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2016年11月19日20時00分

【特集】爆騰カウントダウン、低位株“地殻大変動相場”が始まる <株探トップ特集>

エンシュウ <日足> 「株探」多機能チャートより

―エンシュウ2日間で2倍の意味するもの、相場環境「コペルニクス的転回」の果ては―

 東京株式市場はリスクオンの潮流に乗り一段と上値追い態勢を強めている。笛吹けど踊らずのアベノミクス相場の限界が意識された2016年相場、11月8日の米大統領選でトランプ氏が下馬評を覆す勝利を収めたことで、そこを起点に相場はコペルニクス的転回を遂げた。日経平均株価は取引時間中に、ついに鬼門の1万8000円ラインを突破、年末相場でさらなる高みを目指す流れにある。

 メガバンク 自動車セクターなど主力大型株の商いを伴った上昇が市場参加者の高揚感を誘うが、実は最も激しい上昇パフォーマンスを演じているのは、株価が低い水準に放置されている「低位株」の範疇に括られる銘柄群である。東証1部、2部、新興市場を問わず、株価300円未満の銘柄に急動意するものが相次いでいる。

●目を見張るエンシュウのビフォア・アフター

 直近ではエンシュウ <6218> の爆発的な上昇が市場関係者の注目を集めている。同社は工作機械メーカーの老舗で技術力は高いが、業績低迷を背景に株価は昨年12月中旬に100円台を割り込んで以降、下値模索の展開を続けていた。6月24日には52円まで売り込まれた経緯があるが、底値圏をさまよった後、株価変貌の瞬間は突然に訪れた。

 ホーニング機能付の立形マシニングセンター(MC)を日産自動車 <7201> と共同開発して12月に市販することを発表、これが投機筋の食指を動かし集中的に資金が流入した。17日に30円高は値幅制限上限の95円に買われたが、18日も30円高の125円と連続ストップ高でなおかつ買い物を残す展開となっている。動意前日の16日終値が65円だったから、わずか2日間で株価はほぼ2倍に化けたことになる。同社が開発した新型機はホーニング加工と切削加工を1台に統合したもので、ユーザー側にとっては設備投資コストの大幅削減につながるものとして脚光を浴びている。

 しかし同社株の大輪開花は、土壌となるマーケットにそれなりの“伏線”があったからこそ、ともいえる。これまで優良株やテーマ株物色の陰に隠れて目立たなかったが、オールドファンには馴染みである名うての低位材料株が静かに復活の時を刻んでいた。

●“万年低位”脱却に向かうユニチカ、既に通期計画超過の宮地エンジ

 ユニチカ <3103> は総合繊維の老舗だが、2009年6月以降は100円台に乗せたことがないという“万年低位株”でもある。株価は重いイメージがあるが、10月以降の戻り足はここ数年来では最強といってもよい。13年5月の戻り高値78円を払拭し、約5年8ヵ月ぶりに80円台に乗せてきた。2014年度から中期経営計画に沿った構造改革を推進、機能材事業など高収益部門への傾注と繊維事業の立て直しで成長フェーズへの復帰を狙う。

 また、宮地エンジニアリンググループ <3431> は9月以降、株価は動意含みの足を示していたが、11月中旬に入って往年の材料株相場を彷彿とさせる上値追い態勢をみせてきた。橋梁・鉄骨大手で国土強靭化計画の担い手となる1社。コスト削減努力の効果発現と好採算工事の進捗で16年4-9月期の営業利益は従来予想の1億円から10億6500万円に大幅上方修正。通期計画を超過している状況にある。この決算発表後は6連続陽線と鮮烈な上げ足を披露し、株価水準を170円から200円回復目前まで切り上げている。

●瞬間湯沸かし器のような急騰パフォーマー、神戸発動機

 今回の「トランプ相場」で東証2部指数はひと足先に年初来高値を更新している。そのなか、瞬間湯沸かし器のような変貌ぶりをみせたのが神戸発動機 <6016> [東証2]だ。東証2部に属する超低位株ならではの瞬発力を発揮、さらに出来高の急増で市場の視線を釘付けにした。株価はストップ高を交えて11月16日に119円まで上昇、昨年7月下旬以来の水準まで一気に駆け上がったが、値幅制限いっぱいに買われた11月11日から17日までの5営業日で累計売買高は4567万株に及んだ。回転売買とはいえ、発行株数2800万株をはるかに上回る商いは、個人投資家を中心とした“飢えた投機資金”が市場を回遊していることを暗示するに十分だ。

