東証2部は個人投資家の味方です。一挙紹介“割安&好業績”注目株 <株探トップ特集>
―連日最高値の東証2部でまだまだ割安感強い32銘柄リストアップ―
●東証2部指数は連日の過去最高値更新!
20日の東証2部株価指数は、前日比77.91ポイント高の6105.17と、連日で算出開始(1969年)以来の過去最高値を更新する堅調な推移となっている。東証1部市場と、マザーズやジャスダックの新興市場の間に挟まれてやや存在感が薄い印象のある東証2部市場だが、個人投資家にとって手掛けやすい要素も多い。
2部市場が個人投資家にとって魅力的なのは、1部市場と異なり株価指数先物取引による全体相場の変動に個別銘柄が左右されない点だ。さらに、株価面では比較的低位の銘柄が多く、最低投資単位当たりの金額が東証1部や新興市場の銘柄に比べて少額で参加しやすい面もある。
また、収益力が高いにも関わらず、PERやPBRの面で割安に甘んじているケースも多い。一方、日々の売買高が少なく流動性に乏しいという芳しくない面はあるものの、これは裏を返せばボラティリティの高さにもつながっている。東証2部の好業績・割安銘柄に照準を当てた。
●ムーンバットはオリジナルブランドの浸透を図る
ムーンバット <8115> [東証2]は洋傘でトップシェアを占め、洋品、毛皮、宝飾品、帽子などを扱い、百貨店で強みを発揮している。同社の18年3月期の連結業績見通しは、売上高126億5000万円(前期比1.2%増)、経常利益7億1500万円(同14.2%増)を見込む。オリジナルブランド「月装(つきそう)」を立ち上げ、同社130年の歴史の過程で積み重ねられた物づくりのノウハウを使い、素材やシルエットにこだわって開発した上質な国産品などの提案を開始している。また、17年4月から事業戦略部を新設し、既存の販売ルート以外のチャネルでの売り上げ・収益を拡大し、新しい柱となる事業の構築を推進するための体制を強化している。また、梅雨時から盛夏に向けて、シーズンストックとしての側面も見逃せない。
●「半導体製造装置関連」として見直し余地大の岡本工機
岡本工作機械製作所 <6125> [東証2]は、半導体関連の割安銘柄として注目。同社の18年3月期の連結業績予想は、売上高280億円(前期比17.9%増)、経常利益13億5000万円(同75.8%増)と大幅な増収増益を見込む。同社は、平面研削盤では国内トップを占める。一般的な工作機械メーカーとのイメージがあるものの、バックグラインダー、ポリッシングマシンなど半導体製造装置も幅広く手掛けている。また、需要が拡大を続ける液晶テレビ用パネルの製造過程では、マザーガラス、フォトマスクなど多くの研削、研磨工程があり、同社はその工程を担う大型研削・研磨装置を手掛けている。
●セブン工は総合プレカット事業構築に向け基盤強化
セブン工業 <7896> [東証2]が4月28日に発表した18年3月期の単独決算は、売上高140億円(前期比3.6%増)、経常利益3億7000万円(同13.5%増)を見込む。内装建材では、かつて施工性の課題で断念したマンション向けのカウンターについて、改めて品質改善を図ることでこの市場に向けた再チャレンジを行うとともに、集合住宅向けの内装建材の販売拡大に努める。木構造建材では、プレカット、ツーバイフォーパネル、建て方、非住宅分野、国産材活用まで幅広く対応する総合プレカット事業の構築に向けて、事業基盤の強化、拡充を図るとしている。
●ピックルスは品揃え拡充で3期ぶり過去最高益更新へ
ピックルスコーポレーション <2925> [東証2]が4月11日に発表した18年2月期の連結業績見通しは、売上高372億3200万円(前期比4.0%増)、経常利益14億5100万円(同67.4%増)を見込み、3期ぶりに過去最高益を更新する見通しとなっている。今期は主力のキムチや総菜製品の品揃え拡充を進めるほか、契約栽培の拡大などで原料コストを抑制し、大幅増益を確保する。具体的には主力商品の「ご飯がススムキムチ」シリーズに、白菜を細かく刻んだ、包丁いらずで、簡単にチャーハンが作れる料理用キムチ「炒飯用キムチ」を3月から投入したことなどが収益向上に寄与する見通しだ。
●クロスプラスは主力工場への生産集約で原価低減効果
クロスプラス <3320> [東証2]は9日、18年1月期の第1四半期(2-4月)連結決算を発表。売上高158億1600万円(前年同期比0.5%減)、経常利益3億7000万円(同2.2倍)と利益が急拡大し、通期予想の経常利益10億5000万円(前期比18.1%増)に対する進捗率は35.2%に達している。利益面で、主力工場への生産集約を進めることで原価低減に努めた。さらに、中国では昨年発足した生産コントロール部による工場の巡回管理の頻度を増やし、納期や品質の管理を強化したことや、ベトナム、ミャンマー、バングラデシュなどASEAN地域での生産比率を高めることで原価低減を進めている。また、仕入販売管理の精度を高めると同時に、在庫回転率を向上させ、ロスを削減したことで売上総利益率は前年同期比で1.3%向上した。
