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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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7259 アイシン

東証P
5,762円
前日比
-9
-0.16%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
11.9 0.73 3.12 20.60
時価総額 16,979億円
比較される銘柄
トヨタ, 
デンソー, 
豊田織

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横山利香「令和時代の稼ぎたい人の超実践! 株式投資術」― (42)売上営業利益率を使って業績の大波、小波をキャッチしよう!

横山利香(ファイナンシャルプランナー、テクニカルアナリスト)

◆株価と業績が均衡する水準に上げ余地はあるか

 皆さんは何を参考にして、株価上昇が期待される銘柄を探していますか? 株価が新高値を更新している銘柄に着目しているという人もいることでしょう。また、これまで業績好調で、今後も業績の伸びが期待できそうな銘柄という人もいることでしょう。しかし、前回にご説明したように株価は永遠に上昇し続けることはなく、いずれ下落に転じます。好業績も織り込みが進んでいれば決算発表で材料出尽くしとなり、株価は下落します。

 結局、株価は業績に対して割安であれば買われ、割高になれば売られるのです。では、どうやって割安な銘柄を探せばよいのでしょうか。前回は株式益利回りとPER(株価収益率)を使って銘柄を選別する方法について解説しました。

 今回は、別の視点から選別する方法をご紹介します。株価がある水準で業績に対して割高でも、割安でもなく、いわゆるフェアバリューにあると仮定しましょう。投資家としては、今後、株価と業績が均衡する水準がさらに引き上がっていくのか見極めることが大切になります。このときに活用したい指標が、「売上営業利益率」です。

 「売上営業利益率」は、簡単にいうと売上高のどれくらいが営業利益となるのかを測ることができる指標で、営業利益を売上高で割ることにより求められます。株探では個別銘柄の業績表で通期、3カ月業績それぞれの「売上営業利益率」を掲載していますので参考にしてください。

 具体的に、デンソー <6902> [東証P]で確認してみましょう。デンソーは7月28日に2024年3月期第1四半期(4-6月)決算を発表しました。同日の決算速報では、デンソーの決算内容について簡潔に説明がまとめてあります(図1)。コメントの最後には「直近3ヵ月の実績である4-6月期(1Q)の売上営業利益率は前年同期の4.5%→5.5%に改善した」と足もとでの利益率の改善に触れています。

図1 デンソー 決算速報
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 その下には業績の表が掲載されています。上から下に並ぶ業績表の中ほどに「今期の業績予想」がありますが、さらにその下の「3カ月の業績の推移【実績】」をご覧ください(図2)。

 同表の右から二番目の項目が「売上営業損益率」です。直近3カ月の「23.04-06」(2024年3月期第1四半期)では「売上営業損益率」が5.5(%)と記載されていることがわかります。前年の同時期にあたる「22.04-06」(2023年3月期第1四半期)の「売上営業損益率」は「4.5(%)」ですので、決算速報のコメント通りこの数値に比べてよくなっていることが確認できますね。一般的に業種や企業ごとに季節変動要因があり、下期や期末に収益が偏ることも珍しくありませんので、特に四半期(3カ月業績)では前年同期と比較することが大切です。

図2 デンソー 3カ月業績:売上営業損益率
【タイトル】

 もう少し期間を広げて、同社の四半期の「売上営業損益率」の前年同期比の推移も追ってみましょう。図3の「売上営業損益率の変化」は「前年同期の売上営業損益率→当該期の売上営業損益率」を示しています。

図3 デンソーの四半期営業損益率の変化
【タイトル】

 これをみると、「22.07-09」(2023年3月期第2四半期)から増益かつ売上営業損益率も改善という状況が4四半期連続していることがわかります。このまま業績の改善が続くようであれば、業績に対し株価は割安と評価されて株価が上昇する可能性が出てくるわけです。

 反対に、業績の伸びにブレーキがかかったり、売上営業損益率が悪化するようなことがあれば、それまでが良好であったとしても、業績の先行きへの懸念が高まり、株価は割高と評価されてしまう可能性も考えられます。

 また、売上営業損益率の変動のベクトルのほか、水準そのものについてもチェックすることも重要です。同業他社や個別銘柄欄にある「比較されやすい銘柄」などを参考に確認してみましょう。今期予想を含む5年平均で売上営業損益率を算出すると、デンソーは5.2%、アイシン <7259> [東証P]は3.1%、豊田自動織機 <6201> [東証P]は5.5%と自動車部品企業としては一定の水準にありそうです。

 このように、株価が上昇していく銘柄を探す場合、業績の伸びは続いているか、あるいは回復が見込めるか、利益率は改善しているか、その水準はどうか――などを、決算資料等を活用しながら一つひとつ確認していくことが必要になるのです。

 ここでは主に四半期の業績でみてきましたが、デンソーの場合、通期業績は2020年3月期で底を打ち、翌2021年3月期から2023年まで3期連続で営業増益かつ売上営業利益率が改善しています。そして、今2024年3月期も2期連続の営業最高益更新を見込み、売上営業利益率は1999年3月期以降で過去2番目の水準になると予想されています(図4)。

図4 株探プレミアムを使って確認したデンソーの通期営業利益と売上営業利益率の推移
【タイトル】

 株価の波はこうした業績の大波(通期業績)に加えて小波(四半期業績)によっても形作られていきますので、その大波や小波に合わせてスイングトレードを行っていくと、「あの時に売ればよかった」とか「高値掴みをしてしまった」と後悔に苛まれるリスクを少しでも減らすことができるようになります。

 「えー、面倒そう……」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、面倒な作業ではありますが、波に乗れた時の「よっしゃー!!」という達成感は代えがたいものですので、是非、みなさんも頑張って銘柄を探してみてください!

 


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