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【特集】“激安放置株”つかみ取り、好業績・超割安「20銘柄」リスト <株探トップ特集>

日伸銅 <日足> 「株探」多機能チャートより

―バリュー株に出遅れ感、大化け候補株に「網」―

●夏枯れ状態の今だから…

 東京株式市場はボラティリティこそ高いものの、市場参加者は少なく夏枯れ相場の様相を呈している。7月中旬以降の日経平均株価は1万6000~1万7000円のゾーンでのボックス圏往来に終始し、方向感がいまだ定まっていない。米国の重要経済指標の発表が相次ぎ、8月26日にはイエレンFRB議長のジャクソンホール会議での講演を控え、為替の動向にも神経質とならざるを得ない。夏休み期間中でなくてもいったん様子見、“休むも相場”を決め込みたくなるような地合いだ。

 しかし市場参加者が少ない時は、株価がブラッシュアップされずに修正余地の大きい銘柄が放置されていることが多いもの。とりわけ四半期決算発表を通過したばかりの今は、大化けの種を持つ“安値放置銘柄”をそっと拾っておくチャンスともいえる。

 上値追いを続ける銘柄に照準を合わせても、反動安リスクにさらされる確率が高い。むしろ、好実態で出遅れている銘柄群に網を仕掛けておくほうが、投資戦略的には有効性が高い。

 そこで、ぜひ注目したいのが解散価値を大きく下回る低PBR株で今17年3月期に大幅増益が予想されている銘柄群だ。

 現在、低PBRに代表されるバリュー株はグロース株と比べ相対的に出遅れ感が際立つ。

 会社解散価値以下すなわちPBRが1倍を大きく下回る銘柄は、資産価値を過小評価していることになり、折に触れて株価の見直し買い余地に反映されるケースが多い。また、波乱含みの相場となっても、経営危機に瀕しているような銘柄を除き下値に対する抵抗力が発揮されやすいのも特長である。加えて、今期大幅増益が見込まれる銘柄であれば、成長期待と割安感が同居しているようなもの、先取りするなら今だ。

●大幅増益・低PBRで日本伸銅にみる人気化要素

 別表は今期2割を超える営業増益予想で、なおかつPBRが解散価値を大きく下回る(0.2~0.7倍)銘柄の中から、市場の人気度の高いものを抜粋した。

 このうち日本伸銅 <5753> [東証2]は既に投機資金のターゲットとなり、8月10日に一時ストップ高に買われた。その後調整を入れているが、売り物をこなして再騰の機をうかがう状況にある。同社はOEM受注で伸銅品の需要を取り込んでおり、コスト低減などの合理化努力も寄与して17年3月期営業利益を従来予想の1億円から5億1000万円に大幅増額して、ポジティブサプライズを与えた。時価は依然としてPBR0.5倍未満と割安で人気再燃の可能性を十二分にはらんでいる。

 残りの銘柄も、今は音無しの構えでも日本伸銅に続くようなパフォーマンスを上げるものが出てくる可能性がある。

●秀英、昭電線HDなど材料株素地に富む

 日本製紙 <3863> は製紙業界で王子ホールディングス <3861> と双璧。最近の円高は同社にとって追い風だ。今期は減損がなくなり最終利益段階では前期比7.4倍と大変貌する見込み。パルプを細かく解きほぐして微細化したセルロースナノファイバー(CNF)が次世代素材として期待されているが、同テーマの関連有力株としても注目度が高い。

 秀英予備校 <4678> は昨年の夏相場で見せ場を作った。米投資会社ウィステリア・キャピタルと教育分野の企業向けファンドを設立することで話題となったコマンドエヌが、同社株を買い増しする動きを背景に300円台の株価を短期間で1000円大台目前まで買われた経緯がある。時価は再び古巣の300円台に戻っており、実態面の割安さから再噴火があってもおかしくはない。配当利回りは3.5%前後と非常に高い。

 日本冶金工業 <5480> も鉄鋼セクターに見直しの動きが出るなか要注目だろう。中国の景気減速の影響は受けるものの、自動車向けなど高付加価値材料の販売比率を高め利益改善傾向。ニッケル価格の上昇が株価押し上げの背景になりそうだ。

 昭和電線ホールディングス <5805> は100円を大きく下回る超低位に位置しているため、逆に上値余地の大きさがクローズアップされる。仮に100円を回復したとして、その時点ですら上昇率は66%である。小池百合子新都知事や政府が経済対策として推進する電線地中化のテーマに乗ることも刺激材料。

●藤商事に穴株妙味、共栄タンカーも動きだせば高速ノット

 藤商事 <6257> [JQ]はジャスダック上場で出来高流動性にやや難があるが、売り物薄の強みが生きる展開に。パチンコ・パチスロ機メーカーで収益環境は急改善。パチンコ機「遠山の金さん」がヒットして収益に貢献している。会社側が計画する今期営業利益5億円は増額される可能性も指摘されている。年50円配当は配当利回りにして4.7%と特筆に値する。

 サクサホールディングス <6675> は6月下旬に170円で目先の底を確認、以降は順調な戻りをみせており、200円近辺で収れんする13週・26週移動平均線との下方カイ離を解消した矢先だけに、ここは追撃買いのチャンスだ。同社は顔認証関連株として注目され、羽田・成田両空港で行われた実証実験に参加した実績もある。空港など水際でテロリストの入国を阻止するための顔認証装置の導入には政府も前向きであり、株式市場には2020年の東京五輪を前に特需を取り込むことへの期待が底流している。

 大真空 <6962> は水晶デバイスの大手で、スマートフォン向け高性能品で高実績を持つ。足もとスマホ向け電子部品価格がスマホの高機能化に合わせて上昇傾向にあり、温度補償回路付き(TCXO)水晶発振器を手掛ける同社にとって収益環境は良好だ。株価は安いが信用買い残が比較的低水準で需給面でも軽さがある。

 共栄タンカー <9130> は海運株のなかでも株価の値動きの速さが特長で、しばしば短期資金の攻勢対象となる。タンカーが主力だが、原油市況の下落がタンカーの運航には追い風となっている。また、鉄鉱石や石炭、穀物などを運ぶばら積み船も手掛け、ばら積み船市況の総合的な値動きを表すバルチック海運指数がここにきて戻り足を強めていることも株高思惑につながる可能性がある。

◆今3月期営業大幅増益&低PBR銘柄20選◆

              営業増益
銘柄 <コード>     市場  率(%)  PBR(倍)
日清オイリオ <2602>  東1  20.1   0.64
ダイニック <3551>   東1  38.0   0.38
日本紙 <3863>     東1  41.4   0.51
川崎化 <4117>     東2  10.3倍  0.43
秀英 <4678>      東1  89.1   0.62

冶金工 <5480>     東1  48.0   0.64
日本金属 <5491>    東1  35.9   0.40
日本伸銅 <5753>    東2  13.4倍  0.47
昭電線HD <5805>   東1   2.6倍  0.76
東芝機 <6104>     東1  20.9   0.54

豊和工 <6203>     東1  13.5倍  0.44
藤商事 <6257>     JQ   2.5倍  0.53
サクサ <6675>     東1  34.2   0.53
大真空 <6962>     東1  29.9   0.41
協栄産 <6973>     東1   2.2倍  0.29

ティラド <7236>    東1   2.0倍  0.39
永大産業 <7822>    東1  48.7   0.42
クリナップ <7955>   東1   2.2倍  0.60
ツカモト <8025>    東1   8.2倍  0.41
共栄タンカー <9130>  東1  42.9   0.60


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