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6409キトー

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キトー Research Memo(2):「簡単かつ小さな力で物体を持ち上げられる巻上機」が主力製品


■会社概要

(1)沿革

キトー<6409>は1932年、東京・大森に鬼頭美代志(きとうみよし)氏(現代表取締役社長である鬼頭芳雄(きとうよしお)氏の祖父)によって設立された。創業当時から主力製品はレバーブロック及びチェーンブロックなどの巻上機であったが、その後も一貫して専業メーカーとしての道を歩み続けている。現在ではチェーンブロックで国内シェア60%超のトップメーカーとなったが、海外展開も進んでおり海外子会社を13ヶ国に、海外代理店を50ヶ国に有している。海外売上高は2016年3月期で77.3%に達し、名実ともにグローバル企業と言えるだろう。

(2)事業内容

同社の主力製品は「簡単かつ小さな力で物体を持ち上げられる巻上機」である。巻上げを行うのが、「手動か電動か」「チェーンかワイヤーロープか」、持ち上げる荷の重さ及び形状によって製品の種類は多種多様である。さらに「物を持ち上げ移動するための製品」の延長として、クレーン関連の製品も製造している。主要製品の平均単価は1台当たり1~2万円程度から100万円超まで幅広い。数年で買い換える顧客もいるが、10~20年近く使用する場合も少なくない。以下が主要製品であるが、個々の製品別売上高は開示されていない。

・ チェーンブロック: 滑車の原理を使い、手鎖(ハンドチェーン)を動かすことで物を巻き上げ下げする。手動と電動がある。定格荷重は手動=0.5~50t、電動=0.06~20t。
・レバーブロック: レバーを上下させて物を持ち上げ、固定するもので手動のみ。(同0.25~9t)
・ワイヤーロープホイスト:電動でロープを巻上げて物を巻き上げ下げする。(同1~63t)
・その他:天井クレーン、ライトクレーン。

巻上機の主たる用途は「簡単に物を一時的に持ち上げること」なので、建設・土木の工事現場及び、製造業の工場などで頻繁に使われる。主なユーザーの業界は建設業、製造業であるが、実際は代理店経由の売上高が多いため、最終ユーザーの比率は不明である。

製品の種類別売上高(2016年3月期実績)は、顧客の一般的なニーズに対応した標準品が71.9%、顧客の様々なニーズに合わせオリジナル設計・製作した特殊製品(カスタム品)が16.8%、アフターサービス等が11.3%であった。

製造においてはほぼすべて自社グループでの組み立てであるが、部品も含めて約60%を内製しており、これが後述するように同社の強みにもなっている。日本では主にチェーンブロックとレバーブロックを、中国では主にワイヤロープホイストを、そのほかのアジア地域ではクレーンシステムを生産している。

地域別売上高(2016年3月期実績)は、日本で22.7%、米州(主にカナダ及び米国)で50.0%、中国で13.3%、アジアで9.5%、欧州で3.3%、その他で1.2%となっている。

通貨別売上高では、円に加えてUSドル、カナダドル、ユーロ、人民元などの比率が高く、円安が業績へのプラス要因となる。概算ではあるが、対ドル1円の変動で売上高は約200百万円、営業利益は70百万円ほどの影響を受ける。

販売ルートは、国内、米州、中国では代理店経由がほとんどであり、(残りは直販)、日本及び中国を除くアジアでは反対にクレーンシステムの直販が主力となっている。販売網として国内では営業所12ヶ所、認定販売店約120社を、サービスショップ100社、海外では販売子会社12社及び販売代理店を50ヶ国以上に有している。なお、2014年4月に営業所の統廃合、販売店制度の改革などを実施した。

(3)市場シェア及び競合

チェーンブロックにおける同社の市場シェアは日本60%超、米国40%超、カナダ50%超と推定されており、国内及び米州で強い。一方、ワイヤロープホイストにおいて同社は中国市場でシェア約25%と強いが、日本も含めたほかの市場では競合他社の後塵を拝している。国内におけるワイヤロープホイストのシェアはまだ数%であるもようだ。

国内での競合は、非上場企業及び中小メーカー、大手重電メーカーの事業部門など、扱う製品によって様々である。世界市場では各社扱う製品が異なり正確な統計もないので単純な比較ができないものの、同社の推定ではトップがコネクレーンズ(フィンランド、Konecranes Plc)で以下、デマーグ(ドイツ、Demag)、コロンバスマッキノン(米国、Columbus McKinnon Corporation)と続き、同社が第4位となっているようだ。なお同社は2016年9月末まではコネクレーンズと資本・業務提携関係にあり、コネクレーンズは同社の株式約22%を保有する筆頭株主であったが、9月末付けでコネクレーンズが保有する587万株を同社が自己株式として買い取った。この結果、両社の資本・業務提携も解消された。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《TN》

 提供:フィスコ

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