4978 リプロセル JQG 15:00
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2016年08月12日16時39分

リプロセル Research Memo(6):ReproCELL Europeの業績がフルで寄与するため増収の見通し


■今後の見通し

(2) 2017年3月期業績見通し

リプロセル<4978>の2017年3月期の連結業績は、売上高が前期比22.4%増の1,305百万円、営業損失が898百万円(前期は1,024百万円の損失)、経常損失が801百万円(同1,169百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失が801百万円(同1,961百万円の損失)となる見通し。売上高の主な増収要因は、ReproCELL Europeの業績が年間でフル寄与すること、及び創薬支援サービスや研究試薬の売上増によるものとなっている。営業損失については増収効果に加えて、海外子会社の再編統合に伴う間接部門のコスト削減効果(1億円強)などが寄与する。のれん償却額については前期比114百万円増加の266百万円を見込んでいる。なお、為替前提レートは1ドル=110円、1ポンド=170円としており、現状の為替水準(106円/ドル、140円/ポンド)が続くようであれば、海外売上高並びに損失額については目減りする可能性がある点には留意する必要がある。

地域別の売上計画では、国内が前期比微増の431百万円、米国が円高の影響(前期は約120円/ドル)で円換算では微減収の548百万円を見込んでいる。欧州向けについてはReproCELL Europeの売上高が年間でフル寄与するため、前期比約4倍増となる326百万円となる見通しだ。

iPS細胞事業の内訳を見ると、基礎研究の構成比が44%、創薬支援が56%となり、初めて創薬支援が5割を超えることになる。増収率で見れば、基礎研究が1ケタ台の増収にとどまるのに対して、創薬支援はReproCELL Europeの寄与もあって2ケタ増収となる見通しだ。

研究試薬については前期に発売した新製品の売上増が見込まれる。特に、Stemgentが開発したヒトiPS細胞試薬製品「StemRNA-SRリプログラミング・キット」は、世界初の血液用RNAリプログラミング試薬で、米国では同キットを用いた受託作製サービスの引き合いが増加している。既存品は皮膚細胞を使って12日間培地交換しながらトランスフェクション工程※を行うのに対して、同製品はトランスフェクション工程が2回だけで済み、その後は培地交換のみでヒトiPS細胞の樹立を可能とするなど、ヒトiPS細胞を容易に作製できることが特徴となっている。また、同社のリプログラミング技術は、細胞に注入したRNAが培養後に完全に消去されるため、高い安全性を持つことも特徴となっており、今後のヒトiPS細胞の培養試薬においてデファクトスタンダードになるものとして期待される。

※トランスフェクション…DNAやRNAなどの遺伝物質を細胞に導入する手法

また、ヒトiPS細胞をナイーブ型に誘導するための培養液として世界初の製品となる「ReproNaiveTM」(2015年6月発売)の売上増加も見込まれる。ヒトiPS細胞のような多能性幹細胞には、受精卵に近い未分化な状態のナイーブ型とやや分化が進んだ状態のプライム型とに分類され、現在は大半がプライム型の状態で培養されている。ナイーブ型はプライム型と比べて、多くの種類の細胞へ分化させることが可能であることが知られており、高品質なiPS細胞として注目されている。同培養液を使うことで、プライム型ヒトiPS細胞からナイーブ型ヒトiPS細胞に誘導できるほか、10日間で従来よりも100倍以上のスピードで細胞を増殖することが可能となる。同社では、将来的にヒトiPS細胞がすべてナイーブ型に置き換わるとみており、同培養液の売上高も拡大するとみている。

京都大学再生医科学研究所と共同開発した凍結保存液「ReproCryo DMSO FreeTM」(2015年8月発売)も注目製品の1つとなる。同製品は凍結保存液の成分として一般的に利用されているDMSO※1を含まない世界初の保存液であるためだ。凍結融溶解後の立ち上がりが良く、生存率も良好で、ヒトES/iPS細胞の機能を高水準で維持、活用できることが特徴となっており、市場シェアの拡大が期待される。今後は再生医療分野での利用も視野に、GMP※2グレードの製品化も進めていく予定だ。また、再生医療分野に向けてはヒトES/iPS細胞用試薬「bFGF Xeno-Free」の販売を2016年3月より開始しており、今後の動向が注目される。同製品は動物由来の成分を含まない安全性の高い培養液となっていることが特徴で、今後はGMPグレード製品化によって、再生医療分野の細胞医薬品の開発を進める企業向けに販売を拡大していくことを目指している。

※1 DMSO…ジメチルスルホキシド(Dimethyl sulfoxide)の略称で、分子式(CH3)2SOで表される毒性のある有機化合物。現在、最も多く用いられている凍結保護剤成分で、良好な細胞生存率が容易に得られる一方で、細胞の分化形質が変化してしまう可能性があるといった報告がなされている。
※2 GMP(Good Manufacturing Practice)…原材料の受入れから製造・出荷まで全ての過程において、製品が「安全」に作られ、「一定の品質」が保たれるようにするための製造品質管理基準。

一方、創薬支援では、アルツハイマー病患者から採取した細胞から作製したヒトiPS細胞由来の疾患型神経細胞「ReproNeuro AD-patient 1」の販売を2015年8月より開始するなど、ヒトiPS細胞由来の分化細胞(神経細胞、心筋細胞、肝細胞等)や疾患モデル細胞のラインナップを拡充し、販売していく予定となっている。また、ヒトiPS細胞を使った研究開発が活発化するなかで、製薬企業などからのカスタムメイドのヒトiPS細胞の受託作製サービスや、DNA等の遺伝子型判定等を行う前臨床分子解析サービスなどの受注も拡大していく計画となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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