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6430 ダイコク電機

東証P
3,505円
前日比
-5
-0.14%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
6.3 1.28 3.42 2.28
時価総額 518億円
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決算発表予定日

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ダイコク電 Research Memo(6):クラウドサーバーによる業界唯一のプラットフォーム構築を目指す


■中期経営計画

ダイコク電機<6430>は、2021年11月に2023年3月期からの新中期経営計画(3ヶ年)を公表した。「旧規則」機から「新規則」機への移行や、それに伴う業界環境の変化、設備投資の動向など、先行き不透明な状況が続いたことから、しばらく中期経営計画の公表を見送ってきたが、このタイミングで公表に踏み切ったのは、2022年1月末を設置期限とする「新規則」機への入れ替えが進み、「スマート遊技機」による新たな時代を迎えるにあたって、遊技機市場やパチンコホールの設備投資の活性化に向けた道筋が見えてきたことが背景にある。経営理念である「イノベーションによる新しい価値づくりを通じ、これからも一貫して持続的な成長を果たしてまいります。」に基づき、将来の市場環境の変化に対応するため、事業ドメインの再設定に取り組む方針である。具体的には、新規導入が予定されている「スマート遊技機」の普及に伴う需要の取り込みや、AIホールコンピュータ「Χ(カイ)」の普及促進のほか、クラウドサーバーを活用したビジネスへの展開(新MGサービスの拡充)により、業界唯一のプラットフォームを構築する戦略を掲げている。

1. 前提となる環境認識
2022年2月からの「新規則」機への完全移行、さらには2023年3月期後半に予定されている「スマート遊技機」の新規導入に伴って、遊技機市場及びパチンコホール業界は「スマート遊技機」による新たな時代を迎えようとしている。「スマート遊技機」への入れ替えは、データの集約及び活用を一気に飛躍させるとともに、ゲーム性の幅が広がることでファンの拡大やホール経営のあり方に大きく影響を与える可能性がある。特に、パチンコホールごとに集客力の差が顕著となることから、有力企業による業界再編の流れが加速されるとの見方もある。同社では、「スマート遊技機」の入れ替えが進む中期経営計画2年目(2024年3月期)以降、勝ち残りをかけたパチンコホールの設備投資(新規出店を含む)が活性化され、同社業績も大きく拡大するシナリオを描いている。

2. 重点施策(事業ドメインの再設定)
(1) 情報システム事業
戦略の目玉は、今後の市場変化を見据え、クラウドサーバーを活用した新MGサービスの拡充により業界唯一のプラットフォームを構築し、ホール大手を中心に囲い込むとともに、ホール経営の支援はもちろん、業界の変革にも貢献していくところにある。そのための具体策として、引き続きAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」の普及を進めるとともに、「新規則」機及び「スマート遊技機」などに柔軟に対応した製品・サービスに加え、省力化・省人化をさらに具現化し、ホールスタッフの働き方やファンの集客戦略を変える製品群をタイムリーに市場投入することで各製品のシェアを高めていく。さらには業界データ及び外部データをクラウドサーバーに集約・活用するプラットフォーム※をスタートさせ、新MGサービスの拡充による安定収益の底上げを目指していく方向性である。

※自社及び他社のホールコンピュータ、ファン行動、サイトアクセス、Wi-Fiアクセス、スタッフ情報、カメラ映像などの業界データのほか、人口統計、行動心理、商圏特性、人流データ、SNS・アプリなどの外部データをクラウドサーバーに集約するとともに、予測エンジンや異常検知エンジン、レコメンドエンジンなどの機能により、データを有効に分析・活用することができるプラットフォーム。


(2) 制御システム事業
事業の主軸を「パチンコ」から「スマートパチスロ」へ移行していく方針を掲げている。2021年3月期下期より開始したパチスロ遊技機の一括受託開発をさらに推し進めるとともに、メダルレス筐体及びソフト開発体制を完成させ、3年後には収益の柱へと育成していく。

3. 投資計画
3年間の投資計画(累計)として、研究開発費40億円(前3ヶ年合計は28億円)、設備投資62億円(同41億円)を予定しており、前3ヶ年合計を上回る水準となっている。なお、研究開発費は主にスマートパチスロ関連(制御システム事業)、設備投資は主にサーバー開発費(情報システム事業)に投下される計画のようだ。

4. 数値目標
最終年度である2025年3月期の数値目標として、売上高34,000百万円(3年間の平均成長率11.7%)、営業利益2,200百万円(営業利益率6.5%)を掲げている。特長的なのは、半導体不足やコロナ禍の影響により、本格的な業績向上(パチンコホールにおける設備投資の本格化)のタイミングが読みづらい2023年3月期については保守的な業績を見込む一方、2年目(2024年3月期)での大幅な事業拡大を実現するシナリオとなっている点である。また、研究開発費や設備投資を積極投入しながらも営業利益率が段階的に改善していくのは、各製品群における付加価値の向上に加え、MGサービスによるストック型ビジネスが成長の軸となり、収益構造の変化(収益の底上げ)に大きく貢献することが理由と考えられる。

5. 弊社アナリストによる戦略評価
弊社でも、スマート遊技機による新時代を迎えるにあたって、同社の強みとするデータ活用によるMGサービスをさらに拡充させるため、ホールコンピュータからクラウドサーバーを活用したビジネスへと展開していく戦略は、環境変化を自らの優位性を生かすチャンスにつなげていくうえで理にかなっていると評価している。また、同社が目指すプラットフォームビジネスは、データが集まるところに会員が集まり、会員が集まるところにデータが集まるという正の循環(ネットワーク性)が働くため、圧倒的なポジションをさらに強固なものにできる可能性も高いと言えよう。そのうえで、業界におけるリーダーシップを発揮することにより、同社自身はもちろん、業界や社会の持続性への貢献にも大きな役割が期待されるため、いかにイノベーションによる新たな価値づくりを実現していくのか、サステナビリティへの取り組みについても注目していきたい。また、同社のデータを活用するノウハウは横展開が可能であるため、新たな収益源の獲得やリスク分散を図るうえでも、異業種参入を目的としたM&Aや業務提携の動きにも注意が必要となろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《YM》

 提供:フィスコ

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