●長大の中間期経常利益は通期予想を大幅に超過達成
長大 <9624> [東証2]が5月11日に発表した17年9月期第2四半期累計(16年10月-17年3月)の連結決算で、売上高は140億9600万円(前年同期比9.2%増)と好調な伸びを示し、経常利益は16億7600万円(同2.0倍)と急拡大した。通期業績予想は従来見通しを据え置いているものの、通期予想の経常利益14億円(前期比2.1倍)を第2四半期累計で既に大幅超過達成しており、上方修正必至の状態となっている。同社は道路や橋梁などの調査・設計を行う建設コンサルタント会社で、政府の国土強靭化政策を背景とした橋梁などの老朽化対策で収益を伸ばしている。今後も、公共事業関係費の成長分野への重点配分化や、防災・減災対策、地方創生事業など、公共事業が比較的堅調に推移することが見込まれ、これが追い風となりそうだ。
●鶴弥は陶板壁材「スーパートライWall」を積極拡販
鶴弥 <5386> [東証2]は、愛知県地盤の陶器瓦専業メーカー最大手。同社は4月28日、18年3月期の単体業績予想を発表した。売上高94億円(前期比4.7%増)、経常利益6億円(同17.0%増)を見込む。今期は、生産活動で、引き続きコスト削減を図るとともに、受注生産方式の導入を図ることで、より一層の経営体質強化を目指している。一方で、陶板壁材「スーパートライWall」については、さらなる販売拡大および量産体制の構築に向け、引き続き積極的に研究開発活動を推し進める。さらに、同社は5月22日、陶板壁材「スーパートライwall」を屋根材として利用を可能にする工法の開発を開始したと発表した。屋根材の軽量化や施工の省力化ニーズが高まるなか、耐久性・軽量化を兼ねた壁材陶板を屋根材として使用可能にするシステム工法の開発に着手した。陶板屋根材には、屋根の断熱性能を向上させるため、断熱材のポリスチレンフォームをシステム工法に組み込む。製品化は10月を予定している。
◆東証2部「主な大幅増益予想の割安銘柄」◆
銘柄 <コード> 増益率 株価 PER
JESCO <1434> 64.8 451 9.4
富士ピー・エス <1848> 69.2 383 9.4
アップル <2788> 40.8 353 8.5
ピックルス <2925> 67.4 1814 11.0
ICDA <3184> 30.1 1470 6.6
ウィル <3241> 11.9 362 8.5
クロスプラス <3320> 18.2 1178 10.1
オーベクス <3583> 20.6 228 8.2
日本精蝋 <5010> 72.4 312 9.3
鶴弥 <5386> 17.0 468 9.1
岡本工機 <6125> 75.8 212 8.5
高松機械工業 <6155> 59.7 935 10.5
カワタ <6292> 32.6 553 10.0
トリニティ工業 <6382> 13.3 740 8.2
ダイベア <6478> 22.9 348 10.1
中北製作所 <6496> 31.1 604 9.9
富士通コンポ <6719> 26.9 379 9.2
星和電機 <6748> 11倍 412 9.1
フジオーゼックス <7299> 2.2倍 424 10.9
南海プライウッド <7887> 70.2 509 6.2
セブン工業 <7896> 13.5 175 8.7
ミロク <7983> 14.4 476 9.9
ナラサキ産業 <8085> 20.8 298 5.8
ムーンバット <8115> 14.2 941 9.7
都築電気 <8157> 11.6 699 7.4
リテールPA <8167> 50.8 1145 11.0
エムジーホーム <8891> 19.5 1086 6.2
エリアクエスト <8912> 61.4 144 13.6
川崎近海汽船 <9179> 18.1 307 9.0
兵機海運 <9362> 27.6 166 10.9
長大 <9624> 2.1倍 687 7.5
大日本コンサル <9797> 39.2 503 8.0
※株価は20日終値、増益率は今期経常増益率
単位:%、円、倍
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