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【市況】S&P 500 月例レポート ― 米国マーケット、「大虐殺の10月」は免れたものの… (2) ―


(1) から続く。

●米大統領選、投票日翌日の9日に注目

 2016年11月30日の石油輸出国機構(OPEC)の総会では、ある程度の生産調整がもたらされるのではないかとの期待から、原油価格が15カ月ぶりの高値となるなど、連日関連するニュースが報じられましたが、譲歩を引き出す手腕や生産量の基準日(米国による対イラン制裁の前か後か)の設定に関する懸念が上値を制限しました。原油価格は9月の48.05ドルを2.8%下回る46.70ドルで取引を終え、金は3.0%安の1,278.90ドルとなりました(9月は1,318.80ドル)。

 また、もし本当に英ポンドのレートを知りたいのなら、それは1.2244ドルです。10月は前月の1.2976ドルから5.6%の下落で取引を終えています(国民投票日の夜には1.50ドルでした。筆者はロンドンに住む娘に新しいコーチのバッグを買ってやることになりそうです)。ユーロは対ドルで1.1240ドルから1.0982ドルまで2.3%の下落となりました。

 政策金利に関しては、大半の中央銀行は様子見姿勢を取り、見通しを示すにとどまりましたが、実際に行動に出た中央銀行も少数ですがありました(インド準備銀行は政策金利を0.25%ポイント引き下げて6.25%としました)。

 11月1-2日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合では、今年12月の金利見直しについてヒントが示されるとみられ、もし利上げなら、昨年以来2年連続の12月利上げとなります(その前の利上げは2006年)。

 市場の関心は早くも3回目の利上げ時期に移っています。現時点での大方の見方では、2017年1月31日-2月1日のFOMCでは、経済が12月の利上げの影響を吸収するのを待つために金利は据え置かれ(2016年は年明けから2月11日までに株式市場が10.5%下落したことを考えると、市場の反応も確認する必要があります)、3月14-15日のFOMCで追加の利上げが行われるとみられています(その次の会合は5月2-3日の予定)。

 11月8日に投票日を迎える米大統領選挙に関しては、現時点において市場はクリントン候補が勝利し、下院は共和党が辛うじて過半数を維持すると予想しています。上院も共和党の過半数が続くとの見方が主流ですが、互角の議席数、あるいは少数ですが民主党の過半数獲得を予測する向きも一部に見られます。投票日以前に市場の見方に変化があれば資産配分の見直しが起こり、万が一それが現実化した場合には、投票日翌日の9日は大商いとなり、一時的に注文の不均衡が生じる可能性があります。

 投資家は投票日当日の夜と翌日の取引開始前に海外市場に目を向けて動向を読み取ることで、選挙前に示されたさまざまなシナリオに基づいて自らが取るべき(あるいは回避すべき)行動を見極める必要があります。

 11月の相場は歴史的には59%の確率で上昇しています。ほとんどの企業で決算発表が終わり、政治的不透明感の一部が解消されることで、市場関係者は市場に戻ってくるかもしれませんが、投資資金を抱えて様子見していた投資家が取引を再開するかどうかは分かりません。筆者の周辺では、彼らがアクティブまたはパッシブのどちらの方向に動くかに関心が寄せられています。

※「米国マーケット、「大虐殺の10月」は免れたものの… (3) 」に続く。

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