・ショックなどはまさにそのポイントの日であり、当時の「投資暦」にも書いています。

 来年はその「ポイントの日」が多いのがこれまでと違うといえるでしょうか。特に、ポイントの日となるすべての構成要素がカチッと揃うというのではなく、一つだけ揃わないといった日が多くあります。こういう年は短いタームで相場つきが変化しやすいのが特徴で、その時々の投資判断が難しい。だからこそ、そのポイントの日に相場がどう変化しても良いように、準備する必要があると言えます。

Q3 米大統領選挙はどこまで織り込んでいますか?

大岩川 原稿ができたのが6月ごろですから、「誰が大統領になるか」よりも「アメリカの景気はどうなるか」を考え、「それに対してどのような経済対策が考えられるか」を考えて書きました。アメリカの景気のサイクルや現在の技術革新の状況、中東情勢の不透明さなどを考えると、アメリカの景気は来年後半から弱くなると見ていますし、日本も同様に来年後半から不透明感が増すとみています。こうしたことは、毎月の相場の対策にも反映しています。

Q4 最後に12月の相場の「ポイント」は?

大岩川 来月は1日がカレンダー上の「ポイントの日」となります。ここでまず、外国人が買いで来るのか、売りで来るのかを見極めること。ただ、この時点で既に相場の位置は高くなっていると思われますし、9日にはSQもあるので、できることは限られると考えています。12日の週はトランプ米次期大統領の出方次第といったところですが、その翌週の23日の金曜日が祝日なので、強気のスタンスは取りにくい。その後、最終週は再び買い意欲が高まりそうですが、いずれにしても年末に向けて全面的に相場の強さを信用するには難しいと考えています。そのため、材料株や軽量株に物色の矛先が向かうのではないかと思います。

(聞き手・浅野尚仁)

<プロフィール>(おおいわがわ・げんた)
1981年今川証券に入社。個人営業、株式ディーラー、事業法人・金融法人部門などを経験。97年に今川証券を退社。その後は投資情報サイト「ファイナンシャルスクウェア」を立ち上げインターネットに強い投資顧問の先駆け的存在に。日本テレビ系列の「週刊オリラジ経済白書」などテレビ出演も多く、現在も投資顧問業の傍ら株式評論家としてラジオNIKKEIなどに出演中。

出所:株経ONLINE(株式会社みんかぶ)

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