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【市況】米国株式市場見通し:経済指標や連銀高官の発言を注視

NYダウ <日足> 「株探」多機能チャートより

雇用統計を受けて追加利上げ観測が後退するなか、先週はISM非製造業景況指数が予想を下振れる内容となり、FF金利の先物取引から算出される利上げ確率は9月が30%、11月が35%、12月が59%(9日時点)で、12月の利上げを予想する向きが優勢となっている。一方で、複数の連銀高官が早期利上げに積極的な発言を行っており、利上げ時期について判断が難しい状況だ。今週も、経済指標や連銀高官の発言から利上げ時期を占う展開が予想されるが、12日にブレイナードFRB理事の講演が予定されており、9月の利上げについて何らかの示唆が得られるかに注目したい。

週初はアップルの新型iPhone の予約開始後3日間の予約状況に注目が集まりそうだ。初週の予約状況によって、iPhone販売で恩恵を受ける通信キャリア各社や部品メーカー、そして決済ネットワーク企業などが物色されるだろう。アップルはこれまで慣例となっていたiPhone発売直後の週末の売上状況については発表しないことを明らかにしているものの、予約状況について何らかの示唆があるか注目される。通信大手の各社は、2年落ち程度までのスマートフォンを下取りすることで、実質的に無料でiPhone7に交換するキャンペーンを打ち出しており、iPhone 7の売上増につながることが期待される。

経済指標では、8月輸入物価指数(14日)、8月小売売上高(15日)、8月生産者物価指数(PPI)(15日)、8月消費者物価指数(16日)などの発表が予定されている。複数の連銀高官が早期の追加利上げを支持するなか、輸入物価指数や消費者物価指数を通じてインフレ率がFRBの目標値に近付いているのか注目したい。また、13日には中国の8月小売売上高や鉱工業生産も発表される。

米株式相場では大統領任期サイクルによるアノマリーが知られており、S&P500指数における年間平均上昇率(1928年-2015年)は全期間で7.5%、大統領選挙が行われる年で7.0%となるなか、今年のように大統領任期が終了する年ではマイナス4%と大幅に悪化する傾向にある。任期終了ということで積極的な経済対策等が実施されないことが要因だろう。しかしながら、今年の米国経済は堅調であり、S&P500指数は年初来で4.1%(9日時点)上昇している。また、11月の政権交代後の最初の3ヶ月は「ハネムーン期間」と呼ばれ、新政権に対する批判等の報道が自粛される時期であることから、株式市場への悪影響は限定的だろう。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》

 提供:フィスコ

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