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【特集】世界市場開拓へ本格飛翔、急成長「eスポーツ」関連で輝く妙味株6選 <株探トップ特集>

急成長する「eスポーツ」市場開拓を目指し有力企業の参入が相次いでいる。特に、今後はメタバースの活用も見込まれており、その成長に一段と拍車がかかると予想されている。

―ソニーGなどが積極注力、オリンピックなど正式採用にも期待高まる―

 コンピューターゲームやビデオゲームを使ったスポーツ競技である「eスポーツ」が飛躍期を迎えている。アジア競技大会の正式種目となったほか、今後はオリンピックで採用されることへの期待も高まっている。また、ソニーグループ <6758> [東証P]のほか、中国レノボ・グループ傘下のNECパーソナルコンピュータも直近でeスポーツ市場開拓に向けた新たな動きを見せている。今後も中長期で右肩上がりでの市場拡大が予想されているeスポーツ関連株に注目したい。

●メタバースの拡大も視野に事業強化の動き相次ぐ

 足もとの株式市場は、世界的な物価上昇によるインフレ懸念の台頭もあり不安定な動きが続いている。しかし、そんななかでも今後の高成長が確実視されている分野がeスポーツだ。

 例えば、6月29日にソニーGが、パソコンゲーム向けのモニターとヘッドセットを新ブランド「INZONE(インゾーン)」で展開するほか、INZONEを通じて世界的に人気のeスポーツリーグ「Evolution Championship Series(Evo)2022/2023」「PGL DOTA2 Arlington Major 2022」「VALORANT Champions Tour」とのスポンサーシップ契約を締結したと発表。ゲーム文化の更なる発展を支援していくとしている。同発表に関する報道によれば、 メタバースの拡大なども踏まえて同社はゲーム事業を更に強化する方針のようだ。

 ソニーGのほかにも、7月に入ってNECパーソナルコンピュータが初心者を購入対象として想定したゲーミングPC「LAVIE GX(ラヴィジーエックス)」シリーズの受注開始とともにゲーミングPC市場に再参入することを発表。実際にプレイしない大人たちからするとゲームと言われれば、いわゆる箱型の家庭用ゲーム機のイメージがいまだに根強いだろう。しかし、ネットにつなげて見ず知らずのプレイヤーと対戦・協力するような遊び方に既にゲームの形は変化しており、その意味でPCゲームとの壁は融解していると言っても過言ではない。NECパーソナルコンピュータの動きも今後のゲーミングPC市場が活況となることを見越しているのだろう。

●大会の整備・拡充が進みプレイヤー層も拡大

 盛り上がりの土台となるeスポーツ大会の整備・拡充も進んでいる。例えば、NTT <9432> [東証P]傘下のNTTドコモが立ち上げた「X-MOMENT」は、国内最大級の賞金(PUBG MOBILE JAPAN LEAGUEは賞金総額3億円)と世界大会出場をかけて戦うeスポーツリーグである。また、世界的プレイヤーの輩出につながる取り組みとして、所属選手の競技生活を充実させるべく給与サポート制度を導入していることも大きな特徴となっている。ほかにも凸版印刷 <7911> [東証P]などを中心として設立された、「AFTER 6 LEAGUE」は社会人eスポーツプレイヤーを対象にしたリーグで、プレイヤー層の広がりが期待される。eスポーツをきっかけとした企業間交流の機会創出を実現することを掲げている。

 この先、さまざまな大会に関連して、eスポーツのオフラインイベントなども連動して続々と立ち上がってくることになり、盛り上がりも加速するだろう。まだまだ若い市場ということもあり、eスポーツ市場に関する各種予測を見ても、今後も中長期で国内、世界のいずれにおいても右肩上がりでの市場拡大が確実視されている。また、eスポーツは脳の健康にも好影響を与えるとの一部調査結果もあり、実はシニア市場への広がりも大いに期待されているところだ。今年9月に中国浙江省杭州市で予定されていたアジア競技大会は2023年に延期される見通しだが、同大会では初めてeスポーツが正式種目として採用される予定だ。オリンピックの正式種目となることへの期待も高まっている。

