市場ニュース

戻る
 

【特集】「トランプ大統領で世界はこう変わる」菅下清廣氏に聞く!<直撃Q&A>

菅下清廣氏(国際金融コンサルタント)
 トランプ次期米大統領を中心に世界が回り始めた。経済への強力な政策支援で米国経済はさらに高みを目指すのだろうか。またその時、日本経済はどうなるのか。期待と不安が交錯する2017年を前に、“経済の千里眼”の異名を持つ、国際金融コンサルタントの菅下清廣氏は惑うことなく強気の見解を示す。強いアメリカ、そして同国をとりまく世界経済の行方について聞いた。

Q1 菅下さんはトランプ大統領の誕生で大インフレ政策が始まるという見方を示しておられます。日米経済への影響、また日米の株式市場に与える影響についてはどうみますか?

菅下 トランプ次期米大統領は5兆ドルの減税と1兆ドルのインフラ投資に言及している。これは日本円に置き換えれば実感できると思うが、550兆円の減税と110兆円のインフラ投資というのはケタが違うわけで、世界を見渡して歴史的にもこれほどインパクトのある経済対策はなかったといって過言ではない。実行されれば大インフレ政策だ。これは米国のみならず世界ベースでみても大きな影響を及ぼすことになる。

 世界経済は長期停滞している。何が問題かといえば、需要が不足しているという説が有力だ。米国も日本も多くの中産階級が地滑りを起こして下層階級に落ちてしまっている。モノが行き渡っている状況で無理にお金を使う気は起きない。また富裕層は高齢者が中心で回るべきお金が回らない状態なのだ。それを動かす方策としてトランプ次期米大統領の打ち出す政策は大きなインパクトがある。トランプ新経済政策が前進すれば、2017年にNYダウは2万ドルを目指す展開となるだろう。また、日経平均は当面2万2000円前後まで水準を切り上げていく。

 外国為替市場でもドル買いの流れが一段と強まっていくはずだ。1ドル=105~110円のゾーンをわずかな期間で走り抜け、早晩110~115円のゾーンへとボックスを切り上げる展開となるだろう。17年はさらにドル高円安が進み、15年の6月につけた125円66銭近辺を抜けて130円台への円安が予想される。

 そして、仮に自民党が現在の党則を改めて18年9月に総裁選を実施し、安倍首相が勝利して21年9月までの任期となった場合は、日本株にとっては強気のシナリオが待つ。安倍政権の「連続3期9年」が現実化する可能性は高いと考えているが、それを前提に株価の波動から判断すると、18年、遅くとも19年には日経平均で2万7000円が目標値となってくる。

Q2 世界経済は長期停滞時代に突入するとみておられますが、そのなかで、菅下さんは日本が勝ち組になるとの見解をお持ちです。その背景を教えてください

菅下 トランプ次期米大統領の政策推進でもたらされるのは米国の経済的な繁栄。その恩恵を最も受けるのは日本だ。

 なぜか。欧州は当面の間、かつての日本のようなバランスシート不況を引きずることになる。台頭著しかった中国も内情は不良債権の山であり、国家資本主義においても当面は厳しい局面にさらされる(ただし長期的には蘇るとみている)。ロシアやブラジルは資源価格連動経済だ。原油価格は底が入っても大幅な回復は見込めないことで、ロシア単独の復活は難しい。これが日ロ間での経済協力にロシア側が前向きな姿勢を示す理由だ。また、インドは人口が多く、経済的にもIT分野の実力など発展を遂げる要素を多く内包しているが、政治的には秩序なき混乱があり、統制がとれておらず、一流国家への道は遠いだろう。

 トランプ次期米大統領の政策はアベノミクスと方向性は同じだ。日米が、一人勝ちならぬ“二人勝ち”の状況を作り出す。その答えは資産インフレだ。これからは株と不動産の時代が来る。それを早く察知して投資に生かすことが賢明な投資家といえるだろう。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(すがした・きよひろ)
国際金融コンサルタント、スガシタパートナーズ株式会社代表取締役社長、立命館アジア太平洋大学学長顧問。経験と人脈を知識に裏打ちされた首尾一貫とした主張にファンも多く、政財界はじめ多くの信奉者を持っている。著書に、ベストセラーとなっている「今こそ『お金』の教養を身につけなさい」(PHP研究所)、「資産はこの黄金株で殖やしなさい!」シリーズ、「株とチャートでお金持ちになる!」近著に「おとぎ話でわかる戦後日本経済史」(キノブックス)など多数。最新刊「第4次産業革命で一人勝ちする日本株」(実務教育出版)を12月1日に全国発売開始。

出所:株経ONLINE(株式会社みんかぶ)

株探からのお知らせ

    日経平均