貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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8591 オリックス

東証P
3,211.0円
前日比
+9.0
+0.28%
PTS
3,191.5円
23:57 05/02
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
11.2 0.99 2.93 2.52
時価総額 39,012億円
決算発表予定日

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イチネンHD Research Memo(2):自動車リース関連を主力とし6事業で構成


■事業概要

1. 主な事業内容
イチネンホールディングス<9619>の事業セグメントは、自動車リース関連、ケミカル、パーキング、機械工具販売、合成樹脂、その他に分けられている。各セグメントの2022年3月期の売上高は自動車リース関連53,841百万円(内部売上高消去前の構成比44.3%)、ケミカル11,573百万円(同9.5%)、パーキング5,571百万円(同4.6%)、機械工具販売35,272百万円(同29.0%)、合成樹脂14,203百万円(同11.7%)、その他1,151百万円(同0.9%)となっている。

(1) 自動車リース関連事業
各サブセグメントの詳細売上高は開示されていないが、部門売上高に占める大体の比率は、リースが約74%、メンテナンスが約22%、燃料販売が約3%、残りがその他となっている。

a) オートリース
トヨタレンタリースやオリックス<8591>などと同様に、自動車のリースを行う事業である。競合は多いが、同社の特色は比較的大型車(4トン以上)の取り扱いが少ないことである。またメンテナンス部門を有していることから、メンテナンス付きで受注する場合も多い。リースは一度受注すると数年間継続することから、比較的安定した部門である。

b) 自動車メンテナンス受託
全国約8,500の自動車整備工場と提携し、他のリース会社からのメンテナンス契約を受託するもの。この部門に計上される売上高は他社から受託したものだけで、自社リースに付随したメンテナンス分はオートリース売上高に含まれる。また「フォークリフトメンテナンス」などの独自サービスも行っている。今後の課題として、次世代自動車(HV、EVなど)の整備ネットワークも進めている。

c) 車両販売
リース満了車両や法人車両などを買い取り、中古車販売を行う事業である。販売について現状は国内オートオークションでの売却が中心となっている。今後は、収益増強のため2016年10月に設立したICHINEN AUTOS (N.Z.) LIMITEDを中心に販売方法の多様化を図っていく。

d) 燃料販売
石油元売各社から発行されるガソリンスタンド(GS)用の給油カードを主に販売する事業である。車両1台に対して1枚のカードが発行されるが、販売先は必ずしも同社のリース先とは限らない。ガソリンの販売価格は同社が決定し、全国一律価格で提供される。顧客にとっては、全国の支店や事業所等において同一価格で利用できるうえ一括で支払いが可能となるため、業務効率の改善につながるメリットがある。なお同社の売上高として計上されているのは、末端販売金額から仕入金額を差引いた分である。

e) 車体修理管理サービス
主に鈑金修理の斡旋を行う事業である。損害保険会社出身のアジャスター(損害査定士)と呼ばれる社員が、顧客からの修理依頼に基づいて適正価格の見積もりを行い、全国各地の鈑金工場と交渉を行う。引取手数料無料・代車の無料手配・修理箇所の永久保証などのサービスを付加し他社との差別化を図っている。

(2) ケミカル事業
主力製品は、プロ向けケミカル(潤滑剤、防錆剤、各種洗浄剤、補修塗料等)。そのほかには発電用大型ボイラー及び船舶エンジン向け燃料添加剤、一般消費者向けケミカル(自動車用クリンビュー等)、特殊ケミカル(ゴム、エラストマーなどの難密着素材へのコーティングや各種OA部品向けケミカル製品等)などを扱っている。部門の約79%が自社製品で残り約21%が仕入商品であるため、部門の粗利率は高い(30~50%)。

(3) パーキング事業
土地所有者から土地を借りて駐車場事業を行うもので、コイン式・立体式・管理受託など契約形態は様々である。全国展開しているが、関西地区の比率(約62%)が高くなっている。総合病院や大型の商業施設に付帯する駐車場の一括運営管理にも注力している。また2022年には、パーキング事業を行う(株)オートリをグループ化した。

(4) 機械工具販売事業
既述のように、同社は自動車メンテナンス受託事業の関連で全国約8,500の自動車整備工場と提携している。同社は、これらの整備工場向けに機械工具を販売することでシナジーを得られるとして、この事業に参入した。同事業は、子会社である(株)イチネンアクセス(旧 (株)アクセス※)、(株)イチネンMTM 、(株)イチネンTASCO、(株)イチネンネット、(株)イチネンロジスティクスが行っている。イチネンアクセスは、自動車用品、自動車整備用機器、電動工具やDIY用品、自動梱包機等を扱っており、オリジナルブランドによる幅広い製品ラインナップを揃えている。イチネンMTMは、産業・建機部品、自動車・農機部品の販売を行っている。イチネンTASCOは空調工具や環境計測器を扱っており、空調工具の「TASCO」ブランドは業界一の売上実績がある。そして、イチネンネットは機器工具等のインターネット販売を、イチネンロジスティクス
は物流業務を行っている。なお同事業はタイの合弁会社を設立し、海外販売も行っている。

※アクセスは、2022年にイチネンMTMの事業の一部を吸収分割により継承し、社名をイチネンアクセスに変更した。


(5) 合成樹脂事業
このセグメントはさらに3つのサブセグメントに分けられるが、合成樹脂事業では熱可塑性の合成樹脂原料を扱っている。遊技機部品事業は、主にパチスロ・パチンコ機の筐体部分を設計・製造するもので、商社及びメーカー機能を併せ持っている。科学計測器事業では酸素濃度計、ガス検知警報機の開発・製造・販売も行っている。なお、同セグメントに属する(株)イチネンジコーと(株)浅間製作所は、後者を存続会社として2022年4月に合併し、社名を(株)イチネン製作所へ変更した。

(6) その他
新規事業である農業、不動産の賃貸・管理事業などが含まれる。農業分野は、ミニトマトの生産を行っており、生産量は順調に拡大している。ガラス加工事業については、2021年10月に新光硝子工業(株)及び新生ガラス(株)を子会社化したことで参入した。曲げガラス、樹脂合わせガラスなどの製造・販売を行っている。

2. 特色、強み
(1) 変化に強く、安定性がある
多角化経営により、環境の変化に対して柔軟な対応が可能。さらに業績の増減をそれぞれの事業でカバーし合うことで、全体として安定した経営を継続的に行うことが可能である。

(2) グループ一体経営
グループ間における人・モノ・資産の共有化、ノウハウの融合などシナジーを最大限に生かし、グループ全体で成長を続けている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《EY》

 提供:フィスコ

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