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【特集】ユニクロが1日で「100億円」を売った日、“光棍節”今年は <株探トップ特集>

ファストリ <日足> 「株探」多機能チャートより

―熱狂の中国「独身の日」商戦最新事情、日本企業の取り組みは―

 中国で「独身の日」(光棍節:こうこんせつ)と呼ばれる11月11日が迫ってきた。この日はネット通販大手による特売セールが行われることから、中国の電子商取引(EC)が国民的に盛り上がる巨大商戦となっている。中国企業はもとより、日本企業でも売り上げを伸ばす企業が相次いでおり、今年もその動向が注目されている。

●アリババグループが火付け役

 「光棍」とは、中国語で木の樹皮を剥いで作られた棍棒のことを指し、加工された木は枝や葉を生やすことができない、つまり子孫を残せないという連想から独身を意味するとされる。もともとは、1990年代に学生の間で「1(シングル)」が並んだ日付を「独身(=恋人がいない人)の日」としてイベント化したことが始まりだが、中国EC大手のアリババグループが2009年の11月11日に大幅な値引きセールを実施。これが火付け役となって他の業者も追随するようになり、今では独身者に限らない「爆買いの日」として定着している。なお、アリババグループは昨年、1日限定の特別セールの総取引額が14年比60%増の143億ドル(約1兆7600億円)を記録。うちモバイル経由の購入が占める割合は、14年の43%から69%と大きく伸びた。

●ファーストリテの15年売上高は約1億ドル

 日本企業も「独身の日」に合わせたキャンペーンを行っており、ファーストリテイリング <9983> は昨年、アリババグループが展開しているネット通販サイト「Tモール(天猫)」の1日限定セールで14年比約2倍の約1億ドルの売り上げを記録。全業態で4位(14年は5位)、アパレル部門で1位(2年連続)となった。また、キリン堂ホールディングス <3194> は約4億5000万円、アイスタイル <3660> は1億円超の売り上げを達成し、白鳩 <3192> [JQ]も好調だったという。今年もこれら企業の売り上げに期待が寄せられているほか、「Tモール」に出店しているカルビー <2229> やアスクル <2678> 、花王 <4452> 、資生堂 <4911> 、ライオン <4912> 、コーナン商事 <7516> 、ピジョン <7956> 、ラオックス <8202> [東証2]、イオン <8267> などへの関心も高まっている。

●越境EC支援企業にもビジネスチャンス

 中国のECサイトに出店する企業が相次いでいる背景には、「巨大な消費市場の変化の速さに対応することが求められている」(花王の広報担当)ことがある。

 経済産業省の推計では中国消費者に対する日本からの越境ECの市場規模は15年の7956億円から19年には2兆3359億円に拡大すると予測されており、これに伴って越境ECを支援する企業も活躍の場を広げそうだ。例えば、トランス・コスモス <9715> は9月から、アダストリア <2685> に中国ECサイトへの出店支援をはじめとしたECワンストップサービスの提供を開始。オプトホールディング <2389> は昨年9月、中国EC大手の京東集団傘下の海外法人向けECモール「京東全球購」と公式パートナー契約を締結し、日本におけるクライアント企業の誘致およびサービス運営などの関連業務を授権している。このほか、海外販売代行サービスを手掛けるブランジスタ <6176> [東証M]や、越境ECシステムを提供するHamee <3134> 、海外転送サービスを手掛けるグループ会社を持つBEENOS <3328> などにもビジネスチャンスが見込まれる。

 また、最近は越境ECの売り上げ拡大を目的にSNSマーケティングを導入する企業が増えていることから、中国最大のSNS「Weibo(微博)」の公式マーケティングパートナーである北京天下秀科技と正規販売代理店契約を結んでいるアライドアーキテクツ <6081> [東証M]にも注目したい。

●ヤマトHDや日通の物流企業にも注目

 日本企業が越境ECに参入する動きは今後も続くことが予想されるが、成功のカギを握るのがネットで販売された商品を運ぶヤマトホールディングス <9064> や日本通運 <9062> といった物流企業だ。ヤマトHDは5月から京東集団の傘下企業とスピード輸送サービスの提供を開始したほか、日通は8月にアリババグループと業務提携し「Tモール」出店者への物流サービスの提供を本格的にスタート。また、ANAホールディングス <9202> は9月から「新越境EC物流サービス」の提供を始めている。

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