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【特集】大塚竜太氏【本格上昇は始まったか、復活外国人買いと今後】(1) <相場観特集>

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

―外国人投資家10月1兆4500億円買い越し、高まる先高期待の行く末―

 31日の東京株式市場は、原油安や円高傾向の為替を横目に利益確定売りを浴びたが、図らずも下値では押し目買いニーズの強さを証明する形となった。10月下期相場入りとなってから需給面での大きな変化といえば、東京市場の方向性を左右する外国人投資家の動向だ。外国人は現先合わせ10月第3週までで計1兆4500億円弱買い越しており、これが相場の先高期待を醸成している。これをもとに、市場の第一線で活躍する証券関係者に今後の相場見通しを聞いた。

●「海外中長期マネー再出動で意外高も」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

 外国人投資家の姿勢の変化は、相場の地合いの変化をそのまま反映しているとみてよいだろう。9月は海外ファンドの機械的な決算絡みの売りなどが高水準だったが、日銀のETF買いで吸収した。10月は一転して“持たざるリスク”が前面に押し出される格好で、グローバルマクロや一部オイルマネーなど中長期資金を交えた海外勢の買いが流入しているとみられる。そして、この流れはまだ始まった矢先といってもよい。

 ファンダメンタルズ面で日本株を見直す動きが出ているようだ。3月決算企業でいえば、第1四半期段階と第2四半期を比較して現時点では1株利益ベースで1%程度しか悪化していない状況にある。17年3月期の全産業ベースでの減益決算は避けられないとしても、足もとの円安トレンド転換も加味して、当初懸念したような企業業績の落ち込みはないとのコンセンサスが広がっている。

 米大統領選については、ここにきてヒラリー・クリントン氏のメール問題が再燃し不透明感につながっているが、クリントン氏勝利は変わらないだろう。ただし、大統領選と合わせて行われる米議会選挙では民主党は苦戦が予想され“ねじれ”が生じる可能性は高い。その点は米株市場にとっても試練となるかもしれないが、先に調整を済ませている日本株は相対的に強さを発揮する公算が大きい。

 東京市場は騰落レシオが140%を超えるなどテクニカル面での過熱感から、目先下振れ余地も考慮されるが、あくまで一過性のものにとどまるだろう。1万7000円割れがあれば、そこは買い下がる姿勢で結果的に報われるだろう。相場の上値余地は一般の投資家が考えているよりも大きいと考えており、年末までに日経平均1万8000円を通過点とする戻り相場で、原油高・円安などの条件が揃えば1万9000円をうかがうような強調展開もあり得る。

 物色対象としてはバリュエーションの見直しと業績回復期待から銀行や証券株に照準を合わせたい。また、総合商社株も見直し買いの対象だ。原油価格の底入れと12月のプーチン来日による日ロ首脳会談を材料にロシア関連の切り口で要注目となる。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。

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