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【特集】正式発表“秒読み”プレミアムフライデー、「先回り」候補株 <株探トップ特集>

串カツ田中 <日足> 「株探」多機能チャートより

―昼飲み需要の居酒屋株、金曜発2泊3日の旅行関連など恩恵銘柄は目白押し―

 いま、にわかに関心が高まっている「プレミアムフライデー」、月末の金曜日には仕事を速やかに片付け早々に退社(午後3時ごろ)することで、個人消費の喚起に繋げようとする構想だ。かねてから、個人消費を喚起するための施策のひとつとして話題に上っていたが、ここにきて急速に現実味を帯びてきている。アベノミクス効果の停滞が囁かれるなか、プレミアムフライデーの実施に期待する声も多い。その行方と関連銘柄を追った。

●月末金曜日は午後3時に退社、消費喚起へ

 このプレミアムフライデー構想については、既に今年夏ごろ一部報道で伝わっていたが、現実味の乏しさからか、あまり話題になっていなかった。ところが、今月中旬に政府(経済産業省)と経団連が手を組み「来年2月にスタート」と各メディアで報道されたことにより、一気に注目を集めることになった。

 背景には、世界経済の減速や円高による国内経済の停滞がある。政府は2020年頃までに名目国内総生産(GDP)600兆円の達成を目指すが、個人消費がここにきて失速しており芳しくない状況になっている。そのため消費を喚起すべく「プレミアムフライデー」が登場したというわけだ。報道によると、11月には実行計画を策定、来年2月(月末は24日)からスタートし4月以降は毎月実施するという。月一回とはいえ、午後3時に退社できることになれば、外食産業をはじめ映画や旅行、買い物などさまざまな消費行動にとって好影響を与えそうだ。

 では、実際のところプレミアムフライデー構想はどこまで進んでいるのか、音頭をとる経済産業省では「あくまで予定で、(報道にあるように)決定したものではない。プレミアムフライデーという名称も含めて検討に入ったということだ」(流通政策課)と少々つれない。

 ただ、ある業界関係者は、「おおよそ報道通りで、検討は着実に進んでいる。11月以降経産省から、(ロゴなどを含め)具体的なスケジュールのアナウンスがあるのではないか」と話す。また、「業界団体からも大方賛同を得ている」としており、プレミアムフライデー実現へ向けての動きは前進していることは確かなようだ。

●居酒屋チェーンは花金の中核!?

 株式市場でもジワリ注目が集まるプレミアムフライデーだが、関連銘柄は多岐にわたる。ここ相対的に株価が復調傾向にある居酒屋チェーン株は、まさにその中核といえる。既に、ここ数年「昼飲み需要」の拡大を受けて、営業開始時間を早める動きをみせる同業界にとっても追い風。きちり <3082> 、チムニー <3178> 、鳥貴族 <3193> 、SFPダイニング <3198> [東証2]、串カツ田中 <3547> [東証M]、大庄 <9979> 、コロワイド <7616> など多くの企業が恩恵を受けそうだ。このなか、海鮮居酒屋「磯丸水産」や手羽先唐揚げ「鳥良」などを展開するSFPダイニングでは「(それが決定するのなら)商機だが、もう少し話が進展してから、具体的に考えたい」(総務部)と話す。また、あるチェーン店では「はっきりしない話なので、なんともいえないが、決定すれば新サービスを検討する」という。

●旅行、小売、アミューズメントなど広がる恩恵

 旅行関連株にも期待がかかる。いままでは土曜出発が定番といえたが、月末に限っては休暇をとることなく金曜日から旅行へと出発できることとなり需要は拡大しそうだ。箱根エリアで観光事業も展開する小田急電鉄 <9007> では「鉄道事業者として現在でも週末需要の掘り起こしに努めているが、期待できるのではないか。ただ、いまのところは、(新しいサービスなど)は考えていない」(広報部)とするが、金曜日夜からの宴会旅行などを含むニーズの拡大も予想される。旅行日程が1日伸びることも想定され、売上拡大にも繋がりそうで、長崎県佐世保市にハウステンボスを展開するエイチ・アイ・エス <9603> 、富士急行 <9010> などにも注目。また、インバウンド需要の減少を受けて、株価が弱含む藤田観光 <9722> などホテル関連株に見直し買いを呼ぶ可能性がある。

 また休日が1日減るだけで月次売上高に響く量販店だが、三越伊勢丹ホールディングス <3099> をはじめとする百貨店、しまむら <8227> などにも好影響を与えることになりそうだ。映画で東映 <9605> 、ボウリング場などを展開するラウンドワン <4680> 、そしてオリエンタルランド <4661> なども恩恵が大きい。

 ただ、「プレミアムフライデーが(仮にスタートしても)現実的に定着するかは疑問符がつく。歓迎はするが、本当にできるのか?」(飲食関係者)という声も聞こえてくる。こうしたなか、11月以降に政府および経団連から出るであろう具体的スケジュールの発表後、実際のところ企業がどう動くのか、その動向に注目が集まるが、少なくとも関連銘柄には今から目を配っておく必要がありそうだ。

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