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3930 はてな

東証G
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はてな Research Memo(5):「GigaViewer」、「はてなブログMedia」とも導入数が拡大


■はてな<3930>の業績動向

2. サービス別売上動向
(1) テクノロジーソリューションサービス
テクノロジーソリューションサービスの売上高は前期比14.1%増の2,031百万円と2ケタ増収ペースが続き、過去最高を更新した。また、期初計画(1,980百万円)に対しても2.6%上回って着地した。「GigaViewer」を中心とした受託サービスが、同22.9%増の1,244百万円と好調に推移したことが主因だ。一方、SaaSビジネスとなるサーバー監視サービス「Mackerel」については同2.3%増の786百万円と伸び悩む格好となった。

受託サービスの大半を占める「GigaViewer」は、Web版が「モーニング・ツー」「月マガ基地」(いずれも(株)講談社、広告運用・販売サービス含む)の2つの電子コミックメディアに搭載され、合計15社、搭載累計で21メディアとなった。これらメディアの構築・運用保守サービスが順調に増加したほか、新規に受注した大型案件の開発進捗に伴う売上を計上した。そのほか、読者確保のための広告出稿代理サービスも本格化し、増収に寄与した。また、今後はデファクトスタンダードの地位を確立したWeb版の導入顧客に対して、アプリ版のリプレイスを進めていくべく「GigaViewer for Apps」の機能拡充、並びに開発体制の強化に取り組んだ。なお、「GigaViewer」の開発期間は新規で開発する場合、1メディア当たり3~6ヶ月程度だが、リプレイス案件については難易度が高まり、開発期間も長くなるようで、現在開発中の大型開発案件については1年強を要する見込みとなっている。受託サービスではそのほか、任天堂の『スプラトゥーン3』のゲーム連動サービスとなる「イカリング3」のサービス開発など複数の受託開発案件の納品が完了し、増収に貢献した。

「Mackerel」は有力な顧客獲得ルートであったオフラインでの展示会が下期以降、再開されたことで、見込み顧客の獲得が増え始めたものの、商談開始から成約するまでの期間として1年から1年半程度かかるため、売上高に反映されるのは2024年以降となる見通しだ。ただ、大型顧客の継続利用率は高く、売上高はおおむね会社計画どおりに着地した。同社はAWS(Amazon Web Services)などのクラウドプラットフォームを利用する企業を取り込むべく、「Mackerel」を簡単に利用、運用しやすくなる「インテグレーション機能」の充実を図るとともに、販路拡大のためのパートナーの拡充にも継続的に取り組んだ※。また、2022年11月にはAWSのプロセッサである「AWS Gravitionプロセッサ」をサポートするサービスのみが取得できるパートナー制度「AWS Graviton Ready」に日本企業で初めて認定されており、AWSを利用する企業に向けて技術力並びに信頼性をアピールしている。

※販売パートナーとしては、KDDI、(株)IDCフロンティア、東日本電信電話(株)、クラスメソッド(株)、エヌ・ティ・ティ・スマートコネクト(株)等に加え、2023年7月から関西電力<9503>グループ企業で法人向けのトータルICTソリューションを提供する(株)オプテージとパートナーシップを開始した。


(2) コンテンツマーケティングサービス
コンテンツマーケティングサービスの売上高は前期比12.3%減の697百万円と2期ぶりの減収に転じ、期初計画(768百万円)に対しても未達となった。「はてなブログMedia」の新規開設件数は順調に増加したものの、大型顧客が1社運用停止となったことに加えて、既存顧客における記事制作や広告出稿の抑制傾向が通期で続いたことが減収要因となった。売上高の内訳を見ると、システム構築・利用料や記事制作支援等が含まれるSaaS等が同9.6%減の449百万円、広告売上が同16.7%減の248百万円となった。

「はてなブログMedia」の新規開設件数は31件、解約件数は17件となり期末運用件数で前期末比14件増の142件となった。新規開設は下期だけで22件と急増したが、大半は2023年4月より代理販売を開始した大手人材関連企業を通じた採用オウンドメディアの開設によるものとなっている。同企業が提供する採用コンサルティングサービスの1つに「はてなブログMedia」が採用された。このため、同企業を通じて開設された採用オウンドメディアの売上高は、月額システム利用料(7.7万円/月)のみとなっている。大型顧客の運用停止に加えて、採用オウンドメディアの比率が上昇(新規開設31件のうち半分以上)したことにより、運用件数当たりの平均売上高も2022年7月期上期の580千円から2023年7月期下期は413千円まで低下した。なお、解約件数は17件と前期末比5件増加したが、解約率は12%と過去5年間の平均並みの水準であった。

(3) コンテンツプラットフォームサービス
コンテンツプラットフォームサービスの売上高は前期比13.6%減の421百万円と減収基調が続き、期初計画(436百万円)に対しても若干未達となった。「はてなブログ」の登録ユーザー数は順調に増加したものの、各種SNSの普及による競争激化もあって投稿数が減少したほか、広告単価の下落傾向が続いたことで広告収入が同13.5%減の242百万円となったほか、「はてなブログPro」の契約件数減少によりSaaS等の売上も同13.8%減の178百万円と低迷した。なお、スタートアップ企業または小規模法人向けの「はてなブログBusiness」については、2022年10月に経済産業省の「サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金2022)」の対象ITツールに認定されたこともあり、契約件数は着実に増加したが、全体売上に与える影響はまだ小さい。

同社は、「はてなブログ」の活性化を図るための施策として、2023年6月28日に投稿者が記事の販売を可能にするメニューを導入した。codoc(株)が提供するコンテンツ販売サービス「codoc」とアカウント連携することで、記事の単体販売及び月額・年額のサブスクリプションメニューの販売が可能となった。販売手数料15%を同社とcodocでレベニューシェアする。サービス開始以降、順調に購入者数は増加しており、特に月額500~1,000円程度のサブスクリプション販売が伸びているようだ。当面の業績に与える影響は軽微だが、投稿者の収益化を支援していくことで広告収入の落ち込みをカバーしていきたい考えだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《AS》

 提供:フィスコ

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