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【特集】田部井美彦氏【本格上昇は始まったか、復活外国人買いと今後】(3) <相場観特集>

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

―外国人投資家10月1兆4500億円買い越し、高まる先高期待の行く末―

 31日の東京株式市場は、原油安や円高傾向の為替を横目に利益確定売りを浴びたが、図らずも下値では押し目買いニーズの強さを証明する形となった。10月下期相場入りとなってから需給面での大きな変化といえば、東京市場の方向性を左右する外国人投資家の動向だ。外国人は現先合わせ10月第3週までで計1兆4500億円弱買い越しており、これが相場の先高期待を醸成している。これをもとに、市場の第一線で活躍する証券関係者に今後の相場見通しを聞いた。

●「外国人は積極経済政策見越して買い転換」

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

 週明け31日の東京株式市場は、民主党のヒラリー・クリントン大統領候補の私用メール問題の再燃で米大統領選の行方に不透明感が浮上、さらに外国為替市場で円高・ドル安が進行したにも関わらず、後場に入って日経平均株価が下げ渋るなど頑強な推移となった。

 当面、市場関係者の関心は、日経平均株価が4月25日高値の1万7613円の更新に集まっているが、今回は上抜いてくるものと判断している。その背景には、今後安倍政権で、金融・財政の両面において経済状況を浮揚させるための対策が具体化する期待感があるためだ。

 長期期間売り越しスタンスにあった外国人投資家は、10月に入って現物・先物ともに買い越しスタンスに転じてきている。先物の比率が高いために、やや不安感は残るものの今後の安倍政権の経済浮揚策の積極化を見越して、世界一割安な日本株に見直し買いを入れはじめたようだ。

 円相場が1ドル=105円前後の水準となってきたことで、現在佳境を迎えている17年3月期第2四半期累計(4-9月)決算や、下期の業績見通しへの円高によるマイナス影響は出尽くしとなり、輸出関連銘柄に見直し買いの好機が訪れそうだ。そのなかでも、先々の売り圧迫要因の少ない、売り残が多く信用取り組み面で妙味のある銘柄に注目したい。

 個別銘柄では、まず三菱電機 <6503> に注目。同社は従来から自動車向けの電装品に高い技術力を持ち実績を上げているが、三菱グループの三菱自動車工業 <7211> が日産自動車 <7201> の傘下に入ったことで、自動運転をはじめとした自動車関連の電装技術で日産自との関係が深まることが予想される。

 自動車用ヘッドランプのスタンレー電気 <6923> は、付加価値の高いLED(発光ダイオード)比率の向上が採算改善につながっている。特に、今上期にLEDランプの採用が4車種だったのに比べて、下期は18車種へと一気に拡大することに注目したい。さらに、製鉄所や発電所、石油化学などのプラント解体工事マネジメント会社のベステラ <1433> [東証M]は、技術力の高さで他社の追随を許さず、参入障壁の高さで優位性を発揮している。設備の更新・近代化に伴い、老朽化プラントの解体工事需要は増加傾向にある。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(たべい・よしひこ)
内藤証券シニアアナリスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。

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