【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ 市場人気の変化を見極める
株式評論家 植木靖男
「市場人気の変化を見極める」
●日銀に委ねられた円高反転のカギ
桜花の散り際は寂寞(せきばく)としているが、美しい。日本人の心情に殊のほか合うようだ。
さて、ここへきて急速に円高が進んでいる。1ドル=107円台に突入してきた。米利上げが緩やかなものになるとの観測や原油価格の下落、さらには安倍首相が伊勢サミットを控えて為替市場への介入を否定するような発言があったことが背景にあるようだ。
輸出企業の想定レートが117円との見方からすれば現状は大幅な円高にあり、今期の企業収益予想が厳しくなるのは必定だ。今後、さらに円高が進めばマクロ景気は低迷し、株価は下値が見え難くなる。
参院選やサミットを控えて政府はなんとしてもさらなる円高を阻止したいところであろう。
だとすれば、政府は円高を抑え、景気浮揚を図るべく、なり振り構わず政策を総動員せざるを得ない。財政面からの支援や規制緩和といった成長戦略の実行などが考えられるが、即効性という面からはいかがか。
となると、為替市場介入しかない。だが、それもあからさまな介入は難しい。米欧への配慮もあろう。
結局、日銀が国債を買う量的緩和ではなく、日銀が直接米国債を購入する手もあろうし、マイナス金利を拡大し、銀行の個人預金にもそれを適用する手段もあろう。そうすれば900兆円の個人の預貯金は利息を求めてドル預金に向かうのではないか。どちらにしても一気に円安が進むことになろう。そうなれば株価も間を置かずして上昇に転じるはず。
●目を懲らすべき2つの注目点
ところで、日経平均株価は円高進行を嫌気して7日連続安となった。もっとも、その翌日の4月7日には一進一退を続けながらも小幅高で引けた。
では、今後はどうみればよいのだろうか。次の2つの注目点に目を凝らしたい。
ひとつは市場人気だ。流れが変わるとき、多くの投資家はなにか材料あり、とみる。だが、流れを変えるのは市場人気である。具体的には、一波動は8~9日であり、過ぎれば14~15日ほどだ。
今回でいえば、すでに3月28日高値から9日が経過している。ひとつのフシといえよう。
もうひとつの注目点は米国株だ。これまで他市場を尻目に上昇してきたが、仮に週末(4月8日)も下げるようであれば天井打ちを疑ってみたい。米国株天井となれば日本株への打撃も見逃せないだろう。
いずれにしても、ここは市場人気を見極める、大事な日柄関係にあるといえよう。
2016年4月8日 記
株探ニュース