貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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9418 UNEXT

東証P
4,460円
前日比
+120
+2.76%
PTS
4,431円
20:44 05/02
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
18.2 3.51 0.72 71.55
時価総額 2,682億円
比較される銘柄
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USENNEX Research Memo(4):安定高収益の音楽配信を基盤にクロスセルを推進


■USEN-NEXT HOLDINGS<9418>の事業概要

1.店舗サービス事業
店舗サービス事業は、音楽配信事業と店舗運営ソリューション事業に分けられる。音楽配信事業は50年以上の歴史を持ち、全国の業務店やオフィス、個人宅へ向けて、音楽や情報などを放送する「USEN」サービスを提供している。当然だが、提供する音楽はすべて著作権に関して適切な処理を行っている。受信端末機(チューナー)は同社からのレンタルで、受信端末の設置環境に合わせて専用の同軸ケーブルや通信衛星、インターネット回線といったインフラを使用している。顧客の大多数は業務店で、特に飲食、小売、理美容、クリニックの割合が高く、チェーン店は全国チェーンから地域密着チェーンまでと幅広い。同事業では、店舗運営ソリューション事業も併せて行っており、開業支援から業務環境構築、販売促進まで、業務店に対して店舗運営の一切のソリューションサービスをワンストップで提供することができる。店舗運営ソリューション事業のメニューは、タブレットPOSレジ「Uレジ」、事業者向けテナント総合保険「お店のあんしん保険」、店舗のキャッシュレス決済を実現する「USEN PAYGATE」、店舗アプリ作成サービス「UPLink」、業務店向けWi-Fiサービス「USEN SPOT」など種々あり、さらに拡張中である。

(1) 音楽配信事業
62万に上る強固な顧客基盤を有し安定的な売上を生み出している事業で、店舗・施設用BGMで約80%という圧倒的なシェアを誇る。一方、収益性も高く、グループの戦略を支えるキャッシュを生み出している。同社にとって「安定高収益事業」ということになる。強固な顧客基盤は、500を超えるチャンネル数と圧倒的なクオリティに支えられている。J-POPや洋楽、ジャズ、ヒーリング、クラシックなどの専門チャンネルから、聴きたい曲がリクエストできるチャンネルまで、あらゆる店舗空間の音楽ニーズを満たすことができる。また、音質面でもすべての放送楽曲にBGMとして最適な音圧調整が施されている。さらに、グループで全国150支店、営業職1,000人、技術職750人というサポート体制を擁し、設置施工からアフターケアまで万全の態勢を取っている。品ぞろえや品質、サポート体制に加え、月額4,000~5,000円でCDプレイヤーなどハードの導入や継続的なソフト購入の費用、ソフトの入れ替えや選曲の手間、面倒な著作権処理などが解消できることを考えると、同事業の根強い人気の理由が分かる。

通常の音楽配信のほか、リフレッシュやリラックス音楽に加え終業など時刻の分かるオフィス向けBGM、チェーン店独自のニーズに合わせて編成する専用放送、海外BGM企業との提携、個人・家庭向け音楽配信サービスも行っている。また、導入の手間のかからない「OTORAKU-音・楽-」というサービスもある。思いどおりのBGMを作ることができる、店舗・施設で使用可能なBGMアプリである。国内の主要音楽レーベルはもちろん、海外インディーズまでを網羅し、POPSからイージーリスニングまで豊富なジャンルの楽曲が配信されている。タブレットを使える程度のITリテラシーがあれば、店舗環境に合わせたBGMプレイリストを思いどおりに作ることができる。定番から季節物、人気ランキングまで、BGMのプロによる豊富なプレイリストも多数そろえている。

ところで、300万店の業務店市場において、BGMを使用している店が200万店弱、うち著作権処理ができていない業務店が半分以上を占めると言われている。知的財産への意識が世界的に高まるなか、JASRAC(日本音楽著作権協会)が不適法利用店舗の取り締まりを強化、摘発される店舗が増加している。同社もJASRACとともに不適法利用店舗への啓蒙を進めており、店舗側も不適法利用の認識と著作権の適法処理への意識が高まりつつある。この傾向が続けば、将来的に不適法利用店舗が同社の伸びしろになる可能性が高くなることも考えられ、安定的と見なされている同事業の隠れたポテンシャルと言うこともできるだろう。

なお、同社は2018年10月、業務店向け音楽配信サービス業界2位のキャンシステム(株)を100%子会社化した。2019年1月に連結対象とする計画である。キャンシステムは顧客数13万、売上高50億円強、営業利益4億円という規模の企業で、統合すれば同社顧客数と合わせて75万の規模となる見込みである。子会社化により相互の顧客資産の有効活用、両社で取り組んできた店舗運営ソリューションサービスの強化ばかりでなく、著作権料を支払わない不適法利用店舗対策も加速することが見込まれる。一方、電柱や音源、電波、地方支店の共有による効率化が予想されるほか、それぞれが業務店向けに50年超にわたって蓄積してきたノウハウを共有することで、新商品や新サービスの開発が加速、企業価値の向上につながることが期待される。

(2) 店舗運営ソリューション
長年の音楽配信事業で培った、同社事業の基盤となっている顧客にとって、現状、音楽配信以上に店舗運営ソリューションへの関心が高い。業務店には個店や中小チェーンが数多く、ナショナルチェーンのような規模のメリットを生かすことができるような店舗ばかりではない。近年、小売・サービス業でもIT化が進んでおり、中小零細業務店が対応するにはなおさらハードルが上がっている。このため、同社は中小零細業務店にとって導入が難しい最先端の機器やシステムを、ワンストップで届けるサービスを行い、人気が高まっている。同社にとっても、音楽配信以外の各種商品やサービスを利用してもらえれば、顧客満足の向上と客単価の上昇の一挙両得となる。このため、同社は店舗運営ソリューションを「高成長事業」に位置付け、積極的に営業展開をしている。今回の経営統合によって、長年の顧客基盤に対して、グループの商品やサービスをより効率よく提供することができるようになった。

そうしたソリューションの中でも、タブレットPOSレジとハンディ端末を使ったオーダリング・システム「Uレジ」は特に人気がある。自動で売上集計・分析・管理ができる多機能性、低コスト、iPad利用ならではのスマートなデザインと直感的で使いやすい操作性、365日・150拠点によるサポート体制などが業務店から支持されている。そのほか、予約や決済に関するシステムの構築、開業・開店に必要なインフラや器材の一括手配・施工など、サービス内容は多岐にわたる。また、食べ放題・飲み放題メニューなどレジとの連携が必要のない注文や店員の呼び出しのみに特化した安価なセルフオーダー端末「U-Order」の提供を開始し、導入価格の高いセルフオーダー端末の間口を広げている。キャッシュレス化についてはクレジット決済端末「USEN PAYGATE」を既に提供していることに加え、中国のLakala社と業務提携することで、「Alipay」「WeChat Pay」の導入も開始する見込みである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《HN》

 提供:フィスコ

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