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【特集】大谷正之氏【5つのリスクで占う株式市場】(1) <相場観特集>

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

 日経平均株価は12日の1万4952円(終値)で底打ちムードは出ているものの、その後の戻り相場に勢いが感じられず膠着状態が続いている。そこには(1)円相場、(2)原油価格、(3)米国経済(株価)、(4)中国経済(株価)、(5)外国人売り――の5つのリスクが立ちはだかっている。そこで、今回はこの5つのリスクの先行きを探りながら、当面の日本株の見通しを第一線の市場関係者に聞いた。

●「リスク改善なら日経平均株価の25日線奪回も」

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

 全般株式相場は、戻り歩調に入っているものの、当面は複数の外部要因の変動に左右される神経質な値動きが続きそうだ。

 円相場は、米長期金利が落ち着きをみせ始めたことから、当面1ドル=113~114円台での推移が予想される。やや、中期的に見ても1ドル=111~115円の範囲に収まりそうだ。原油価格は、指標油種のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で見ると、1バレル=35ドルがチャート上のフシ目となっており、この水準を上回ってくれば、底打ちムードが広がりそうだ。主要産油国に増産凍結の動きが出てきたことは、株価にとってもプラス要素といえる。

 米国経済は、最近の経済指標を見るとやや減速懸念が強まってきた。ただ、この背景には中国景気の減速傾向や原油価格の低下も作用している。一方、米景気の減速は利上げのペースを遅らせる面もあり判断の難しいところだ。外国人投資家の売買動向については、オイルマネーの売りは峠を越えたとの観測があるものの、当面は売り基調が続きそうだ。

 中国・上海で26~27日に開催される20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議について、麻生太郎財務相は「中国の過剰設備や過剰信用、原油安、米国の金利政策での市場との対話などが主要議題になり得る」と発言しており、G20の声明の内容が株価に影響を与える可能性もある。

 当面の日経平均株価の想定は、原油価格の大幅低下や円高進行などの悪条件が重なった場合は、1万5000円が下値として意識されそうだ。半面、リスク要因に改善傾向が見られれば、早期の25日移動平均線(1万6663円=19日)奪回の可能性もある。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。

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