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【市況】【植木靖男の相場展望】 ─今はひたすら個別人気株を追う段階

株式評論家 植木靖男

「今はひたすら個別人気株を追う段階」

●円安がもたらす好循環に期待

 世界の株式市場の関係者、投資家は先行きの方向性の判断に苦しんでいるようにみえる。単純にいえば、欧米はインフレ阻止のため先行き景気をみず、金利引き上げに走っている。結果としてスタグフレーションは不可避だとする見方があり、株価に対しては弱気になる。

 一方、ここへきて原油価格は100ドルを割り込み、国際商品市況では一斉にピーク感が広がっている。この分では秋口にはインフレは収束するとの見方があり、株価に強気となる。

 果たしてどちらの見方が正しいのか。この結論は出ず、結果としては米国株価は底値波乱、つまり底固めに終始している。

 ただ、わが国はこの議論の外にある。つまり、金融政策が欧米と真逆にあるからだ。

 これをもう少し詳しく見ると、なぜインフレが起きたのか? その根底にあるのは、おカネの刷り過ぎだ。通貨が増えれば、その価値は低くなり、通貨で表されるモノの価格は上昇する。これに気づいた欧米はQT(量的金融引き締め)を通じておカネを回収し始めた。

 当然、ドル通貨の奪い合いとなる。ドル通貨は高くなる。

 ところが、日銀はこうした政策と真逆で相変わらずおカネをジャブジャブさせている。ここへきて6月には16兆円超も国債を購入したという。これでは、いよいよインフレが進むことになる。為替市場で1ドル=137円台に入れば、円安の勢いは増すとみたい。

 では、逆に金融政策を欧米並みに修正するのかといえばNO(ノー)である。出口がないのである。

 だが、円安が進むと海外からの資金がわが国に殺到するのではないか。海外から見れば割安になったわが国の資産は魅力を増すし、国内企業は徐々に国内に生産拠点を戻すはずだ。

 最近の報道を見ると、こうした論調の記事が増えてきた。結果的には円安による企業収益の拡大、賃金上昇という好循環が期待されよう。

●日本株浮上のカギは米国株の底固め、円安の行方に

 さて、こうした金融環境のなか、日経平均株価は米国株の騰落に振り回されてきたが、粘り強く推移し、2万7000円に迫ってきた。

 そもそも、金融政策が違うのだから、米国株に振り回される必要はないのだが、これまでの長い習慣から致し方のないところか。もっとも、米国株は底値波乱の段階に入っているが、さらなる下値はないようにみえる。

 だとすると、日本株の上昇は米国株の底固めがいつ終了するか。また、円安がいつ再燃するかにかかっているとみたい。

 当面の銘柄であるが、いまだ市況全般が買い転換したという証しはなく、そうであれば景気敏感株、グロース株を問わず、現時点での個別人気株に追随するのが望ましい。

 今回の銘柄であるが、まずは足元で比較的値動きが良く、上値に抵抗力がないのがマネジメントソリューションズ <7033> [東証P]だ。

 次いでメルカリ <4385> [東証P]だ。値動きがこれまで意地悪く、あまり素直に儲けさせてくれそうもないというイメージがあるが、やや変わってきた感がある。注目したい。

 最後にSansan <4443> [東証P]がある。法人向け名刺管理サービスを提供している。名刺に記載されている情報をデータ化、可視化し共有できるようにする。DX(デジタルトランスフォーメーション)化の最たる銘柄だ。期待したい。

2022年7月8日 記

株探ニュース

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