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【特集】西川雅博氏【本格上昇は始まったか、復活外国人買いと今後】(2) <相場観特集>

西川雅博氏(光世証券 執行役員)

―外国人投資家10月1兆4500億円買い越し、高まる先高期待の行く末―

 31日の東京株式市場は、原油安や円高傾向の為替を横目に利益確定売りを浴びたが、図らずも下値では押し目買いニーズの強さを証明する形となった。10月下期相場入りとなってから需給面での大きな変化といえば、東京市場の方向性を左右する外国人投資家の動向だ。外国人は現先合わせ10月第3週までで計1兆4500億円弱買い越しており、これが相場の先高期待を醸成している。これをもとに、市場の第一線で活躍する証券関係者に今後の相場見通しを聞いた。

●「日経平均はドルベースで好パフォーマンス」

西川雅博氏(光世証券 執行役員)

 10月第3週の海外投資家動向は現物・先物合算で5100億円の大幅買い越しになった。売り越しが続いていた外国人動向だが、これで半年ぶりの3週連続買い越しとなり、変化の兆しが出てきた。その背景には、内外の投資環境の安定と共に、原油価格の上昇が挙げられよう。

 原油価格は、OPECの減産合意や新興国の景気回復により、一段高の可能性も捨てきれない。いずれにせよ、欧州経由のオイルダラーによる日本株売りには一巡感がある。原油相場が50ドル近辺以上で推移すれば、逆に買い戻しの動きも期待されよう。

 ドル換算の日経平均は、10月28日に166.78ドルまで上昇し、昨年6月の高値167.85とほぼ同水準まで回復してきた。円ベースではまだ、半値戻しにも達しておらず、ドルベースのパフォーマンスの良さが目立つ。ヘッジファンドのショートカバーや短期筋の先物買いが中心との見方があるが、政府系ファンドなど海外勢主導による新たな上昇相場入りのシグナルと見ることもできよう。

 日本の景気動向は、足踏み状態を脱し、緩やからながら上向きに転じた可能性がある。景気動向指数(CI一致指数)の3ヵ月移動平均は8月に反転上昇し、鉱工業生産指数の予測数字から9月と10月もCI一致指数は上昇を持続しそうだ。加えて景気指標が好転し、株価が戻り歩調を強めても、日銀の緩和姿勢は変化しないため、金利の上昇は抑えられる。

 株式市場にとっては、年末高に向けて、非常に都合のいい環境が整いつつあると見ている。個別では、出遅れ感の三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> と業績見通しに安心感が出た日立製作所 <6501> に注目している。

(聞き手・加藤智)

<プロフィール>(にしかわ・まさひろ)
1960年奈良県生まれ。82年早稲田大学政治経済学部卒、大和証券入社 90年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当。

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