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【経済】「今年の売れ筋、株・ビジネス本は?」 兜町の目利き・雄峰堂書店に聞きました! <直撃Q&A>

森山篤氏(雄峰堂書店 外商チーフ)

 2015年の株式相場は、インバウンド需要を支えに一時2万1000円に乗せる勢いもあったが、8月の中国ショックに始まり、パリのテロ事件やアメリカの利上げなど海外情勢に押されて2万円を前にして足踏みを続けている。兜町に根ざして50年の老舗書店、雄峰堂書店の森山篤チーフにこの1年で証券関係者が買った書籍の売れ筋などを聞いた。

●森山篤氏(雄峰堂書店 外商チーフ)

Q1 この1年で売れ行きのよかった本を教えてください

 「しんがり」(清武英利、講談社+α文庫)は旧山一証券の破綻と清算に当たった証券マン達の話ですが、今年WOWOWでドラマが放映されたこともあり人気が再燃しました。通常、単行本で出たものは文庫になると売り上げ部数が減る傾向にありますが、この本は例外で文庫になっても販売部数が伸びた1作です。

 さらに「あなたの人生を劇的に変える株の本 株ドカン」(熊谷亮、幻冬舎)は熊谷氏が書く投資本の第2弾。第1弾が人気だったこともあって、株の本でも実務書の方が売れる当書店でもよく出ました。

 「そろばん」(山崎種二、パンローリング文庫)は旧山種証券(現SMBCフレンド証券)の創業者の自伝小説です。この書店が山種ビルに入っていることから関係者の購入が非常に多いです。あと「酒田五法は風林火山」(日本証券新聞社)は1969年に出版されてから何度も改訂されながらもその人気はずっと続いています。

Q2 一般書籍で売れた本は何ですか

 そうですね。一般書籍ではお笑いタレントの又吉直樹さんが書かれた「火花」(文芸春秋)は売れました。お笑い芸人さんが初めて芥川賞を受賞した作品ということで、証券マンが集まるこの兜町でも人気でした。

 池井戸潤氏の「下町ロケット」(小学館)もドラマ化と昨年の「半沢直樹シリーズ」(ダイヤモンド社)のヒットを背景に安定した人気を保っています。歴史小説では佐伯泰英の「居眠り磐音」シリーズ(双葉文庫)はいつも大量に仕入れますが発売初日に売り切れてしまうほどです。

 また、コミックですが、「インベスターZ」(三田紀房、講談社)もよく出ています。私も毎週「モーニング」(講談社)で連載を追いかけるほど好きです。意外とこの辺の証券マンも読んでいます。「会社四季報」(東洋経済新報社)の読み方が掲載されていたり、実在の社名が出てくるなど現実に即した内容に読みごたえがありますし、バリュー投資のこともしっかり描かれているので投資を始める人におすすめしたいです。

Q3 12月によく売れる投資書籍は?

「気学運勢暦<平成28年>」(東京運命学院)は毎年買いにくるお客様がいらっしゃって、「入荷次第連絡がほしい」と電話をいただくこともしょっちゅうあります。同様にレイモンド・A・メリマンの「FORECASTS(フォーキャスト)」シリーズ(投資日報社)も1冊7500円(税抜き)にもかかわらず根強い人気がありますね。この2冊の問い合わせが入ると「年末が迫ってきたなあ」と実感します。投資家にとって毎年恒例みたいな本ですから、ないと寂しくなります。

 それと「投資カレンダー2016」(大岩川源太、徳間書店)もぼちぼち出てきました。投資に関するスケジュールが載ったものが意外に少ないので皆さん買っていくのだと思います。

Q4 年間を通じた株式関連書籍の売れ行きの傾向はいかがでしたか

 今年の傾向として以前に比べて、まとめ買いされるお客様は減りましたが、それでも「会社四季報」の売れ行きでみると、「全体相場が大きく下がったときによく売れているなあ」と感じます。特に、今月中旬に発売された新春号は発売初日よりも、相場が下がった2日目の方にまとめ買いなどが多く入りました。

 「相場が過熱している時よりも下がったほうが押し目買いなどを狙う投資家たちの書籍購入が増えるのでは?」とみています。新春号は発売されて売れ行きも徐々に良くなっていますので、これからの相場の下げ止まりと上昇に期待しています。

(聞き手・吉野さくら)

●雄峰堂書店兜町店
 東京都中央区日本橋兜町7-12 山種ビルB1F

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