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【市況】国内株式市場見通し:英国のEU離脱を巡る審判の日

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

先週の日経平均は下落。今年最大のリスク要因とされる欧州連合(EU)離脱を巡る英国の国民投票が翌週に迫るなか、世界的なリスク回避の流れが強まった。欧米市場が全面安商状となるなか、為替市場では円高傾向が強まった。また、米連邦公開市場委員会(FOMC)、日本銀行の金融政策決定会合の現状維持に対する不安心理の高まり等もあり、円相場は日銀の黒田総裁会見を受けた仕掛け的な売買によって一時1ドル103円台に突入。日経平均は直近安値を下回り、2月以来の安値水準まで急落した。

週末については、日米欧の主要中央銀行が金融市場への緊急のドル資金供給の検討を始めたとの報道のほか、麻生財務相による「英国が強いEUの中にとどまっている方が望ましい」との見解などが伝わると、足元の円高も一服。直近の大幅な下げに対する自律反発をみせている。

いよいよ今週23日にEU離脱を巡る英国の国民投票を迎える。先週はEU残留支持の女性議員が銃撃され死亡したと報じられるなか、同情票から残留支持に一気に傾くのではないか、との声も聞かれていた。なお、16日公表の英調査会社による世論調査によると、EU離脱を支持する人は53%、残留を支持する人は47%となり、離脱支持が残留支持を上回った。ただし、態度を決めていない有権者も多く、大接戦のまま終盤を迎えている。とはいえ市場関係者の見方としては、大接戦の中で結局は残留とみる向きが大勢のようだ。週後半の欧州市場の自律反発の流れも、やや楽観的な見方に向かわせた感はある。

投票に向け世論調査結果によって残留支持が優勢となるようだと、残留決定後の相場反転を意識した物色が強まりやすいだろう。一方で、ギリギリまで大勢が掴めないようだと、リスク回避の流れが強まりやすい。また、残留が決定した場合にはリスク回避の流れがいったんは後退し、リスク資産を買い戻す流れが強まりやすい。しかし、今回の英国の問題が火種となり、他国へのEU離脱を窺わせる動きが警戒されてくる可能性がある。オランダやフィンランドなどでは反EU・反ユーロの機運が高まっているとされていることもあり、不安心理が高まる可能性も警戒しておく必要がありそうだ。EU離脱が決定した場合には、一段とリスク回避の動きが強まる可能性が高い。先週の欧州株安の中で市場は織り込んだとみるのは時期尚早である。

また、先週半ば辺りからの急ピッチ下げに対する需給悪化により、アク抜けとしてもトレンドが強まりづらい面もありそうだ。EU残留決定となれば、短期的にはインデックスに絡んだ商いでのリバウンドも意識されるが、日経平均は先週の下げで支持線として意識されていた16500円、16000円のほか、15500円を割り込んでいる。4月安値とのボトム形成は意識される可能性がありそうだが、5月安値の16000円処での戻り売り圧力の強さが意識されやすいだろう。中長期的な資金の本格参入は期待しづらく、しばらくは短期資金による商いにより、ボラティリティの大きい相場展開が続こう。

経済指標では20日に5月の貿易収支、百貨店売上高、コンビニエンス売上高、22日に5月の工作機械受注確報、民生用電子機器国内出荷など。海外では20日にドラギECB総裁の議会証言、21-22日にイエレンFRB議長証言、21日に6月の独ZEW景況感指数、22日に5月の米中古住宅販売件数、6月のユーロ圏消費者信頼感指数、23日に米週間新規失業保険申請件数、5月の米景気先行指標総合指数、米新築住宅販売、米FRBのストレステストの結果発表、6月のマークイット・ユーロ圏PMI、ユーロ圏製造業PMI、ユーロ圏サービス業PMI、24日に5月の米製造業受注、6月のミシガン大消費者マインド指数、独Ifo景況感指数が予定されている。さらに26日にはスペインで総選挙が実施される。スペインは多額のユーロ建て政府債務を抱えており、ユーロ離脱には向かわないだろう。ただし、最近の世論調査では国民党は過半数に届かず、第2党に反EU派の急進左派のポデモスが浮上している。EU諸国の政治不安定化に対する懸念から、不安定な相場展開は続きそうである。

《FA》

 提供:フィスコ

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