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【市況】S&P 500 月例レポート ― 米国マーケット、「大虐殺の10月」は免れたものの… (3) ―


(2) から続く。

●世界経済と中央銀行

 中央銀行については、インド準備銀行(RBI)は経済成長の鈍化を理由に政策金利を0.25%ポイント引き下げて6.25%としました。欧州中央銀行(ECB)は、現行の量的緩和プログラム(2017年3月で終了)の対象となる債券の不足について触れ、政策金利は据え置きました。国際通貨基金(IMF)は2017年の世界経済の予想成長率を3.4%とし、2016年予想の3.1%から加速するとの見通しを発表しました。国別では、米国と英国の成長率予想を下方修正し、ドイツ、日本、インドの成長率予想を上方修正しました。

 9月20-21日のFOMC議事録からは、米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げの準備ができているが今回は据え置きを決めたことが示され、12月利上げの可能性が強まりました。FRBの地区連銀経済報告(ベージュブック)では引き続き、経済が進展しているとの見方が示されましたが、「緩やか」という単語が63回も使われました。FRBは労働力不足と賃金上昇が見られるとも言及しました。

 世界経済に関するニュースでは、中国の9月の輸出(米ドル建て)は前年同月比10.0%減、輸入は同1.9%減となり、貿易黒字は420億ドルとなりました(人民元は対米ドルで6年ぶりの安値になっています)。中国の第3四半期GDP成長率は前年同期比6.7%増(予想通り)、9月の小売売上高は10.7%増(予想通り)、9月の鉱工業生産は6.1%増(予想を若干下回る)となりました。ユーロ圏の8月の鉱工業生産は前月比1.6%増(市場予想は1.1%増)、前年同月比では1.8%増でした。ドイツの8月の鉱工業生産は前年同月比5.4%増となりました。英国の9月の消費者物価指数(CPI)は2年ぶりの高水準となる前年同月比1.0%上昇となり(イングランド銀行の目標は2.0%)、コアインフレ率は1.5%でした。英国の8月の製造業生産は前月比0.2%増(予想は0.5%増)、失業率は同横ばいの4.9%で、11年ぶりの低水準を維持しています。

 OPEC加盟国の9月の産油量は過去最高の日量3,364万バレル(前月比同16万バレル増)となり、ロシアは11月30日のOPEC総会で減産を支持すると表明しました。原油価格は一時、15カ月ぶりの高値となる1バレル51.57ドルを付けましたが、最終的に9月末時点の48.05ドルから2.48%下落の46.70ドルで10月の取引を終えました。英国では、EU離脱を決めた国民投票以降、最初の四半期となった第3四半期GDP成長率はプラス0.5%と、予想の0.4%を上回りましたが、第2四半期の0.7%を下回りました。

※「米国マーケット、「大虐殺の10月」は免れたものの… (4) 」に続く。

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