 神戸発動機の33%の株式を保有する筆頭株主が三菱重工業 <7011> の完全子会社である三菱重工舶用機械エンジンだ。この三菱重工舶用機械エンジンが手掛けるディーゼルエンジン事業を神戸発動機と統合する方向で合意したと発表したことが人気化の発端である。PBRはまだ0.6倍に過ぎず、時価は急騰後一服局面にあるが、依然として火種がくすぶった状態といえる。

●恐るべきロシア関連の穴株、リンコーの“突然変異高”も必見

 同じく東証2部銘柄で突然変異的な人気となったのが、新潟港を拠点とする運送会社であるリンコーコーポレーション <9355> [東証2]だ。10月中旬に人気化する前は、終日商いが成立しないという日も少なくなかった超品薄株である。それが、最近は10万株単位の商いを日々こなす変貌ぶりで、注目の的となっている。

 18日の東京株式市場では安倍・トランプ会談が話題となったが、12月15日にはロシアのプーチン大統領が来日し、安倍首相と首脳会談を行う予定だ。北方領土問題の進展の可能性については未知数ながら、日ロ間の経済協力などで話が進む可能性がある。そのなかリンコーは新潟市と佐渡でホテル経営も展開していることから、ロシアとの貿易が活発化した場合には恩恵を受けることが必至とみられる。株価は目先300円台に乗せてきたが、指標面では依然としてPBR0.6倍未満とその割安さが魅力となっており、上値を出し尽くした感触はない。

●増額サプライズのA&Aマテ、訪日恩恵でAIも駆使するKNTCT

 エーアンドエーマテリアル <5391> は太平洋セメント系の建材大手だが、原料コスト上昇によるデメリットが一巡する一方、高抗菌性の化粧板が好調、プラントメーカー向けメンテナンス工事の採算向上が工業製品・エンジニアリング事業の収益に寄与している。同社の場合、17年3月期の連結営業利益を従来予想の18億円から22億円(前期比36.8%増)へ大幅増額したことがサプライズとなった。株価は11月14日にマドを開けて急騰、地味な業態を考慮しても天井の低い銘柄だが、時価120円台はまだ値ごろ感もあり投機資金の追撃買い意欲もなお旺盛のようだ。

 KNT-CTホールディングス <9726> は足もと5連騰で上値追い途上にあり、要マーク銘柄となる。安倍首相が掲げる成長戦略では観光産業の発展も重要なテーマであり、政府は2020年の東京五輪開催をひとつのメルクマールとして訪日外客誘致に積極支援の姿勢をみせている。近畿日本ツーリストを傘下に置く同社にもインバウンド恩恵が期待され中期的な追い風が強い。目先は、観光事業者向けにAIを活用した多言語チャットサービスの提供を開始するなど話題性も豊富だ。株価は昨年10月に300円目前まで買われた後、業績不振を背景に1年にわたる下値模索を余儀なくされたが、大底圏で売り物を枯らし逆襲高に転じている。

●次の変身銘柄は? 低位株は「大相場入り口銘柄」の宝庫に

 トランプ次期米大統領がイメージさせるキーワードを一つ挙げるとするなら“インフレ”である。低位株はデフレの象徴として底値圏を這う傾向が強いが、現在のような相場環境になってくると、逆にレジームチェンジの象徴として人気が継続する可能性が高い。

 「スマホ用見開き型液晶」開発報道が投資家の琴線に触れたジャパンディスプレイ <6740> は、見直し人気に乗ったとはいえ、まだ200円台半ば。また、大幅な利益上方修正を境に動きを一変させた曙ブレーキ工業 <7238> は目先のPERで論じる相場ではなく、10年前に1400円近い高値をつけた天井の高さが意識されている。バルチック海運指数の急回復という満ち潮局面で動兆しきりのNSユナイテッド海運 <9110> なども、昨年からのタームでみれば依然として底値圏の領域を出ない。相場の流れが変わった今、業態を問わず、低位株は大相場の入り口に立った銘柄の宝庫であることを、知っておく必要がある。

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