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【市況】【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ 円上昇に歯止め、日本株浮上のシナリオ

株式アドバイザー 北浜流一郎

「円上昇に歯止め、日本株浮上のシナリオ」

●円の急騰なければ「問題なし」

 東京市場を襲っている円高突風は、まだその勢いを保っている。NY為替市場で一時は円が対ドルで107円に突入したほど。1月末には121円台まで下落していたことが幻としか思えない上昇ぶりだ。実に13円以上も上がってしまっているからだ。

 正直なところ、日経平均株価は円が下がらない限り上がらない。一時的には上がることもあるのだが、本格回復はまず難しい。この点を考えると、円には何がなんでも下げてもらわなくてはならないが、それが実現するような材料があるだろうか。

 いまはネガティ情報ばかりで、サポート材料など皆無に見えるだろう。しかし、米国の追加利上げ4月実施の観測が薄らいだことは、すでに株価に織り込まれた。この場合、市場は今後6月利上げの可能性を議論しはじめる。6月の実施も無理との見方が支配的ではあるものの、まったく可能性がないわけではない。そのためドルの売り手は、これまでのように安心してドルを売り込む一方、円を買い上げることはしにくくなる。

 それによって、円が本格的に反落することはないものの、少なくとも4月に入っての狂ったような急騰はしばらくないと見る。困るのは手のつけようのないほどの急騰だ。それでなければ、たとえ上昇しても対応のしようがあるので特に問題はない。

●原油相場持ち直しも下支え要因に

 円の一方的な上昇に歯止めをかけてくれる可能性がある材料は他にもある。原油先物価格だ。この下落はドル安要因となるが、原油先物価格は3月下旬に1バレル41ドル台まで上昇したあと失速。4月5日には35ドル台まで落ちて、いまは回復中だ。

 背景には中国経済の減速鈍化があり、今後はこれを手掛かりに原油先物価格も再度買い直され、水準も40ドルを越えていく可能性が高い。米国でもこれからは季節がドライブシーズン入りしてガソリン需要も高まるだけに、原油先物価格高によるドルの持ち直しが見込め、日経平均も落ち着きを取り戻す。

 こんなシナリオの下に、いま注目できるのはやはり為替変動の影響を受けにくい銘柄群になる。

 まずは地理情報システムに強いドーン <2303> [JQ]だ。スマホの手振れ補正など画像処理ソフトに強いモルフォ <3653> [東証M]も現在水準なら安全度が高い。そして小型、低消費電力に特化したアナログ電源ICの国内首位メーカーであるトレックス・セミコンダクター <6616> [東証2]も魅力的だ。

 やや時間をかけるなら、シャープ <6753> も投資対象として悪くない。鴻海の傘下入りが決まったが、マスコミの評価は芳しくない。というより、厳しすぎる。「鴻海はしたたかだ」などと。しかし、鴻海がシャープの再建に本腰を入れて取り組むのはまず間違いない。もっと好意的に受け止めてよいのではないかということでシャープだ。ただし、前述したようにすぐの上昇は困難。この点、覚悟の上で投資したい。

2016年4月8日 記

株探ニュース

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