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【経済】一尾仁司の「虎視眈々」:戻りの鈍さを考える


〇来週のG20に関心も、大きな期待は出来ないか

18日の日経平均は高値16337円にとどまり、暴落した2月9日(918円安)の高値16668円に、なかなか届かない展開が続いている。16100円程度がフシ目との見方は変わらず、この水準での根固めをジックリ見極める展開と言えなくもないが、先行き不透明感の強い地合いが続いている。

背景の大きな要因は円安の戻りの鈍さと思われる。フシ目と見られる115円/ドルを奪回できない展開に、株価の頭を押さえられた印象だ。円安基調に戻り難い背景は、ドル調達コストが4年3か月ぶりの高水準にあり、一時米5年物国債投資が逆ザヤになるなど、思ったほど外債投資が伸びない点、次の先進国間金融政策でECBの追加緩和具体策が焦点となっており、(マイナス金利拡大だと欧州系金融機関にシワ寄せが行くなど)ユーロが安値を窺う展開になっている点、日本もGDPがマイナス成長になるなど景況感が厳しく、3月にもマイナス金利拡大が視野に入っていること、米国の追加利上げ観測が大幅に後退していることなど、従来の路線に戻り切れない点などが挙げられる。金融機関のドル円相場見通しは一斉に円高修正され、(年末に向け120円程度に戻すとの見方が多いものの)円高値想定を100~105円と見るところが増えている。

15日開催の経済財政諮問会議で民間議員が「G7での連携強化」を要請し、安倍首相がその意向を表明するなど、協調政策への期待が下支えの要因になっていると思われる。ただ、経済財政諮問会議は事前にペーパーを回し、以前のような経済司令塔的なイメージは後退している。年初からの世界的な波乱に対し、緊急G7開催の話は出て来ず、期待は何処まで続くか。来週の上海G20で協議を行うか、注目されるところだ(元々、G20はG7の決定を浸透させる場と見られている)。

JBIC(国際協力銀行)の渡辺博史総裁は、12月以降の波乱は過剰反応と指摘しつつ、G20での議論課題に、米利上げを巡る不明確な情報発信、中国の場当たり的な対策、オイルマネーの引き上げ観測を挙げた。各国の方向性がバラバラで協調政策は取り難いとしている。

安倍首相の経済ブレーン・本田悦郎内閣官房参与は16日のブルームバーグとのインタビューで、中国のハードランディングに陥る可能性が高い、日銀が来月にも追加緩和を行う可能性がある、消費増税は2年程度延長すべき、3.3兆円補正に続き5兆円程度の経済対策の姿勢を示すべき、などと述べた。

18日はOECD、格付け会社ムーディーズが相次ぎ世界経済見通しを引き下げた。日本経済に関しても、16-17年ともに1%成長を下回る(ムーディーズ)見通しとなかなか厳しい。OECDは為替変動や過剰債務を警告し、財政出動の必要性を訴えた。

G20での議論は、(大きな期待は持てないが)先進国の財政出動が一つの焦点になると考えられる。

以上

出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(2/19号)

《FA》

 提供:フィスコ

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