市場ニュース

戻る
 

【特集】高橋春樹氏【9月相場、「ETF買いと円高」天秤の行方】(3) <相場観特集>

高橋春樹氏(三木証券 執行役員 商品本部長)

 週明け22日の東京株式市場は堅調に推移したが、勢いは今ひとつ。薄商いのなか、日経平均株価は1万6000円台で方向を決めあぐねている状況だ。下値では日銀のETF買いに対する期待があるものの、米利上げ時期を巡る思惑が錯綜するなか1ドル=100円近辺にある為替動向が気がかり。カウントダウンとみられた上値1万7000円突破がいまだ実現しないまま、夏枯れ相場といわれた8月も終盤に差しかかっている。秋口に向けた相場の地合いをどうみるか、第一線で活躍する市場関係者に意見を聞いた。

●「7月29日以降、円高=株安の相関関係はほとんど希薄に」

高橋春樹氏(三木証券 執行役員 商品本部長)

 週明け22日の東京株式市場は、一段と様子見気分が強まって東証1部の売買代金は極端な低水準にとどまった。日銀が7月29日の金融政策決定会合の追加金融緩和で、上場投資信託(ETF)買い入れ額の倍増を決めて以降、市場の関心は「きょうは買い入れがあるのか、ないのか」に向いており、それが売り買いともに手控えムードを強めさせる結果となっている。

 足もとの円相場は1ドル=100円台での推移となっているが、金融政策決定会合のあった7月29日を境に、円高=株安という相関関係はほとんどなくなっている。7月28日に比べて現在は、外国為替市場で5円程度の円高・ドル安が進行しているにもかかわらず、日経平均はほぼ同水準となっている。

 円高=株安の相関関係がほとんど希薄になっている背景には、「円高進行が1ドル=100円水準でとどまるのでは」と判断している市場参加者が多いことがあげられる。また、例えば1ドル=100円を超える円高となった場合には、「日銀によるETF買い入れが実施され、株式相場が大きく崩れる懸念が限定的」との見方もあるようだ。

 さらに、17年3月期の第1四半期(4-6月)の決算発表が終了したことで、円高・ドル安進行による輸出関連企業の採算悪化をある程度先行き業績に織り込んでおり、株価に下値抵抗力が増している点も見逃せない。当面の日経平均は、ボックス相場のレンジをじりじりと切り上げるような推移となりそうだ。5月31日の高値1万7251円を突破してくれば、上値圧迫も解消され上昇基調が強まりそうだ。

 物色対象としては、トヨタ自動車 <7203> に代表される自動車株の見直し買いや、ソニー <6758> 、任天堂 <7974> のゲーム関連銘柄に注目している。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(たかはし・はるき)
1977年岡山大学法文学部卒業・第一証券入社。1999年第一証券エクイティ部長兼投資運用部長、2005年三菱UFJ証券エクイティ部長、2011年三木証券投資情報部長。

株探ニュース

株探からのお知らせ

    日経平均