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【特集】「米大統領選の大波乱要因に!?クリントン氏疑惑再燃」外為オンライン・佐藤正和氏に聞く!<直撃Q&A>

佐藤正和氏(外為オンライン シニアアナリスト)
 米連邦捜査局(FBI)が、大統領選挙の民主党候補・クリントン氏の私用メール問題で再捜査を始めたことが28日に明らかになった。この衝撃的な事態を受け、為替市場では1ドル=105円半ばにあったドルは104円半ばへと急落した。来月8日の米大統領選直前にして、ほぼ勝利を手中に収めたとみられていたクリントン氏の勝利に突如、不透明感が強まった格好だが、同氏への疑惑再燃は、為替相場にどんな影響を与えるのか。外為オンラインの佐藤正和シニアアナリストに聞いた。

Q1 FBIがクリントン候補の私用メール問題について再捜査を開始。これを受けて、ドルは急落しました。この状況をどうみていますか?

佐藤 前週末28日のドル円相場は、米国7~9月期GDPが堅調な内容となり状況次第では、106円も目指す勢いだった。しかし、クリントン氏のメール疑惑が報じられ、一気に104円半ばまでドルが急落した。市場はクリントン氏の勝利を前提に動いていただけに、衝撃的なニュースとして受け止められた。今後の展開を注視しなければならないが、もし、このFBI捜査がきっかけとなり、共和党のトランプ氏が勝利すれば、市場で言うところの「ブラックスワン(予想は難しいが起きた時の衝撃が非常に大きな事象)」的な出来事となり、Brexit(英国のEU離脱)の再現となることも予想される。

Q2 今後、8日の大統領選に向けての展開はどう読みますか?

佐藤 大統領選直前のこの時期に発表したということが憶測を呼ぶ。FBIは大統領選までに何らかの事実をはっきりさせたかったのかもしれないし、また、新たに判明した事実がグレーなものなら、公表しなかったとも考えられる。ただ、日本の検察庁が今回のような発表をした場合、状況が「黒」だと確信し事態を進行させると判断できるが、FBIの発表がどの程度のものなのかはやはり判然としない。いずれにせよ、今後、大統領選に向けた支持率の変化を含め、状況を注視せざるを得ない。

Q3 大統領選を視野にしたメーンのドル円相場のシナリオは。また、リスクシナリオは?

佐藤 依然、クリントン氏の勝利がメーンシナリオだが、今後の展開は2パターン想定できる。大統領選までにメール疑惑の内容がはっきりし、そのうえでクリントン氏が勝利するなら、年末に向け107~108円へのドル高が進行するだろう。一方、疑惑がグレーの状態のままクリント氏が勝利した場合、いつ問題が再燃するか疑心暗鬼状態が続く。この場合、105円前後での一進一退が続くと見ざるをえない。

 リスクシナリオは、もちろんトランプ氏の勝利で、NYダウも大幅安が予想されるなか、ドルは100円割れへと急落することも見込まれる。有力視されている12月利上げもトランプ氏勝利なら、市場の急変を受け見送りとなる可能性も出てくるだろう。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(さとう・まさかず)
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。通算20年以上、為替の世界に携わっている。

出所:株経ONLINE(株式会社みんかぶ)

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