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決算発表予定日  2017/11/14

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2016年11月02日19時00分

中村潤一の相場スクランブル 「復活のトランプ、リスクオフ相場の正体」


株式経済新聞 副編集長 中村潤一

 2016年も11月と12月の2ヵ月を残すのみ。東京株式市場はここまで年を通じて強気が報われにくい展開でしたが、最終コーナーでようやく相場復元の芽が萌え出た矢先、今度は年末高のシナリオを前に青天の霹靂(へきれき)に見舞われる格好となりました。

 来週11月8日に予定される米大統領選はクリントン氏の勝利が濃厚とみられていましたが、一連のメール問題の再燃で情勢が一変、トランプ氏が世論調査で優位に立つなど混迷の度を深め、にわかに相場を取り巻く環境もかまびすしくなってきました。

●対岸の火事では済まされないトランプ・リスク

 米ワシントンポストとABCテレビが実施した直近の世論調査でトランプ氏の支持率がクリントン氏を上回ったことがセンセーショナルに伝えられています。巷間、クリントン勝利がコンセンサスとしてほぼ固まっていただけに、その反動も大きく、前日(1日)の米国市場ではNYダウが一時200ドル超の下げ、恐怖指数と呼ばれるVIX指数も急動意するなど、絵に描いたようなリスクオフ環境が演出されています。日本株も対岸の火事では済まされず、日経平均株価は300円を超える下げで一時は1万7000円トビ台まで水準を切り下げる場面がありました。急浮上したトランプ・リスクが米国ひいては日本株のトレンドを揺るがすのか否か、今はその瀬戸際にあるとの見方が強いようです。

 市場の声を聞くと、識者の間でも人によって意見が割れていることに気づかされます。ある関係者は、「もし仮に、トランプ大統領誕生となれば米国の政策は立ちいかなくなる。時間をかけながら脇を固める閣僚でうまく政権運営を行っていく方向となるだろうが、実質的には4年間レームダック状態を覚悟しなければならない。米国依存度の高い外需系の銘柄はいったん売り」(国内大手証券投資部長)という声。

 また一方では、「実際にトランプ大統領となってもショックは一時的で世界は順応することになる。政治はそれなりに落としどころを探す。株式市場もそれによって崩落局面に移行するようなことは考えにくい。輸出株でも大きく下がったところは買い」(準大手証券ストラテジスト)とする見方もあり、現状ではどちらが正しいのか知る由もありませんが、それだけトランプ大統領の世界が把握しにくいということでもあるかと思われます。

●ブレグジットがあったからこそ今回は“ない”

 「トム・ソーヤーの冒険」で名を馳せた作家で辛口批評家としても知られるマーク・トウェインは「競馬を成り立たせるのは意見の相違である」と言いました。株式投資もまさに本質的にはそれに近い。個人的な意見の相違が売りと買いに姿を変えてぶつかり合うのです。それは一歩先の未来であっても、その景色は人間には見えないという現実があるからです。

 ただし、結論から先に言えば今のリスクオフ相場に正面から対峙する必要性は希薄で、むしろ斜に構えるしたたかさが求められるところです。個人的にはトランプ大統領が実現する可能性は極めて低いと考えています。したがってトランプ・リスクの現実化を前提に意見を交える必要はなく、むしろ不安心理先行により水準を切り下げた株価のリバウンドのタイミングや対処法に焦点を当てるべきだと考えます。支持率と実際の選挙は違います。仮にメール問題で世論が不安定化しても州ごとに総取り方式の大統領選において、少なくとも残り1週間でクリントン氏がうっちゃられる要素はない、そう見切れるならば、眼前には大きな投資のチャンスが転がっていることになります。

 もちろん、選挙は蓋を開けてみなければ分からないというのも確かでしょう。直近の例では英国のEU離脱、いわゆる「ブレグジット」の例を引き合いに出す人も多いようです。しかし、ブレグジットの教訓があるからこそ、学習効果が働き、米国民はトランプ氏に翻る可能性が低くなっているのです。世論調査をうまく利用しながら売り方が闊歩するのは来週火曜日(8日)まで、とみています。それを逆手にとって安く仕込むチャンスを探るのが戦略というものでしょう。日経平均1万7000円割れからは基本的に買い下がりで対処するのが正解と思います。

●屈むからこそ伸びるチャンスも得られる

 今回の降って湧いたようなメール問題の再燃がなくても日本株(東証1部)は目先的に調整局面に向けたカウントダウンに入っていました。過去の例を引けば、騰落レシオが140%前後まで上昇した場合、必ずといってよいほど売られ過ぎゾーンといわれる80%近辺まで下降するケースが多いのです。屈伸運動と同じ原理で屈むからこそ伸びることができるのは相場も同じ。今の相場は、下を見ると日銀が敷き詰めたETF買いのセーフティネットが売り方と買い方の摩擦熱を吸収してしまって、相場そのものの活力が失われているとの批判もありますが、くしくも今回はリスクオフの潮流によって男性的な下げに見舞われたことで、それが次の“伸び”につなげる機を得ることができたのです。

 個別には直近大きく値を下げた逆張り対象としてコムチュア <3844> などは狙い目とみます。中間決算を受けて失望売りにさらされた形ですが、需給先行で売られ過ぎの時価近辺はチャンスでしょう。情報システム構築を主軸分野に、グループウエア開発では業界首位級の実力。IoT全盛時代の到来とともに、ビッグデータ人工知能(AI)を活用したマーケティング支援サービスへの注力は中期的な成長シナリオに結実していくと思われます。

 また、MUFG傘下で業績回復色をみせるアコム <8572> はここ動きが変わってきており注目。チャートは週足で10月第2週に十字足を示現後、3週連続陽線で底値ボックス圏離脱の気配をみせています。業績は事業基盤拡大の効果が出て17年3月期営業利益は前期比4倍強の648億円を会社側では見込んでいます。

 半導体関連株に大きな潮流がきています。記憶素子が従来の平面ではなく立体方向に積層化された新型メモリーとして脚光を浴びる3次元NAND型フラッシュメモリーの存在が、物色テーマに厚みを加えています。足もと大きな押し目を形成した関東電化工業 <4047> などは仕切り直しが期待できそうです。チップ構造が複雑な3次元NANDは半導体向け特殊ガスも通常より増量効果が見込まれ、同社にとっては中期的な追い風要因となります。17年3月期の業績見通しについて会社側は保守的で、営業利益段階で12%減益の76億円を見込んでいますが上振れの公算は大きく、一転増益となる可能性が指摘されています。

(11月2日記、隔週水曜日掲載)

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