 更に4月20日には、東京タワーフットタウン内に日本最大規模のeスポーツパーク「RED゜TOKYO TOWER」がグランドオープンし、新しいエンターテインメント体験が可能な場も登場した。7月には、大阪のホテル2フロアを改装し誕生した、宿泊可能な大型eスポーツ施設「e-sports EKICHIKA」も出てきており、eスポーツの社会への浸透が更に進んでいくことが予想される。以下、注目銘柄を紹介する。

●ヒューマン、サイバー、Jストリーム、カヤックなど注目

 ヒューマンホールディングス <2415> [東証S]~人材派遣などの人材事業のほか、幼児・児童・専門校・リカレントに関する通学講座などの教育事業、介護、美容、IT、スポーツ事業などを運営しており、教育事業のセグメントに属する「ヒューマンアカデミー」において、世界で活躍するプロ選手の育成を目指す「e-Sportsカレッジ」を運営。プロプレイヤーやストリーマー(実況)のほか、イベントの企画から運営といったエンターテインメントビジネスなどを学ぶことができ、生徒数は順調に増加している。

 サイバーエージェント <4751> [東証P]~グループでゲームの企画・開発・運営やアニメーション製作などを行っているCygamesは、トレーディングカードゲーム「マジック:ザ・ギャザリング」のプロプレイヤーチーム「Team Cygames」のスポンサーとなっている。また、Cygamesが手掛ける本格スマホカードバトル「Shadowverse(シャドウバース)」は世界各地でeスポーツ大会が開催されている。

 カプコン <9697> [東証P]~世界大会「CAPCOM CUP」を開催している。13年から開催されている格闘ゲームの大会であり、主に「ストリートファイター」シリーズが競技タイトルとなっている。「CAPCOM Pro Tour 2022」は最新格闘ゲーム「ストリートファイター V チャンピオンエディション」を使用して世界各地で開催。同社は世界中のファンを惹きつける人気ソフトの続編を定期的に開発、販売することにより、ユーザー層の拡大を図っており、「ストリートファイター」シリーズは今年3月末時点で94のタイトル数が発売され、総販売本数は4700万本となる。

 バンダイナムコホールディングス <7832> [東証P]~人気アニメ「ガンダム」シリーズに登場するユニットを操縦し、スピーディーで没入感のあるチームバトルが体験できる6vs6のチームシューターで、eスポーツに特化した「ガンダム」初のFPS(First Person Shooter:一人称視点のシューティング)ゲーム「GUNDAM EVOLUTION」を今年正式稼働する予定だ。現在は家庭用版ネットワークテストなどを進めており、6月下旬に行われたテストでは、全体で6万人を超える人が参加。

 Jストリーム <4308> [東証G]~「AFTER 6 LEAGUE」に協賛、コンテンツ配信のための技術提供を行っている。なお、20年10月~21年3月に行われた初年度のリーグでは全60チーム約360人が参加した。同社は企業向けにさまざまなライブ配信サービスを提供しているほか、番組配信システムや撮影から配信用Webサイトの制作など総合的にサポートしている。

 カヤック <3904> [東証G]~子会社の「ウェルプレイド・ライゼスト」は、eスポーツの総合商社としてコンシューマー、アーケード、モバイルなどさまざまなプラットフォームでの、eスポーツの企画・大会運営・配信・プロデュースを行う。なお、ウェルプレイド・ライゼストでは今年3月、ミクシィ <2121> [東証P]で執行役員としてエンターテインメント事業ブランド「XFLAG」に携わった経歴を持ち、現在プロバスケットボールチーム「千葉ジェッツふなばし」の社長を務めている田村征也氏が社外取締役に就任している。

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